自宅に太陽光パネルの設置を検討するうえで、住宅向けとはいえ太陽光発電となると費用は大きく、結果的にお得になるのか頭を悩ませている人も多いでしょう。
特に物価上昇の傾向がある近年、導入のタイミングやメーカー選びも迷うところです。
太陽光発電システムは、ポイントを押さえれば設置費用を節約することができます。補助金や制度などの節約方法を知っておけば、お得に発電設備を導入できる可能性があるのです。
東京都では、2025年4月から都内の新築戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務化する基本方針も発表され、今後ますます太陽光発電導入のための普及や支援が進むことが考えられます。
そこで本記事では、次のような項目を専門家の意見も交えてわかりやすく解説します。ぜひ参考にして、設置費用で後悔することなく太陽光発電を導入しましょう。
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【2024年】最新の太陽光発電の設置費用
太陽光発電の設置費用はソーラーパネルの電気容量によって異なります。
1kWあたりの金額で計算させることが多く、ソーラーパネル以外の部品や工事費なども発生するため、おおよその相場を知っておくことが大切です。
総体的な設置費用を把握できれば、商品の比較や節約の効果を知ることにもつながります。
それでは、太陽光発電の設置費用について詳しく見ていきましょう。
【2024年】住宅用の設置費用相場は80万〜133万円
経済産業省のデータでは、2024年度の太陽光発電システムの設置費用は1kWあたり26.7万円*です。
一般的な住居用ソーラーパネルであれば3〜5kWの出力で十分とされているため、設置費用の相場は80.1万〜133.5万円(26.7万円×3〜5kW)と考えられます。
もちろん、メーカーや工事内容によって金額が変わってきますが、2024年度の住宅用太陽光発電システムの導入において、おおまかな設置費用相場は80万〜133万円と考えておくとよいでしょう。
”参考:経済産業省「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」 新築案件・既築案件の平均値”
太陽光パネル設置費用の相場推移
経済産業省が公表している上記グラフを見ると、住宅用太陽光発電のシステム費用は年々減少していることがわかります。
2012年の費用平均値が1kWあたり40万円台だった頃から比べ、この10年弱の間で約10万円以上も安くなっています。
2024年に入った現在も徐々に価格は低下しているので、一般家庭でも太陽光発電システムの導入がしやすい時期といえるでしょう。
産業用太陽光発電の設置費用は住宅用より安い
産業用の太陽光発電量は10kW以上を条件としており、空き地や広い屋上など、広い面積で太陽光発電を始める場合は規模的に産業用に区分する太陽光発電が可能です。
設置費用はマイホームに比べ、追加でフェンス代や連係工事費、造成工事費などがかかります。
さらに、しばらく放置されていた空き地などでは土地を整えるためにおこなう造成工事だけで最大で1,000万円かかることもあります。
一方で、1kW当たりの単価は、住宅に設置するより安くなる傾向もあるため、土地や商品によって優位性が高いケースも考えられるでしょう。
野立て太陽光発電のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方や10kW以上の太陽光発電について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
新築・後付けの設置費用を比較
太陽光発電付きの住宅取得を検討していて、新築か既築住宅で迷っている人も多いでしょう。
経済産業省のデータから、住宅用太陽光発電システムの設置費用における新築と既築の価格推移も見てみましょう。
設置年 | 新築での設置費用 (1kW当たり) | 既築での設置費用 (1kW当たり) |
2012 | 43.1万円 | 47.9万円 |
2013 | 39.1万円 | 43.2万円 |
2014 | 36.7万円 | 40.5万円 |
2015 | 35.8万円 | 39.8万円 |
2016 | 34.6万円 | 37.1万円 |
2017 | 34.5万円 | 3.72万円 |
2018 | 31.4万円 | 35.3万円 |
2019 | 29.3万円 | 33.0万円 |
2020 | 28.3万円 | 31.1万円 |
2021 | 27.1万円 | 28.3万円 |
2022 | 26.1万円 | 28.1万円 |
このデータからは、リフォームなどで既築住宅に後付けするより新築時に設置したほうが、ややコストを抑えられる傾向にあることがわかります。
しかし、新築時と後付けではそれぞれメリット・デメリットがあるため、これから新築戸建ての購入を検討している人は費用とのバランスをよく考慮しましょう。
新築時のメリット・デメリット
- システム導入前提で設計から進めるため、機能的・外観的にも理想に近い家づくりが可能。
- パネルの向きや勾配なども変更がきくため、システムの効率性・費用対効果も向上する。
- 設置費用を住宅ローンに組み込めるため、ソーラーローンよりも低金利かつ長期返済プランが可能。
- 建築工事と同時に設置をおこなうため工事費用を抑えられる。
- 設計とシステム導入を同時に検討するため労力が大きい。
- 施工業者が太陽光発電に詳しくない場合、設置費用が割高になる可能性がある。
- ソーラーパネルが屋根の一部として固定資産税に加わる。
後付けのメリット・デメリット
- 太陽光発電の専門業者に依頼するため不安点など相談しながら綿密に計画できる。
- 建築と並行して進める必要がないため時間に追われることはない。
- 取り外し可能なパネルを設置すれば固定資産税がかからない。
- システム導入を前提に設計されていないため屋根の強度を上げるための対策が必要。
- 住宅ローンを利用できないため金利が割高になる。
【専門家の回答!】設置費用を抑えるなら新築の時に購入するのがベスト
設置費用を抑える方法はありますか?
設置費用を抑えるなら新築の時に購入するのがベストです。
そのため太陽光に向いた家を作ることができます。また、既存の家に太陽光発電を設置する際に費用を抑えるコツはほとんどないため、利用できる補助金をしっかり使いましょう。
太陽光発電の設置費用の内訳
太陽光発電の設置費用は、主に設備費・工事費・諸経費の3つに分けられ、設備費にはパネルやパワーコンディショナーなど多くの部材にかかる費用が含まれています。
具体的な費用内訳や単価相場は次の通りです。
区分 | 内訳 | 相場 |
設備費 | 太陽光発電のパネル | 15〜30万円/kW |
パワーコンディショナー | 4万円/kW | |
架台 | 2万円/kW | |
発電モニター | 10万円/台 | |
接続箱 | 3万円/個 | |
ケーブル | 4,000〜8,000円/kW | |
工事費 | 設置や電気系統の工事 | 5万円/kW |
諸経費 | 手続きなどの手数料 | 3,000円/kW |
太陽光発電システムの設置費用のうちもっとも多くを占めるのは設備費で、全体の約60%を占めます。
工事費は約25%、残り15%ほどが諸経費にあたり、システムに含まれないコーキング材や手数料などがこれにあたります。
蓄電池をセットで設置する場合
太陽光発電で日中発電した電気を夜間や停電時などに使えるようにするには、電気を溜めておける蓄電池が必要です。
蓄電池は基本的には太陽光発電システムの設置費用には含まれていません。
蓄電池も導入する場合、メーカーや容量によって異なりますが、別途90万〜150万円ほどかかります。
一部自治体などでは、蓄電池とセットで設置する場合に利用できる補助金制度もあるので、導入を検討する場合は随時最新情報をチェックしておきましょう。
家庭用蓄電池おすすめについて詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
設置費用の相場を理解した上で、複数の施工業者から見積もりを取るようにしましょう。業者によって工事費などが大きく変わってきます。
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太陽光発電設置費用のシミュレーション
太陽光発電のパネル費用はメーカーごとに発電量が異なるため、まず主要大手メーカーの価格帯を紹介します。
メーカー | パネル枚数(発電量) | kW単価 |
SHARP (シャープ) | 24枚 (6.14kW) | 28.8万円/kW |
Panasonic (パナソニック) | 24枚(6.05kW) | 26.1万円/kW |
長州産業 | 22枚(6.03kW) | 24.6万円/kW |
一般的に発電量が少ないほうが安くなりますが、1枚あたりの発電量が少なければそのぶんパネルの枚数を増やす必要もあるため、より広い設置スペースが必要になります。
設置場所や広さも考慮したうえでベストなシミュレーションをすることがポイントです。
以下では、上記3社のうち中間レベルのPanasonicの製品でシミュレーションします。
設置面積ごとの費用例
Panasonicの2021年標準タイプ「P252αPlus」の太陽光パネル(幅・奥行きは1.58m✕0.81m)を参考に、設置面積ごとの費用を単純計算すると次のようになります。
設置面積 | 発電量(kW) | 費用 |
1坪(3.31平米) | 0.63 | 16万円 |
10坪(33.06平米) | 6.43 | 168万円 |
20坪(66.12平米) | 12.98 | 338万円 |
30坪(99.17平米) | 19.53 | 509万円 |
※ハーフタイプの「P120αPlus」も組み合わせて試算
ただし、実際に住宅屋根に設置する場合、方角によって発電量が大きく変わるため、フルに面積が活用されることはまれです。
20坪分に設置をしても、南側が10坪程度であれば発電量は10kWを超えない可能性もあります。あくまで目安程度にとどめておきましょう。
発電量(kW)ごとの費用例
続いて、同じくPanasonicの2021年標準タイプ「P252αPlus」の太陽光パネル(1枚の公称最大出力252W、kW単価:26.1万円/kW)を参考に、発電量(kW)ごとの費用を単純計算すると次のようになります。
発電量(kW) | パネル枚数 | 費用 |
1kW | 4枚 | 26.1万円 |
2kW | 8枚 | 52.2万円 |
3kW | 12枚 | 78.3万円 |
4kW | 16枚 | 104.4万円 |
5kW | 20枚 | 130.5万円 |
6kW | 24枚 | 156.6万円 |
7kW | 28枚 | 182.7万円 |
8kW | 32枚 | 208.8万円 |
9kW | 36枚 | 234.9万円 |
10kW | 40枚 | 261万円 |
※1kWあたり26.1万円、1パネルあたり252Wで試算。
ソーラーパネルおすすめメーカーや太陽光発電パネル企業おすすめ10社について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
太陽光発電の設置費用が高くなる要因
太陽光発電の設置費用に影響を及ぼす要因として、設置面積の広さや工法の違いなどが挙げられます。
設置費用が想定以上に高くなってしまった場合は以下の点を見直してみましょう。
設置屋根の形状や面数
太陽光発電システムを、形状が複雑な屋根に設置する場合や、設置面数が多くなる場合、工事の手間が増えるため設置費用も割高になります。
見積もりが高くなってしまった場合は、設置場所を変えられないか、面数を減らせないかなど検討してみるとよいでしょう。
足場設置が必要
設置工事で足場を組む必要がある場合は設置費用が高くなる傾向にあります。専用部材の運搬費や人件費が加算されるからです。
足場設置にかかる費用は住宅の広さや立地条件により変動しますが、1平方メートルあたり700〜1,000円が相場です。
3階建てや狭小地など、足場の組み立てに工数がかかる場合はさらに金額が上がるケースもあるでしょう。
業者が採用する設置工法の違い
屋根に太陽光パネルを設置する工法には、「支持瓦(しじがわら)工法」「支持金具工法」「アンカー工法」の3つあります。
アンカー工法とは、瓦に穴を空けてパネルを固定する方法で、もっとも手軽で安価な設置方法です。
基本的な強度は保たれ、雨漏りの心配などはありませんが、瓦に傷を付けることに抵抗がある場合は支持瓦工法が選ばれます。
支持瓦工法や支持金具工法では、固定用器具や専用パネルを設置する手間がかかるため、アンカー工法よりも高額になるケースが多いです。
太陽光発電の設置費用を節約する5つの方法
希望する太陽光発電の発電量で、費用が数百万円ともなると気軽に設置はできません。
そこで業者と正式な契約を結ぶ前に、以下の5つの節約方法を試してみてください。
最終的に支払う設置費用が10万円単位で安くなる可能性もあるため、1つずつ詳しくみていきましょう。
太陽光発電の設置業者を厳選
太陽光発電の費用を節約するならば、設置業者も厳選することが重要です。
同じ商品を取り扱っていても、設置する業者によって費用は変わるためです。
さらに業者は提供するサービスの違いなどもあるので、よく検討する必要があります。
また設置業者を選ぶ際は複数社の見積もりを比較し、しっかりと検討することが懸命です。
その際は、一括見積もりサイトを使うと、優良業者をリストアップしてくれ、1社ごとに依頼する手間も省けます。
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国や自治体の補助金を利用
太陽光発電や蓄電池は、国や都道府県、各自治体で補助金を出しているケースがあるので、ぜひ上手に活用したいものです。
東京都では2025年4月施行を目指し、新築住宅への太陽光発電設置の義務化を本格的に進めており、導入費用に対する補助・助成金制度の情報が常時更新されています。
また近年、ウクライナ・ロシア情勢による資源価格の高騰なども影響し、新たな国の補助金制度が検討される可能性も十分考えられるため、日々最新ニュースを入手しておくことが重要です。
国の補助金:子育てエコホーム支援事業
エネルギーの価格高騰の影響を受けやすい『子育て世帯・若者夫婦世帯(※)』による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援する事業です。
子育て世帯・若者夫婦世帯の省エネ投資に対して支援することにより、2050年カーボンニュートラルの実現を目的としています。
1.子育て世帯…18歳未満の子供を有する世帯
2.若者夫婦世帯…夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
補助金額は以下のとおりです。
補助対象者 | 対象住宅 | 補助金額 |
子育て世帯 若者夫婦世帯 | 長期優良住宅 | 100万円/戸 |
ZEH住宅の新築 | 80万円/戸 | |
リフォーム | 上限30万円/戸 (長期優良リフォームを行う場合上限45万円/戸) (既存住宅購入を伴う場合は上限60万円/戸) | |
その他 | リフォーム | 上限20万円/戸 (長期優良リフォームを行う場合上限30万円/戸) |
リフォームの補助金額は、省エネ改修を基本として、子育て対応、バリアフリー、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置などの工事内容に応じて定める額となります。
補助上限が設定されている住宅もあるため、詳しくは公式サイトをご確認ください。
※以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
国土交通省「子育てエコホーム支援事業について」
自治体の補助金制度一例
自治体 | 申請期限 | 対象機器 | 参考リンク |
東京都文京区 |
|
| 参照元はこちら |
大阪府池田市 | 太陽光発電システム | 参照元はこちら |
※2024年3月調べ
補助金が出る詳細な条件は毎年更新されるため、常に最新情報を見逃すと適用できない場合があります。
また申し込みは先着順が多く、予算切れで早期に募集が終了することもあります。設置を決断したら可能な限り早めに申し込みをしましょう。
太陽光発電の補助金・助成金について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
費用が安い太陽光パネルを選ぶ
設置費用を節約したいなら、太陽光パネルの単価が安いものを選ぶという方法もあります。
例えばPanasonicのパネルの場合は1枚約114万円ですが、ネクストエナジーのパネルは1枚102万円です。
発電量はどちらもおおよそ4kW台であるにもかかわらず、12万円の差があります。
メーカーごとのパネル費用を調べ、安く条件に合うものを選ぶことも節約の1つといえます。
また太陽光パネルのサイズが豊富なメーカーであれば、設置面積の無駄を省くこともできるでしょう。
トータルの支払いが安くなるローンを利用
太陽光発電を始めるためにソーラーローンを使用する場合、トータルで支払いが安くなるか確認しておきましょう。ソーラーローンの金利相場は0.65~3%と低金利です。
変動金利の場合には金利が上がってしまい、最終的に支払いが高額になることも考えられます。
金利に注目してローンシミュレーションをしっかりとおこなうことが必要です。
トータルの支払いが安い金融機関から融資を受けることで、節約できる可能性があります。
変動金利を選択していて将来金利が上がるようであれば、借り換えも検討してみてください。
一括返済の手数料などを考慮しても、トータルで支払いが安くなるかもしれません。
【専門家の回答!】銀行等のローンの方が金利が安い
ローンを組んで太陽光を導入する場合、損しないためのポイントはありますか?
手間がかかってもいいのであれば銀行等のローンの方が金利が安いです。
手続きや審査等手間が多少かかりますが、金利は安くなるので少しでも費用を抑えたい方にはおすすめです。
設置方法は業者と相談
自分の希望を遂行することも大切ですが、その住宅に合う設置方法かどうか、業者とよく相談することが大切です。
場合によってはプロ目線で住宅を見た際に、より向いている商品や設置方法があることも考えられます。
プロの意見を聞くことで節約につながる場合もあります。
住宅によっては太陽光発電に向いていない場合もあるため、効率よく発電量を得られるように業者とミーティングをおこないましょう。
また、太陽光発電が向いていない家の条件は以下の通りです。
- 北向きの家
- 屋根などが小さい家
- 塩害または積雪が激しい地域
業者によっては、屋根の設置条件によって得意・不得意などがあります。また売り上げの面から太陽光発電の設置に消極的な場合も考えられます。必ず施工業者の過去の実績も確認をするようにしましょう。
※以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
環境省「自家消費型太陽光発電の導入」
環境省「公共施設への再エネ導入第一歩を踏み出す自治体の皆様へ」
太陽光発電の設置費用をゼロにする3つの方法
太陽光発電の設置費用が高くて手が出ない、とお悩みの方に朗報です。以下の3つの方法を活用すれば、設置費用をゼロ、もしくは大幅に削減することができるかもしれません。
PPAでの太陽光発電
PPA(電力販売協定)を結ぶ業者と協力することで、設置費用はゼロになります。
所有権は事業者にありますが、住宅所有者は屋根を貸すことで事業に参加し、電力も割安で購入できます。この協力により、事業者は電力会社に余剰電力を販売し利益を得ます。
リースでの太陽光発電
設備をリースする方法も一つの選択肢です。
初期費用はかからず、設備は最終的に住宅所有者のものになります。リース料は毎月必要ですが、その代わりに設備の所有権が住宅所有者にあります。
屋根貸しでの太陽光発電
屋根を貸す形での太陽光発電もあります。これは、住宅所有者が事業者に屋根を貸し、その対価として賃料を得る方式です。ただ、年間で見ると1万円程度の賃料なので、大きな利益は期待できません。
太陽光発電は長期的な運用を前提としたものです。初期投資やランニングコストを抑えたい方は、特に「PPA」や「リース」の方法がおすすめです。
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環境省「自家消費型太陽光発電の導入」
環境省「公共施設への再エネ導入第一歩を踏み出す自治体の皆様へ」
太陽光発電の設置後にかかる費用
太陽光発電を導入する際は、初期費用だけでなく設置後にかかる費用まで考慮する必要があります。
メンテナンスや交換部品の費用などに加え、想定外のコストが発生する可能性もあるため必ずチェックしておきましょう。
太陽光発電のランニングコスト
設置費用を節約できても、ランニングコストがかかることはあらかじめ留意すべき点です。
設備はメンテナンスや部品交換などが定期的に必要で、このようなランニングコストを含めた計画を練る必要があります。
主なランニングコストとしてかかる費用は、以下のものが挙げられます。
費用名 | 費用額 | 頻度 |
定期メンテナンス費 | 2~3万円 | 3~4年に一度 |
パワーコンディショナーの交換費 | 約20万円 | 20年に一度 |
蓄電池の交換費 | 100万~150万円 | 10~15年に一度 |
全ての支払いが重なってしまうと、年間の支払いが最大で173万円です。
決して少ないとはいえない額なため、節約できた額や売電収入で貯金をしておく必要があります。
太陽光発電のメンテナンスが必要な理由
太陽光発電メンテナンスフリーとうたわれることもありますが、設置後定期的にメンテナンスが必要です。
10kW未満の住宅用太陽光発電には法律でメンテナンスが義務化されており、当てはまる設備の場合はしなければいけません。
定期的にメンテナンスをすることで、汚れなどによる発電量の低下を防ぐことができます。
また不良箇所の発見ができるためボルトの緩みなどによる部材が飛んで、近隣住民に迷惑かけることも減ります。
将来の撤去費用
太陽光発電の設備は寿命があるため、継続しない場合は撤去工事が必要になることも忘れてはいけません。
太陽光発電を辞める場合は、設備の撤去費用と太陽光パネルのリサイクル費が必ずかかります。
また、撤去工事をおこなうことになった場合は施工した業者に依頼しますが、もし頼めない場合は第三者機関を紹介してもらい、撤去を依頼することになります。
費用目安は、規模にもよりますが撤去工事が約10万円、処分費で約5万円、太陽光パネルのリサイクル費は1枚あたり1,200円が相場です。
撤去費用は決して安いとはいえません。しかし、万が一決められた方法以外で太陽光発電の設備を廃棄した場合、不法投棄として5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられる可能性があります。必ず所定の方法に沿って撤去・処分をおこないましょう。
自然災害や落下物に備えるための保険
太陽光発電はパネルが破損してしまった時点で発電できなくなってしまうため、地震や台風、集中豪雨、落雷などの自然災害や、鳥や石などの落下物など、もしもに備えて保険に入っておくことが推奨されています。
太陽光発電の保険にはいくつか種類があり、設置場所や補償内容、予算などから自分に合った保険を選択しましょう。
- 火災保険・地震保険
- 施設所有者賠償責任保険
- 企業総合保険
- 動産総合保険
- 休業損害補償保険
太陽光発電は10〜15年で元は取れる
太陽光発電で発電した電力はFIT制度(固定価格買取制度)により、太陽光発電設置後10年間は電力会社により一定価格で買い取りされます。
FIT制度が始まった2012年度の買取価格は1kWhあたり42円でした。
年々太陽光発電普及に伴い価格が下がり、2024年度は1kWhあたり16円となっています。
そのため売電のみで元を返すのは難しくなってきているのが現状です。
しかし、買取価格の低下とあわせて太陽光発電の設置費用も下がっており、システムの導入がしやすい時期といえます。
また光熱費が大幅に高騰している昨今では、自家消費電力としても大いに役立てることができるでしょう。
売電価格だけ見ると厳しい状況に見えますが、コストをおさえて導入ができれば10〜15年ほどで元は取れるといえるでしょう。
設置場所の環境やメンテナンス費、補助金の有無などを踏まえたうえで一度シミュレーションをしてみましょう。
固定価格買取制度について詳しく知りたい方は以下の記事もおすすめです。
太陽光発電についての基本知識
ここからは、太陽光発電を始める基礎として、設置するまでの手順や電気代をゼロ円にする発電の目安について解説します。
太陽光発電を設置するまでの手順
太陽光発電を始めるためにはシミュレーションや業者の比較、太陽光発電システムの検討などの工程を踏む必要があります。
運用までに掛かる時間の目安としては、おおよそ半年程度は掛かると踏んで間違いありません。
具体的な設置から運用までの手順は以下になります。
- シミュレーション:家や土地が太陽光発電をおこなえる地目か調べ、設置する計画を立てる
- 太陽光発電の業者を検討:複数社から理想の商品やサービスを提供しているものを探す
- 業者とミーティング:業者を決めたら実際に発電システムについて相談する
- 太陽光発電の設置:要望の商品を設置するための工事・施工作業に入る
- 太陽光発電の運用:売電や電力をまかなうことができるようになる
太陽光発電が実際に動き出すまでは、上記の流れに沿って進むことになるでしょう。
パネルの工事自体は設置する発電システムの規模により異なりますが、住宅用であれば1週間程度で済みます。
しかし業者や設備の厳選なども含めると、準備から運転開始まで半年程度はかかると覚悟しておきましょう。
家庭用の太陽光発電は導入についてや、土地活用で太陽光発電をする際のデメリットについて詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
電気代がゼロ円になる発電量の目安
実際に一般家庭が生活していくためには、1日2~8kWの電力が必要といわれています。
そのため電気代をゼロ円にするためには、少なくとも8kW以上の太陽光発電が必要ということです。
しかし寒冷地やオール電化、世帯人数が多い場合は、消費電力が8kW以上必要になる場合もあります。
そのため8kWを目安とし、各家庭の消費電力の差も念頭に置いておけば間違いないでしょう。
太陽光発電や光電効果、発電の仕組みについてや太陽光発電における値段の基礎について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
家族構成によってもお住まいの地域の気候によっても1日あたりの消費電力は大きく変わってきます。設置をしてから「どういう生活をするのか?」具体的なライフプランニングをおこなったうえで、消費電力の算出をするようにしましょう。
太陽光発電の設置に関する注意点
太陽光発電の設備を導入する前に知っておきたい注意点について紹介します。
あらかじめ注意点を念頭に置いておくことで、思わぬ不利益を被ることを避けられるはずです。
売電で大きな金額を稼ぐのは難しい
太陽光発電の売電価格は、例えば2012年買取価格から比べると年々下がってきており、売電で稼ぐことが難しくなってきています。
2012年から2020年までに1kWh当たり42円~21円と、売電価格は約半分の価値になっているのです。
2025から2027年頃には11円と予測され、売電開始当初よりは稼ぐことが難しいといえます。
しかし、住宅向け電気料は20円台で推移しており、上昇傾向すらあります。
そのため、これから太陽光発電を設置する人は、売電で稼ぐのではなく自家消費で節約することを目的としたほうが、得をする可能性が高いです。
発電量は天候の影響を受けやすい
太陽光発電はその性質上、天候の影響に左右されることが弱点です。
晴天の日は能力を発揮しますが、曇りや雨など太陽が出ない日には発電量が少なくなってしまいます。
さらに天候だけではなく、温度も発電量に影響するため季節ごとに電力の差が出ます。
季節ごとの具体的な影響は以下の通りです。
春 | 温度が高くなり日照時間も増えてきて、徐々に発電量が上がる |
梅雨 | およそ1ヶ月半の間は、曇りや雨の日が多く発電量が下がる |
夏 | 日照量が上がり、発電量が最も見込める季節 |
夏〜秋 | 梅雨や日照量が下がる秋口は、やや発電量が下がる |
冬 | 日照時間が少なくなる10月~2月程度までは、最も発電量が落込む |
このように梅雨や冬場は特に日照時間が短いため、天候の影響を大きく受けることが予想されます。
そのため設置する前に、天候の影響を受けても蓄電などで対応できるのかなど、十分なシミュレーションをしておく必要があるでしょう。
鳩・カラスなどの鳥害対策を怠らない
屋根に設置したソーラーパネルでよくある被害として、鳩やムクドリの糞害や、カラスのいたずらによるパネル破損など、野生の鳥が引き起こす鳥害です。
清掃や修繕工事は不衛生なうえ、屋根の上という高所でおこなわれる危険な作業となるため、手間も多くそれなりの費用がかかります。
だからこそ太陽光発電の設置時に注意しておきたいのが、一時的な費用にとらわれて安易に安い業者に依頼しないことです。
工事費用が安いということは、細かい作業を省いていたり、品質の悪い材料を使用していたりといった背景が考えられ、設置当初に十分な鳥対策がとられていないことで被害が大きくなるケースがあります。
将来起こりうる鳥害リスクへの配慮までしっかりとおこなってくれる業者を見極めることがポイントです。
太陽光発電を設置するなら保険に加入
太陽光発電は自然災害などのリスクがあるため、設置前に保険への加入がおすすめです。
台風などでパネルが飛ばされ、近隣の住宅に被害が出ると赤字になる可能性があります。
太陽光発電の保険には以下のようなものがあります。
企業総合保険 | 火災を含めた自然災害を補償する保険 |
動産総合保険 | 企業総合保険と似た条件で、災害があった場合にカバーする保険 |
休業損害補償保険 | 太陽光発電が事故で損傷した場合に損失を補償する保険 |
このように、災害や予期せぬ事故を補償する保険を中心に展開しています。
太陽光発電向けの保険は、これ以外にもさまざまな商品があるため、万が一に備えていずれも検討することをおすすめします。
どんなに緻密に資金計画を立てて、信頼できる業者にお願いをしたとしても、天候まではコントロールできません。お住まいの地域の1年間の天候の特徴を把握することも重要です。
事前準備をしないと後悔する可能性もある
太陽光発電設置の検討をしていると設置について、やめたほうがいいとの声が聞こえてくることもあるのではないのでしょうか。
かかる費用の高額さやメンテナンス費用、そして今後起こる可能性があるトラブルなど、事前に知っておくべきことは様々あります。
その知識を事前に身につけずに購入すると、お得に買えることをあとで知り後悔したり、業者とのトラブルが発生することがあります。
後悔しないためには、事前に相場価格を調べ複数の業者との比較をすることが大事です。
また太陽光発電の補助金制度も利用することでお得に購入ができますので、ぜひ知識を身に着け賢く導入しましょう。
太陽光の専門家監修!太陽光発電一括見積もりサイトおすすめランキング
「相場価格から複数の業者を比較して、優良な業者に依頼したい」「悪徳業者に騙されたくない」という方に向けて、実際にサービスを利用したことのある方に行ったアンケート結果をもとに、太陽光発電一括見積もりサイトをランキング形式で紹介!
さらに、専門家に聞いた太陽光発電一括見積もりサイトを利用する際の注意点や、質の高い業者を見極めるポイントも紹介しているのでぜひご覧ください。
まとめ
太陽光発電は事業者と連係して設備をリースしたり、相乗りしたりすることで設置費用ゼロ円から始めることができます。
140万円ほどの設置費用もかからないとなれば、太陽光発電が身近なものに感じられてくるはずです。
また、ZEH関連の補助金などで大きく負担を減らすことも可能です。
いずれも条件や商品が異なるため、実際にシミュレーションして、自身のニーズに合うのか検討することをおすすめします。
検討の際は、今回紹介した概要を参考に複数社を比較し、導入を進めましょう。
太陽光発電一括見積りサイト利用者が選んだおすすめサービスTOP3
紹介するランキングは、太陽光発電メーカーの利用者に向けておこなったアンケート結果を集計し、マイナビ編集部が独自のロジックで作成したものです。(クラウドワークス調べ 2021/11/18〜2021/12/1 回答者45人)
4位以下のサイトはこちらの記事で紹介しています。
監修者情報
比連崎 実/Webマーケター
大学院卒業後、システムエンジニアを経てマスコミ業界に勤務。約8年間、関東や東海、近畿地方のテレビ局で気象キャスターを経験。現在はWebマーケターとして、住宅会社を中心としたコンサル業務にあたる。Instagramを活用した集客を得意としており、「家を売るためのInstagramマーケティング」などのセミナーにも多数登壇。
太陽光や蓄電池等の専門家。2017年より某外資系パネルメーカーに所属し年間1000件以上の太陽光を販売しトップセールスを記録。これまでの知見を活かしたYouTubeが業界NO,1の再生数を誇り、2021年に開業。現在は一般の方向けに自社で販売〜工事を請け負う。Youtubeチャンネル
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・東京都環境局
・こどもエコすまい支援事業
・葛飾区公式ホームページ
・経済産業省
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