音楽や動画をサブスクサービスで楽しむことが定着しましたが、その一方で"不便な方法"も見直されてきているのかもしれません。実際、フリマアプリなどで、カセットテープやVHSといった録音・録画機器が高価買取されるケースは珍しくありません。
買取業の「買いクル」を運営する株式会社RC CSOの島津大輔氏に、カセットテープやVHSの需要が伸びている背景などについて聞きました。
――なぜ今カセットテープは高く売れているのですか?
サブスクや配信が主流になる一方で、「録音したい」という実用ニーズは根強く残っています。現在は新品のカセットテープがほとんど製造・流通していないため、必要に駆られた人が限られた市場から調達せざるを得ない状況です。
そのため、未開封で録音されていないカセットテープが売れやすい。音声が録音されているものにニーズはなく、「カセットテープとして使える」ということが大切になります。
――コレクションとして買う人も多そうですが、実際はどうなのでしょうか?
確かにコレクター需要も存在します。特に興味深いのは、全盛期を知らない20~30代の若年層が「アナログの質感」や「当時のデザイン」に魅力を感じて購入しているケースです。つまり、単なる懐古趣味ではなく、新しい世代がカルチャーとして楽しんでいる側面があります。
――どれくらいの価格で売れるのですか?
例えば、カセットテープ市場を牽引していたメーカー・TDKの120分4本セットであれば、1本1000円ほどで売れます。やはりTDKやマクセルといった大手メーカーの信頼性は高く評価され、音質面でも需要が集中します。
とはいえ、「カセットテープが家に1本あるから売れるだろう」と思っても、1本だけでは弱く、ある程度まとまった数量で出品することが高値取引のポイントです。
――今後、カセットテープは値上がりしていきそうですか?
何とも言えません。ここ最近、「カセットテープは売れる」という情報がネットで出回っており、実際に「メルカリ」などでも悪くない値段での販売実績を確認できるようになりました。カセットテープの出品・販売は増加しており、結果的に価格自体は下落傾向にあります。
――同じテープで言えばVHSの現状も教えてください。
VHSはコレクターよりも「実際にダビング用途で必要とするユーザー」が中心です。特にヤフオクのように中高年層が多い市場では動きが見られ、未開封の複数本まとめ売りで高値がつきやすいのが特徴です。
――「カセットテープは若者が購入するケースがある」というお話しでしたが、VHSの購入層はどうなのでしょうか?
VHSは「メルカリ」より「ヤフオク」のほうが売れやすいです。「メルカリ」は若いユーザーが多い一方で、「ヤフオク」は中高年のユーザーが多いため、購入層は主に上の世代と言えるかもしれません。
――VHSはどれくらいの価格で売れるのですか?
過去の販売実績になりますが、ダビング可能かつ未開封で複数メーカーのVHSを約20本まとめ売りしたものは9000円ほどで売れました。新品ではもう販売されていないため、「どうしてもVHSで録画したい」という実需層の購買行動につながっています。
――VHSの今後の展望はどのように考えていますか?
1980年~1990年ごろにVHSが普及しましたが、各メーカーでは「ダビング機能はこの年数ぐらいで劣化する」という目安を設定しており、その年数が20~30年後なんですよね。寿命を迎えつつあるVHSに録画された映像を「今後も見続けたい」と考え、"新品のVHSを購入してダビングする"という行動をとる人は少なくありません。
そのため、新品のVHSの需要は今後ますます高まる可能性があります。一方で、市場への出品数は増えているため、長期的に見れば価格は下がるリスクもあります。つまり、未開封品を所有している方は「需要が残っている今のうちに」売却を検討するのが賢明です。


