韓国最大手の携帯電話事業者であるSK Telecom(以下、SKT)が、中国のテレマティクス市場に進出する基盤を整えた。

SK TelecomとE-eyeの買収契約締結の場にて。左から3番目が、SK Telecom China Holding Company社長のイ・ソクファン氏、左から4番目が、E-eye社長のPeng Yang Ming氏

SKTは、中国の新セン市にあるGPS業者の「ShenZhen E-eye High Tech Co., Ltd.」(以下、E-eye)の買収に関し、中国政府からの批准を完了。同社の中国の持ち株会社である「SK Telecom China Holding Company」の子会社にしたと発表した。

同社では2007年11月末にE-eyeと買収契約を取り交わしており、これまで中国政府による批准審査を進めていたという。今回同社では、持分65.525%に該当する139億2,100万ウォンでE-eyeを買収している。

E-eyeはGPS端末の開発および生産を行っているほか、物流関連のソフトウェアプラットフォームの提供も行うなど、多様なGPS関連技術を保有している企業だ。

SKTではE-eye買収の背景として「中国ではオリンピックなど国際的な行事を前に、自動車の普及率が増加している」ことを挙げている。これと同時に「公共車両や特殊車両などにGPS装着を義務化するという中国政府の政策により」(SKT)、GPS関連市場が大きな成長を見せている状況だともいう。

SKTでは今回の買収を通じて、運輸や物流企業など、大手法人を対象としたプラットフォームの販売や、全国の代理店を通じたGPS端末の販売、個人や法人顧客を対象としたGPS位置サービス、そして位置サービスを活用した交通情報の提供といった、各種サービスを提供していく予定だ。

韓国内でも道案内や地域・交通情報、友達探しなど、さまざまな位置基盤サービスである「T MAP」を提供しているSKT。ここではGPSによるナビゲーションサービスにも、もちろん対応しているが、こうしたサービスで確保した技術やノウハウは、中国市場でも十分に活かされることとなりそうだ。

また同社ではこれを機に、インターネットやメディア、コンテンツなどを中心とした多様な事業の展開を模索していく予定でもあるという。

SKTでは中国の携帯電話事業者である中国聯通(China Unicom)の株も保有しており、2007年12月にはChina Unicomの携帯電話で「人民日報」のニュース記事が見られるというサービスの提供も開始した。また同じく中国の携帯電話事業者であるChina Mobileに対しては、音楽やゲーム、スターの写真といった、韓国のコンテンツを提供している。

このように以前から中国への進出を少しずつ進めている同社。今回の買収によって、中国市場での事業分野をまた一段階広げ、着々と市場開拓を進めている様子だ。