韓国のSamsung電子とSonyの合弁会社であるS-LCDは、28日から第8世代アモルファスTFT液晶ディスプレイパネルの量産および出荷を開始したと発表した。当初は本年(2007年)秋から量産を開始する予定だったが、それを数カ月前倒しした形となる。
第8世代ラインでの量産と出荷を記念した式典 |
52インチLCDパネルを出荷するトラック |
S-LCDの第8世代ラインは、韓国中央部に位置する忠清南道 湯井クリスタルベリー内にある。「世界最大」(Sony)という2,200×2,500mmの液晶ガラス基盤を使用する生産ラインで、Samsung電子とSonyとが、計1兆8,000億ウォン(2,209億7,000万円/1円=0.1227ウォン)を投資して造成したものだ。この第8世代ラインは2006年7月、Samsung電子とSonyが本契約を結んだことで造成が決定し、2007年7月には試験的な量産を行っていた。
ここで生産されたパネルはおもに、Samsung電子およびSonyによる、52インチおよび46インチフルHDパネル搭載液晶テレビに搭載されるという。40インチパネルは既に「第7世代ラインで、十分に供給できている」(Samsung電子)という。
Samsung電子によると第8世代ラインにより、年末までに業界最大のキャパシティとなる50,000枚/月を達成できる見込みだという。この生産力を持てば、52インチ製品では30万台/月の生産が可能となる計算だ。ちなみに2007年第2四半期における50インチ以上のLCDパネル市場全体の出荷量は23万台なので、これを大きく上回ることとなる。
これに伴って市場には50インチ以上のパネルが大量に出荷され、大型液晶テレビの市場拡大に弾みがつくことが予想される。S-LCDの、他社に先駆けて第8ラインを稼動させるといった動きは、大型液晶テレビ市場をリードし優位な立場を維持しながらも、安定的なパネル供給を行うためといえる。
実際これまでの数値を見ると、40インチ以上のパネルの四半期別の出荷量も、S-LCDが2位以下のLG.Philips LCDやSHARPなどを大きく引き離している。
Samsung電子の資料によると、2007年における50インチ以上のLCDパネルの市場展望は113万2,000台、13億米ドルの展望で、2011年にはこれが590万7,000台、35億米ドルに膨らむ展望で大きな成長が見込まれている。大型LCDパネルへ向けた競争は、大手のS-LCDが動き出すことで今後加速しそうだ。
S-LCDの、第7世代および第8世代の生産状況(2007年8月時点) |
40インチ以上のLCDパネルの、四半期別出荷量(単位:1,000台) - 出展:Displaybank、Samsung電子提供 |
50インチ以上のLCDパネル市場の年間展望(単位:1,000台、1,000米ドル) - 出展:Displaybank、Samsung電子提供 |