昭和40年代に誕生したスズキの軽スポーツカー「フロンテクーペ」が新車同然の輝きで現代によみがえった。手掛けたのは老舗の自動車総合試作メーカー「オーエイプロト」。日本の自動車関連産業に携わる技術者たちの実力のほどを実車で確認してみよう。
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売ってはいただけない模様
1964年に創業した自動車総合試作メーカー「オーエイプロト」(広島県東広島市)が「オートモビルカウンシル2026」で展示していたのは、まるで新車かと思われるほどピカピカに仕上がったスズキ「フロンテクーペ」だ。
フロンテクーペは1971年(昭和47年)にデビューしたスズキの軽スポーツカー。当時、ホンダ「N360」(1967年)が登場したことから勃発した360cc軽自動車規格内でのスポーツモデル開発競争の中で、「最強、最速」といわれたモデルだ。
全長2,995mm、全幅1,295mm、全高1,200mm、車重480kgのコンパクトなボディのリアには、最高出力37PS(グロス値、後期モデルは35PS)の強力なLC10W型水冷直列3気筒2ストローク356ccエンジンを搭載。駆動は後輪だ。最高速度は120km/h、ゼロヨン(0-400m)加速は20秒を切る19.47秒をマークする俊足モデルだった。
エクステリアのデザイン原案はかのジョルジェット・ジウジアーロで、それを元にスズキが社内で再デザイン。インテリアは燃料、スピード、エンジン回転、水温、電流、時計の6連メーターが眼前に並ぶスポーティーな仕上がりで、ステアリングを握るオーナーのハートに火をつけた。
オーエイプロトが展示していた個体は、エクステリアが淡いブルーメタリック、インテリアがブラウンの後期型4シーターモデル。同社規格管理部長の峠(たお)健悟さんによると、修復過程で激しく損傷していたドアやパネルの板金や新規パーツの製作を実施し、シート類は自作で再生。表層だけでなく、下地まで含めた防錆・耐久処理を施し、長期間安心して乗り続けられることを前提に工程を設計して製作したという。写真で見てもわかるように、その実車は業界でも稀なレベルでの精度が追求されている。
フロンテクーペの中古モデルは、程度の良いもので300万~400万円あたりで販売されているのが散見されるが、今回のプロジェクトは復元課程を継続的に発信し、技術力の可視化と採用訴求を両立したもので、それらに比べると大規模なコスト高になっているそうだ。



















