日本車の中古車、特に中古スポーツモデルが世界的な人気だとはよく聞く話だが、実際のところどうなのだろうか。ヘリテージカーのレストアに力を入れる日産と、「東京オートサロン2026」に出展していた街のカスタム屋さんに話を聞いてみた。
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日産自動車、トヨタ自動車、ホンダなどが生産した「ちょっと前」のクルマ、具体的にいえば「GT-R」の「R32」「R33」「R34」や「フェアレディZ」の「S30型」、「AE86」、「シビック タイプR」などのスポーツモデルは現在、人気が沸騰中。程度のいい中古モデルは、新車価格を大きく上回る価格で取引されている。その流れは海外にも波及していて、「JDM」(Japan Domestic Market=日本国内市場)車として大変な人気となっている。
JDMの活況には、ゲーム『グランツーリスモ』」の人気や映画『ワイルドスピード』のヒットが大きく影響している。例えばアメリカでは、製造から25年が経過したクルマは輸入が解禁となるため、かなりの数の日本製スポーツカーが太平洋を渡って彼の地に上陸しているようだ。
日産の事業所に聖地巡礼?
話を聞いた日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)の担当者によると、海外で特に人気が高い日本車は第2世代の「GT-R」(BNR32、BNR33、BNR34)で、アメリカをはじめオーストラリア、香港、東南アジア(タイ、マレーシアなど)、中東(UAEなど)、西欧諸国(ドイツ、イギリスなど)からの引き合いが多いという。正確な統計はないが、GT-R過去モデルの半数近くがそうした国々に流出しているのでは、とのことだ。
NMCのスポーツブランドとして横浜市内に展示スペースや工場を構えるNISMO(ニスモ)事業所は、ファンから「大森ファクトリー」と呼ばれる“総本山”で、JDMファンにとって「聖地」のような場所になっている。NMCが昨年末にここで開催した記者発表では、人気のGT-Rを中心としたヘリテージのカスタム・レストア事業を今後、さらに拡大する予定だと発表。対象車種を増やすとともに、海外の対象地域を広げる方針を示した。
世界の自動車レストアの市場規模は現在、グローバルで5,000億円。2032年には1.2兆円規模に成長すると予想されている。
大森ファクトリーはチューニングカーのメッカである大黒埠頭に近く、観光ツアーまで組まれていることもあって来場者が年々増えており、海外からの来訪者は全体の5~6割を占める状況になっているそうだ。円安の影響もあって、熱狂的なファンはここでしか手に入らないNISMOパーツやグッズ、ヘリテージロゴのTシャツなどを爆買いしていくのだという。
NMCの真田裕社長兼CEOは、「NISMOは日産車のワクワク感と革新性を一層高めています。今後は日産の他の商品ラインアップにもそのスタイルとワクワク感を注入していく予定です」と述べている。
カスタム業界も潤っている?
NMCのような大手自動車メーカー直系が行うレストア事業に対して、いわゆる街のカスタム業者はどうなのだろうか? カスタムカーの祭典「東京オートサロン2026」の会場で、筆者の故郷である岡山に本社を構える「OS技研」のブースを訪ね、何森(いずもり)行治社長に話を聞いてみた。
「GT-Rはワイルドスピードの影響もあって人気が出ましたが、一番はやっぱり、S30型のZです。もともと左ハンドル仕様が輸出されていたのでね。ただし、今となってはいい個体が少なくなってきたので、JDMという名目で、オークションではすごい値段になってます。今回展示しているレース仕様のZも、中東のお客さんから5,000万円で買いたい、という申し出があり、経営者としてはちょっとグラリときました」
もともとOS技研は、クラッチやLSDなどの部品の店舗を海外に展開している。現地に流れて行った日本車のパーツに「OS GIKEN」(アメリカではギケンではなくガイケンと発音されてしまうのだとか)というエンブレムが入っていると、それを見た人たちは「それなら純正だ」ということで喜んでくれるのだとか。東南アジアのお金持ちの方などからも活発なアクセスがあるのだそうだ。
インタビュー中にも、フィリピンから来た3人組がチューニング済みZのエンジンルームをしげしげと眺める姿が見られた。聞けば、彼の地で所有しているのは最新のR35GT-Rで、こうした古いチューニングカーにも興味があるので現物を見に来たのだ、という。
会社の大小に関わらず、この世界は活況を呈しているのである。















