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チェンソーで世界No.1! ドイツの100年企業「スチール」本社で人気の理由を探る

提供:ワン・パブリッシング
NOV. 20, 2025 11:30
Text : 橋本 岬
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世界160カ国で製品を販売する屋外用パワーツールブランドの「STIHL」(スチール)。本社はドイツ南部の都市シュツットガルトから車で約20分の町ヴァイブリンゲンにある。自然豊かなこの地に、同社の歴史と技術を体験できる施設「STIHL BRAND WORLD」(スチール・ブランドワールド)が開館したのは2023年7月のこと。この施設を訪ね、100年続くブランドの強さの理由を探った。

  • スチール・ブランドワールド

    スチール・ブランドワールドは本社オフィスのすぐ隣に建っている。「MARKENWELT」(マルケンヴェルト)とはドイツ語で「ブランドの世界」を意味する

ブランド体験施設の内部は?

館内は3フロア構成。最上階は歴史をたどるミュージアム、中階は技術や生産の仕組みを紹介するエリア、1階にはカフェやショップが並んでいる。

一般開放もしており、来場者は「スマートガイド」という端末で展示番号を入力すると、音声や映像で詳しい説明を聞くことができる。英語とドイツ語に対応しており、写真撮影やSNS投稿も自由だ。展示物は音が出たり、映像が流れたり、チェンソーの重さを実際に体験できたりなど、五感でブランドを体験できる設計になっている。企業ミュージアムというよりも体験型テーマパークのようだ。

  • スチール・ブランドワールド

    スチール・ブランドワールドの様子。展示されている製品の内部を覗き込んだり、最先端技術を体験したりとさまざまなことができる

創業は約100年前 - 初のチェンソーは2人がかりで操作?

「木を工場に運ぶのではなく、チェンソーを森へ」

スチールの創業者、アンドレアス・スチールはスイス生まれのエンジニアだった。製材所で過酷な作業をする人々を見て、「森で働く人がもっと安全に、楽しく作業できるようにしたい」と考えたのがスチールの出発点だ。この発想が、「木を森から運び出して加工するのではなく、加工のための機械を森に持ち込む」という逆転の発想につながる。

  • スチール・ブランドワールド

    スチールの歴史を展示しているミュージアムフロア。右の写真が創業者のアンドレアス・スチール

1926年の創業時、最初に発表した電動モーター動力によるチェンソーは重さが48kgもあり、工場で2人で操作する必要があった。その後、1929年にはガソリン式の「タイプA」を開発し、森の中で使える本格的なチェンソーが誕生した。

  • スチール・ブランドワールド

    スチールが初めて作ったチェンソーは2人で操作するタイプだった

林業を変えた革新的チェンソーで世界トップシェアに

第二次世界大戦後の混乱を経て、1959年に登場した「STIHL コントラ」は林業に革命を起こした。重さ12kgで6馬力という軽量・高出力を実現し、どんな姿勢でも安定して動く仕組みを備えている。作業効率は従来の約2倍に上がり、10年間で100万台を売り上げたヒット商品となった。

  • スチール・ブランドワールド

    スチールの名を世界に広めたチェンソー「STIHL コントラ」

スチールは安全技術の開発にも早くから取り組んできた。1964年には振動障害「白指病」を防ぐ防振機能を開発。1971年には、キックバック発生時に瞬時に作動するチェーンブレーキを導入し、作業者の安全性を大幅に向上させた。単に性能を追求するだけでなく、使う人を守ることを企業理念として形にしてきた。

100%家族経営 - 93歳の創業者長男は今も出社!

スチールは創業から現在にいたるまで、創業家による100%の家族経営を続けている。創業者の息子であるハンス・ペーター・スチール氏は93歳になった今も、頻繁オフィスに顔を出している。

日本企業の場合、家族経営が長く安定して続くのは珍しい。スチールでは創業者の理念がしっかりと受け継がれ、会社全体に深く根付いている。社員もまた、短期的な利益よりも長期的な品質と信頼を第一に考える経営方針を誇りに思い、「自分はこの会社の一員である」という意識を持って働いているという。

  • スチール・ブランドワールド

    スチールの経営者一族

スチールは世界のさまざまな国に生産拠点を持っており、ガイドバーはドイツとアメリカ、チェーンはスイス、ピストンはアメリカ、シリンダーはブラジル、キャブレターはフィリピン、マグネシウム部品はベルギーで作っている。

さらにオーストリアではバッテリー製品を生産し、ルーマニアでは2024年から新しい生産ラインが動き始めた。チェーン、ガイドバー、エンジン……すべてを自社で一貫して生産している製造業は珍しい。

  • スチール・ブランドワールド

    工場ラインのミニチュアに専用端末「スマートガイド」をかざすと、製品の製造工程を映像で見ることができる

創業から100年。48kgの初期モデル(出力2.2kW)から、現代の最強チェンソー「MS 501i」は2倍以上のパワー(5.0kW)に進化しながら、重量は7kgまで軽量化が進んだ。

どんなに時代が変わっても、スチールのものづくりの根底にあるのは「自然の中で、自然と共に働く人々の作業をより快適にする」という思いだ。その理念こそが、スチールが長く愛され続ける理由なのだ。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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