私たちは毎日様々な判断をしながら生活しますが、判断ミスをしてしまうこともあります。仕事で判断ミスをしたときは、取り返しのつかない大事になってしまう可能性もあり、多くの人ができる限り仕事での判断ミスを減らしたいと思っているはずです。
そこで本記事では、医学博士で「脳の学校」代表を務める加藤俊徳氏の著書『仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣』から、一部を編集・抜粋してお届けします。
加藤氏によると、人は物事を判断をする際に4つの段階を踏んでおり、それぞれの段階で判断ミスが起こる「パターン」と「原因」が見えてくると言います。
「情」や「欲」があなたの判断を狂わせる
対象を客観的に認識し、確認することができたとしても、そこから引き起こされる「感情」や「欲望」に流されてしまうと、正しい判断が難しくなります。
実際、私も感情に流されて判断ミスをしたことがあります。ある出版社から単行本執筆の依頼が来たときの話をご紹介しましょう。
依頼があり、訪ねて来たのは出版社の社長。聞けば、私と同様の新潟出身で、しかも同じ学校の先輩だということがわかりました。私自身、故郷に対する思いは強い方で、同郷だと聞いただけで気心を許してしまうのです。
これは新潟県人の特色かもしれません。かの田中角栄さんも、相手が新潟県出身だとわかったとたんに一気に壁がなくなり、どんな相手でも旧知の間柄のように打ち解けたといいます。どうやら私も同じのようで、つい気を許してしまい、その場で一度に2冊の本を出すという提案を受け入れました。
ところが、原稿を書き終えて1冊目を出版した直後に、その出版社が倒産してしまい、結局、しかるべき原稿料が支払われないままになってしまったのです。
この件に関しては、私の判断ミスと言われても致し方ないでしょう。
出版不況ということもあり、いまやどの出版社も経営が苦しくなっています。
安易にその場で依頼を受けるのではなく、判断する前に会社の経営状況を調べたり、詳しい第三者に聞いたりすれば、依頼を断り、損失を避けられたかもしれません。社長が同郷の同じ高校出身だということで、つい情にほだされてしまったわけです。
情というものは、私的な人間関係を維持するためにある程度は必要なものですが、ビジネスにおける判断という意味ではじつに危険な代物です。
感情に流された判断をする前に、理性を働かせ、情報をしっかりと集めることで、危険を察知し、回避することが重要でしょう。
感情と同じような危険性を持つものに、「欲」があります。欲もまた判断を誤らせてしまう元凶であることは、おそらく皆さんも異論はないでしょう。
世間一般における欲による判断ミスの典型例が、詐欺事件です。
「うまい話には裏がある」という言葉がありますが、儲け話など欲望を刺激させられる話には、ついつい耳を傾けてしまいがちです。
これだけ巷で詐欺事件の話が流布されているにもかかわらず、被害に遭う人が後を絶ちません。欲をかき立てられることで目が曇り、正常な思考や判断ができなくなってしまうのです。詐欺師は欲望が強い人間の、そのような弱点を巧みに突いて、相手を騙すわけです。
『仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣』(加藤俊徳 著/クロスメディア・パブリッシング 刊)
AかBか? 迷ったときの頭の使い方がわかる1冊! 判断が速くて正確な人が「決める前」に考えていること
判断することも判断ミスも、すべては人間の脳が行っている活動です。脳の構造と働き方を紐解いていけば、判断ミスがどのようにして起こるか、そのメカニズムを解き明かすことができるのではないか。それによって判断ミスをどう防ぐか、あるいはミスをしたときのリカバリー法がわかるのではないか。著者の脳研究者という独自の立場と、医師として数多くの臨床に当たる中で、致命的な判断ミスを避けるために最大限注力してきた体験を踏まえて、その詳しい内容と具体的な方法を提案します。
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