ダンロップ(社名:住友ゴム工業)がスタッドレスタイヤ「ウインターマックス」(WINTER MAXX)シリーズの新商品「ウインターマックス ICE Pro」(以下、アイスプロ)を発表した。その名の通り氷上性能に振り切った新タイヤだが、そもそも、スタッドレスで氷に強いのは当たり前なのでは……。どんなタイヤなのか、冬の北海道で試してきた。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

    「ウインターマックス ICE Pro」は2026年8月から順次発売予定。サイズ展開は全99サイズだ

氷上性能を再定義

スタッドレスタイヤは氷上路面の水膜を除去した後、ゴムが路面の微細凹凸に密着して制動力を発揮する。アイスプロは密着する素材に着目し、「柔らかさ」と「粘り」を両立するゴムを新開発した。

ゴムが柔らかいだけだと制動時に粘りを発揮できず、滑ってしまう。ダンロップでは「低温粘り向上剤」を新開発。低温域でも氷上で粘って踏ん張り、反力を発生するゴムとすることで、ブレーキ入力時の氷上制動性能を強化した。オイル抜けによる硬化を抑制し、経年しても柔らかさが続くようにしてある。

トレッドパターンの設計では、水膜除去能力を強化するため、現行品の「WM03」比でサイプの量を大幅に増加。氷上路面への密着性を向上させた。さらに、ショルダーアームにギザギザ形状のブロックを採用し、引っ掻き効果で制動を補助している。

タイヤ断面はスタッドレス専用のセンターフラット形状を新開発。接地面積を最大化するとともに、柔らかさと粘りの効果を最適化した。

トータルで、従来型のウインターマックスとは一線を画する「氷上のプロフェッショナルタイヤ」へと進化している。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」
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従来品とアイスプロを乗り比べ

アイスプロはどれほど進化しているのか。2026年2月、北海道にあるダンロップのテストコースで現行品のウインタータイヤ「WM03」との比較試乗を実施した。

具体的には、同一車種(フォルクスワーゲン「ゴルフ」)にそれぞれのタイヤ(205/55サイズ)を装着し、以下の通りコースを2周した。

  • 1周目(氷上→雪上)

氷上を発進して30km/hまで直線を加速したのち、指定地点で制動をかけてクルマが停止するまでの距離を確認。その後、雪上コースに入って45km/hまで加速して、広い路面でスラロームを行い、任意のタイミングで急制動をかけて雪上での制動性能を確認した後、スタート地点に戻る。

  • 2周目

10~15km/hで氷上のスラロームコースを抜けてグリップ感を確かめ、その後の雪上では1周目と同じ動作を行う。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

当日のコンディションは気温1℃、路面温度は-3℃。氷の路面はまさに、スケートリンクのようにツルツルだ。

まずはWM03でスタート。といっても、すぐには動き出せない。タイヤが空転して駆動力が氷の表面に伝わらないのだ。

なんとか15km/hまで加速してブレーキペダルを踏み込むと、軽く踏んだだけでタイヤはロックし、ずるずると距離を伸ばしていって、停止するまでに約20m進んでしまった。続いて踏み込んだ雪上路では、通常のスタッドレスタイヤらしいグリップ力を発揮して、スラロームでも急制動でも問題なしだ。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

次はアイスプロ。スタートから駆動力が発揮されるまでの時間が明らかに短いし、15km/hからの制動では「ガガガッ」とアンチロックブレーキが働くほどグリップしていて、制動距離は約5m短い15mに縮めることができた。雪上での動きや反応は、WM03と同じレベルを発揮した。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」
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20m間隔で並べたパイロンを通過する氷上スラロームでも、明らかにアイスプロの方がグリップ力が高い。性能はステアリングを通してはっきりと伝わってきた。WM03では15km/hまで上がらないうちにグリップ感が失われるのに対して、アイスプロはギリギリ20km/hあたりまでグリップ感が持続した。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」
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テストコース外の積雪した一般路では、アイスプロを装着したレクサス「NX」と「シンクロウェザー」を装着したトヨタ自動車「RAV4」を試してみた。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

    レクサス「NX」

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    レクサス「NX」

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    レクサス「NX」

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    レクサス「NX」

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

    レクサス「NX」

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    レクサス「NX」

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    レクサス「NX」

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

    トヨタ自動車「RAV4」

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    トヨタ自動車「RAV4」

ここではさすがに、スタッドレスであるアイスプロのグリップ力がより高い安心感をもたらしてくれたが、シンクロウェザーでも全く問題なく走れることには感心させられた。

  • ダンロップ「ウインターマックス ICE PRO」

    スタッドレスの「アイスプロ」を全天候型の「シンクロウェザー」と併売することで、顧客ニーズや使用シーン別に最適提案が行っていくというのがダンロップの考え方だ

ダンロップによると、アイスプロのターゲットとなるのは高頻度でアイスバーンや積雪路を走行するユーザー(冬季の通勤や通学、買い物などが多い人)。一方で、主にドライ/ウェット路面が多く、月数回程度の氷雪走行ユーザーにはオールウェザーのシンクロウェザーを推奨している。