シリコンバレーのスタートアップ企業Oomaが「家庭用電話サービスを再定義する」という新VoIPシステム「ooma」を発表した。米Wall Street Journal紙などの報道によると、Oomaは必要な機器を399ドルで販売するのみで、通話サービスは無料で提供する。米国の家庭用VoIPサービスでは、月額のサービス料金を徴収し、必要機器を低額または無料で提供するビジネスモデルが一般的だが、Oomaは全く逆。"購入したら、あとは無料"である。
ユーザーは「ooma Hub」に電話機を接続し、ブロードバンド回線につなげる。同じ回線で電話機を追加する場合は「ooma Scout」という拡張専用機を用いる。無料通話は「Distributed termination」というOama独自のPeer-to-Peerのアプローチによって実現している。ユーザーがoomaを導入していない相手に長距離電話をかけると、通話相手のローカル地域のooma Hubからの通話に切り換えられる。米国のローカル通話は定額であるため、使われていないローカル回線を利用して長距離電話を無料にする仕組みだ。
問題は、ローカル通話サービスを契約しているoomaユーザーが全米にいなければoomaシステムは機能しない。そこで同社は「ホワイトラビット・プログラム」という、招待制のクローズドなベータサービスを開始した。これはサービスのテストであるのと同時に、全米各地にoomaユーザーを点在させるのが狙いだ。条件を満たしたプログラム参加者は、oomaシステムを無料で受け取れるが、ローカル電話サービスを解約しないという条件に同意する必要がある。
oomaシステムは9月に米国で発売される見通しで、製品版ではローカル電話サービスの維持は求められない。ただ、家庭用VoIPサービス利用者の多くが、911(緊急用ダイヤル)を利用するためにベーシックな電話サービスを契約し続けているのが現状だ。またローカル電話サービスを契約している場合、oomaを導入するだけで回線を1つ追加したのと同じ状態になるというメリットがある。
なおoomaはボイスメール機能や独自のダイヤルトーン機能を備える。ユーザーは、ooma Loungeというボイスメールや通話設定を管理するオンラインサービスを利用できる。