「英語が上手い人の共通点は何でしょうか?」
多くの人はこの質問に「語彙力」や「文法の正確さ」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際に成果を出している人は、別の共通点を持っています。
それは、複雑な内容でもポイントだけを抜き出し、シンプルな表現に置き換える力です。
つまり、限られた語彙でも的確に、そして素早く伝える英語の言い換え力。
このスキルこそが、ビジネスの現場で差を生みます。
ビジネスで差がつく「シンプルに伝える技術」
例えば、ある会社の大幅な収益減について伝えたい時、
The company experienced a significant decline in revenue.
(その会社は収益が大きく落ち込んだ)
この英語表現がすぐに思いつくかというと、なかなか難しいですよね。
でも、難しい単語を避けて、こう言い換えるとしたらどうでしょうか。
The company lost a lot of money.
(その会社は大きな損失を出した)
これなら英語で言える方も多いのではないでしょうか。
日本語で考えたことを、そのまま同レベルの英語にするのは、上級者でなければ至難の業。だからこそ、自分の英語レベルで話せる表現に置き換えることが大切です。
また、状況によっては「情報を抽象化する」ことが有効な場合もあります。
例えば、「5月に3人のシニアエンジニアが退職」という事実。
細部まで正確に伝えようとすると、
Three senior engineers left the company in May.
となりますが、
会話の目的によっては、
We lost three important workers.
と、必要な情報だけを残し、シンプルに抽象化しても十分伝わります。
これは手を抜いているのではなく、相手が理解すべきポイントを抜き出しているということです。
「抽象化してシンプルに伝える力」は、実は経営者やビジネスリーダーが日常的に使っている技術でもあります。例えば、ソフトバンクの孫正義氏は、海外の記者会見や投資家向けの説明で、細かい数字や専門用語を並べる代わりに、
We are building a platform for the information revolution.
(私たちは情報革命のためのプラットフォームを構築しています)
のように、一言で全体像をまとめて伝えることがあります。
聞き手の国籍や専門性に関わらず「なるほど、会社の方向性は情報革命なんだ」と理解できる。これが抽象化を駆使したわかりやすさであり、同時に強いメッセージ性にもつながります。
「わかりやすさ」は世界基準
「難しい言葉を使えた方が良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし実際には、「わかりやすい表現」は世界的にも重要な基準とされています。
米国では2010年に制定された法律「Plain Writing Act」により、連邦政府の文書は「一般の人が理解できる平易な表現で書くこと」が義務づけられており、多くの省庁で具体的なガイドラインが策定されています。
このように、難解な言い回しを避け、誰にでも伝わる文章を目指すことは「信頼につながるコミュニケーション」においても重要ということです。
大事なのは、単語力より"イメージを伝える力"
多くの学習者が「単語が出てこない」と悩みますが、実際のビジネスでは、完璧な単語を思い出す必要はありません。"出てこない"場面こそ、言い換え力が生きる瞬間です。
例えば「在庫過多」という単語が出てこなくても、
We have too many products left.
で十分伝わります。
重要なのは「正確な単語」ではなく、伝えたいコアイメージを言い換える発想力です。
その発想は、知っている単語を最大限活用する概念の引き出しから生まれます。
★ビジネス英語の言い換え例
実際のビジネス現場でよく使うフレーズを、どのように言い換えられるか見てみましょう。
| 日本語 | 英語 | 英語(言い換え表現) |
|---|---|---|
| 納期遅延 | the delivery will be late | we need more time |
| 利益拡大 | increase profits | make more money |
| 顧客満足度向上 | improve customer satisfaction | make customers happier |
| コスト削減 | cut expenses | reduce costs |
| 契約解除 | end the agreement | cancel the deal |
3ステップで身につく「言い換え」習慣
言い換え力は、一度身につければ一生使える武器です。ただし、そのためには日々の小さな習慣づけが欠かせません。
★おすすめの3ステップ:
1. 日本語フレーズを1つ選ぶ
2. 英語で2通りに言ってみる
3. 「もしこの単語を忘れたらどう言う?」を更に考える
例えば「売上が減少している」をあらかじめ、
- Sales are going down.
- Our revenue is declining.
と複数言えるようにしておけば、会話中に何か単語が出てこなくても即座に代替表現が浮かびます。この"引き出し"が増えるほど、会話のテンポが落ちず、聞き手に「英語が流暢だ」という印象を与えることができます。
まとめ
英語力で差がつく「言い換え力」について、今回お伝えしたポイントは大きく4つです。
- 英語が上手い人は語彙量より言い換え力で勝負している
- 「シンプル化」こそが言い換えの技術
- 日常の「言い換え習慣」が会議での即応力に直結
- わかりやすさは世界基準であり、信頼の証
今日から少しずつ引き出しを増やすことを意識してみてください。

