そろそろ愛車のタイヤを冬用から交換する時期。そこで今回は、ブリヂストンの高級SUV向け新タイヤ「アレンザLX200」でオンロードテストを実施したインプレッションをご報告したい。このタイヤ、選ぶ価値はあるのか!
新技術「エンライトン」とは?
ブリヂストンは2026年1月末、中・大型SUV向けプレミアムタイヤの新商品「アレンザLX200」の試乗会を開催した。場所は神奈川県大磯のクローズドコースと周辺の公道だ。新技術「ENLITEN」(エンライトン)の採用で、アレンザはどのように進化したのか。さまざまな車種にじっくり乗って確かめてみた。
新技術のエンライトンとは、ブリヂストンが新たに開発した材料、構造、加工法を組み合わせたタイヤの作り方だ。目指したのは「極限までタイヤの性能を引き出すとともに、環境負荷を劇的に減らす」こと。走行性能と環境性能という、相反する要素の両立を可能にする次世代タイヤ技術のプラットフォーム……こんなイメージだ。
ちなみにエンライトンの名称は、タイヤを「軽くする」の「Lighten」と、それによってタイヤの未来に「光を照らす」の「Enlighten」を掛け合わせた言葉である。
走行性能と環境性能はトレードオフの関係にある。“グリップを良くすれば燃費が悪化する”し、“燃費を良くすればグリップが悪化する“といった具合だ。なので既存のタイヤは、そのどちらの性能を優先した商品になりがちだった。
エンライトン技術でブリヂストンは、両方の性能をトップレベルで両立させることができたと胸を張る。そのメリットは以下の3つだ。
軽量化によって転がり抵抗が低くなり、燃費が向上する(使用するゴムなどの資源も減らせる)。
EV(電気自動車)やSUVなどの重いクルマに対して、低燃費と対荷重性、静粛性を持たせることができる。
バランスではなく、走行性能、燃費性能など使用するクルマのニーズに合わせて、より最適化した商品を開発できる。
エンライトンの初採用は、フォルクスワーゲン(VW)が2020年に発売したEV「ID.3」用の新車装着タイヤだった。日本では2024年に発売となったプレミアムサマータイヤ「レグノ GR-XⅢ」から採用が始まっている。昨年末に北海道で試乗した新型スタッドレスタイヤ「ブリザックWZ-1」も当然、同技術を採用している。
アレンザ新旧モデルを乗り比べ!
ブリヂストン 消費材商品企画部の尾賀俊介氏によると、アレンザLX200の先代モデル(LX100)を発売した2021年当時のSUV販売比率は30%。それが2026年には、41%にまで増えるとの予測があるという。
SUV人気の高まりに合わせて、更なる高性能化を目指して開発したのがLX200だ。LX100との性能比較レーダーチャートを見ると、突起乗り越し時の衝撃22%低減、荒れた路面での騒音エネルギー16%低減、ウェットブレーキ性能15%短縮、転がり抵抗18%低減と全方位で性能が向上している。しかも、ハンドリング性能とふらつきにくさを高次元で両立できたという。
走行テストは、神奈川県・大磯ロングビーチの大駐車場に設けられた特設コースで実施。20km/hのレーンチェンジ、40km/hのスラローム、60km/hのレーンチェンジで走行性能を確認し、連続するロープと突起物を30km/hで通過して乗り心地性能を試した。そのあとは周辺の一般道と西湘バイパスを走って公道での性能をチェックした。
特設コースでは、レクサス「NX350h」とトヨタ自動車「ハリアー」の2台でLX100とLX200を比較試乗。走行性能では、LX100が全体的にマイルド感のある優しい乗り味を感じさせたのに対して、LX200はステアリングにクイックに反応する動きと、それにリアがきっちり追従するという安定感が目立った。
特に高速レーンチェンジでは、グリップが向上した影響でLX200の方がロールが少し大きく感じたのだが(侵入速度が少し速かったかもしれない)、ステアリングを戻した後のボディの収まりが早く、より軽快に走り抜けられるというハンドリング面での性能アップが感じられた。
乗り心地性能では、LX100がトレッド面に近い部分でショックを吸収しているのに対して、LX200はショルダーやサイドウォール部分を含めたタイヤ全体でそれを吸収している感触が伝わってきた。突起部分との当たりの柔らかさやショックの収まりの早さはLX200の方が優れていて、侵入スピードが高い方が、両モデルの差がより鮮明になる傾向があった。
静粛性に関しては、メルセデス・ベンツ「GLC」に255/45サイズのLX200を装着し、一般道と西湘バイパスを走行してテストした。
西湘バイパスは荒れた路面と継ぎ目の多さで有名で、スポーツタイヤなどでここを走ると、そのうるささや乗り心地の悪さに閉口するような道路なのだが、LX200ではその兆候は全くなし。直進性がよく、相模湾を望みつつ静かで快適なドライブが楽しめた。
ひとつだけ気になったのは、継ぎ目が一定間隔で連続するようなシチュエーションで、ボディの上下動が比較的大きくなったこと。帰りもここを通ったので、GLCのドライブモード変更ボタンで「ノーマル」から「スポーツ」に切り替えてみると、上下動はぴたりと収まった。
微細加工技術を採用し、鮮やかなブラックのコントラストで仕上げたサイドデザインは美しく、レクサスにもメルセデスにもフィットする高級感がある。街乗りや長距離走行が多いプレミアムSUVにふさわしい快適なタイヤがアレンザLX200だ。
新ブランド「FINESSA」にも試乗
ブリヂストンのコンフォート系タイヤには、ベーシックな「ニューノ」、エコタイヤの「エコピア」、プレミアムの「レグノ」の3つがあるが、レグノとエコピアの間に入るのが、エンライトン技術を採用した新ブランドの「フィネッサ」(FINESSA)だ。
ちなみに「FINESSA」は、より静かで快適であることを意味する「FINE」と安心・安全の「SAFETY」(ウェット性能が向上)を組み合わせた造語。もちろん軽量化を実現しているし、バイオマスベースなど再生由来の原料を使用することでサステナビリティ性能もアップしている。
今回は「フィネッサ」ブランドの第1弾「フィネッサHB01」にも試乗した。
トヨタ「プリウス」で大磯周辺の一般道に向かい、195/60サイズのニューノとフィネッサHB01を走り比べてみると、特に良路でのロードノイズがすばらしく改善されているのに気がつく。走り出し時の滑らかさも印象的。新たに採用した「3D-M字サイプ」や「スリットサイレンサー技術」が功を奏しているとのことだ。
普段乗りのクルマに、もうちょっと静かで雨天でも安心して走れるタイヤを装着したい……そう思っているユーザーにはフィネッサHB01がピタリとハマるはずだ。


























