高速道路の監視カメラが撮影した事故映像がビデオ共有サイトで公開された問題で、米ニュージャージー州の道路管理組織であるNew Jersey Turnpike Authority(NJTA)がYouTube、LiveLeak、Breakなどを提訴した。米ニュージャージー州の地元紙The Star-Ledgerが報じている。

発端は、5月10日にグレートエッグ料金所で起こった事故だった。52歳の男性が運転する車が105キロ/時のスピードでコンクリートの防壁に激突した。原因は運転中の発作だと見られている。その様子を記録した料金所の監視カメラの映像を、NJTAの職員と思われる人物がビデオ共有サイトで公開した。ビデオはすぐに複数のビデオ共有サービスに広がった。監視カメラの映像の流出を知ったNJTAが削除を求め、ビデオ共有サービス側も同意しているが、削除してもすぐに再びアップロードされる状態が続いている。

NJTAの訴訟の目的は、ネットにおける問題のビデオの拡散防止である。そのために、まずビデオの著作権登録を申請。その上で著作権侵害訴訟を起こした。訴えでは、(1) 問題のビデオの公開を禁じる命令、(2) 訴訟対象のビデオ共有サービスからのビデオ削除、(3) 損害賠償、などを求めているという。すでにビデオ共有サイトが削除に同意しているため、2番目の削除については形だけの命令になる。NJTAの狙いは、削除と再アップロードの連鎖を断ち切る公開禁止の命令だ。ネットに流出した映像を消し去ることは不可能だが、ビデオの拡散を防ぎ、問題のビデオに関する騒動をより早く静める上で、NJTAの戦略が奏功するか注目されている。

また今回の監視カメラ映像流出ではNJTAの責任も指摘されている。問題のビデオには12~15人の職員がアクセス可能で、詳細な記録が存在しなかったため、今でも公開した人物を特定できていない。これを受けてNJTAは、ビデオにアクセスできる職員を限定し、コピー作成などを厳しく管理する新規定を設けた。公開されるはずのないビデオを流出させた点でNJTAも訴えられる可能性があるだけに、記録映像などの取り扱いについても議論を呼んでいる。