米Intelは5月4日(現地時間)、"Moorestown"の開発コード名で呼ばれていた小型モバイル機器向けAtomプラットフォームと、それを構成するSoCの「Atom processor Z6xx Series Family」(開発コード名: Lincroft)とI/Oコントローラの「Intel Platform Controller Hub MP20」(開発コード名: Langwell)、そしてMixed Signal IC (MSIC: 開発コード名は"Briertown")を発表した。GPUや各種デコーダを統合したSoCの形態をとっている点が特徴となり、従来製品と比べてアイドル時の消費電力低減効果が50倍になっているなど、モバイル機器向けのチューニングが行われている。

Atom processor Z6xx Series Family (Lincroft)とIntel Platform Controller Hub MP20 (Langwell)

Atom Z Seriesの前世代モデルだったZ5xx世代の"Silverthorne"に比べ、Z6xx世代のMoorestownではパフォーマンスと同時に省電力機能を特に強化しており、MIDやスマートフォンといったARMが勢力を誇る市場を攻略することを主眼に入れている。MoorestownではSilverthorne同様に45nm製造プロセスが用いられ、GPUとしてIntel GMA 600 Graphics、LPDDR1/DDR2のメモリコントローラが統合されている。GMA 600ではMPEG4 part 2、H.264、WMV、VC1用のHDビデオデコーダに加え、エンコーダとしてMPEG4 part2、H.264をサポートし、動画再生支援に実力を発揮する。またCPUコア自体のクロック周波数も1.5~1.9GHzへと引き上げられており、大画面タブレットのような比較的高速なコアを必要とする用途にも対応できる。

またWindowsとの併用が多かった旧世代のAtomに対して、Moorestownでは改めてMIDやスマートフォンを主要用途としてプッシュしており、対応OSとしてはAndroidのほか、Moblin v2.1やMeeGo 1.0といったスマートフォンOSが挙げられている。MoorestownではWi-Fiと3Gに加え、WiMAXを標準サポートしており、スマートフォン市場攻略やMID市場開拓が大きな目標の1つといえるだろう。Intelは2月にMoblinの後継となるMeeGoを発表して以来、Nokiaと共同でMeeGoを全面に押し出した戦略を強化しており、買収したWind Riverの資産と合わせ、自身のソフトウェアプラットフォーム強化に乗り出している。