現時点では、まだ全社員がWebEx Meeting Centerを利用するまでには至っておらず、最もよく利用しているのは、社内のITチームだという。同社の社内ITチームは日本国内の数カ所に分散していることに加え、全世界にそれぞれの地域ごとのIT担当チームがある。同社では数年前から社内システム総入れ替えを行なう大規模プロジェクトに着手しており、現在も作業が進行中で、今も全世界の拠点ごとに順次システムのカットオーバーが行われている。
新システムの開発は日本国内(千葉)、米国(ダラス)、インド(バンガロール)の大きく3拠点で分担して行ったため、相互の打ち合わせが頻繁に行なわれた。さらに、当然ながらこの打ち合わせには、システムのユーザーとなる全世界各拠点ごとのローカルのITチームも参加した。打ち合わせで話される内容はITシステム環境に関するものであるため、構成図やフローチャートといった図表類も多用される。これを電話とメールだけで実行するのは到底無理だった。TV会議システムもあるが、ビデオカメラでPCのモニタを撮影し、全員がその映像を見る、というのは不便が多い。
TV会議では、1カ所に全員が集まったような臨場感が得られ、エグゼクティブミーティングなどでは効果が高い。一方、細かな図面などを見せ合う場合、それをカメラで撮影してもどうしても見にくくなってしまう。WebExでは、データそのものを相互に共有できるので、はるかに見やすい画像が得られる。同氏は「Web会議システムとTV会議とでは用途が異なる」という。
社内での打ち合わせだけでなく、顧客とのコミュニケーションにもWebEx Meeting Centerが活用されている例があるという。輸送業での最大の問題は、輸送中の荷物のダメージだ。物理的な破損に加え、生ものの輸送では腐敗してしまうこともあり得る。荷物が輸送中に破損した場合にどう対応するかは、輸送契約であらかじめ決められているが、具体的な対応は個別相談で決めることが多いそうだ。
たとえばプロセッサなどの場合、実際の商品は小さいが、外装箱はかなり大きなサイズになる。輸送中に外装箱に破損が生じたら商品として通用しなくなるのだが、実際には、どこまで破損するとダメージになるか、どこまでなら問題ないと見なされるのか、という点は運送業者側では判断できない。従来は、破損した商品を顧客に確認してもらって判断を仰ぐ、ということをやっていたが、WebEx Meeting Centerを使うと、成田に荷物が到着した時点で「ダメージが疑われる箱」を分別し、箱の状態をデジタルカメラで撮影、顧客と一緒に写真を参照しながらリアルタイムでコミュニケーションを取ることでその場で判断ができるようになった。
メール添付で写真を送っても、写真だけではどこがどうなっているのか一見してわからないことが大半だという。WebEx Meeting Centerでは、相互に同じ写真を表示しつつ、リアルタイムでコミュニケーションを取れる。また、一方が画面上でポインタを動かすと、相手の画面にも同じようにポインタが移動するため、注目すべき箇所を視覚的に明確に示すことができ、状況把握が容易かつ確実にできるようになるのだ。