本連載では、ここまでデータサイエンティストという仕事の基本や、その需要、人物像などを解説してきたが、今回はSAS Institute Japan、塩野義製薬、テプコシステムズにおける実際の現場の姿を紹介しよう。

SAS Institute Japan

-クライアントの業務課題解決を目指す-

SAS Institute Japan コンサルティングサービス本部 Advanced Analytics & AI Innovationグループ 部長 西野嘉彦氏

SAS Institute Japan(SAS)では比較的昔から、統計解析やデータマイニングなどを使った予測モデル開発やシステム開発をコンサルティングサービスとしてユーザー企業に提供してきた実績がある。これらを担当するコンサルタントは「アナリティカルコンサルタント」と呼ばれ、データサイエンスがコアスキルとなる。その役割はクライアントからの依頼を受け、課題の洗い出しから、必要なデータの確認、実際のデータ分析の実施を通じてニーズに応じたソリューションを提案していくことにある。

SASではクライアントとなった企業に対して設定したテーマを“プロジェクト”として推進する。テーマは「機械の異常を検知するためのモデル構築」や「最適な金融商品を推奨するためのレコメンドモデル構築」といった具合に設定される。プロジェクトの期間は3カ月から6カ月程度の案件が多いが、1カ月程度のPoC(Proof ofConcept)タイプや、1年以上にわたる大規模なものも存在する。

プロジェクトのテーマや規模・スケジュールといった性格から、利用する分析手法や必要なスキルセットが見えてくるため、アサインもコンサルタントの保有するスキルや過去の経験・興味などを勘案して決定される。プロジェクトへのアサインは同時に複数の案件を担当するケースもあるが、最近の傾向としては、掛け持ちせずに一つの案件をできるだけ短期間に終了させるスタイルが増えているようだ。

プロジェクトの推進は通常1週間単位のサイクルで回る。一例を挙げると、木曜午前にクライアントと定例ミーティングを行い、1週間分の分析結果を報告し、結果の解釈や次の分析方針についてのディスカッションを行う。木曜午後にはSAS 内部で次週に向けた進め方や役割分担を決めて、金曜から翌週の火曜にかけてデータ分析などの作業を行う。水曜には報告資料をまとめ、また木曜午前の定例ミーティングに臨む……といったサイクルだ。データクレンジングなどの準備作業から実際の分析、統計解析、コンサルティングまで様々な作業があるが、基本的にひと通りの作業を担当するという。

プロジェクトの前半は、作り上げる予測モデルをどのように使いたいかヒアリングするとともに、データクレンジングに集中する。プロジェクトの後半に入ると、作成した予測モデルの精度確認や期待される効果の試算を行い、クライアントと改善ポイントを詰めていく。

●SASのデータサイエンティスト像

位置付け 他社の業務改善
業務の内容 顧客のニーズに応じたソリューションを提案
仕事の魅力 顧客から感謝されること
誇れる技能 データからのインサイト抽出


塩野義製薬

-臨床試験と業務改善推進に役立てる-

塩野義製薬 医薬開発本部 解析センター Data Scienceグループ 木口亮氏

塩野義製薬 医薬開発本部 解析センターにおけるデータサイエンティストの主な仕事は、新薬開発時の臨床試験に関わるデータ解析業務と、データを活かして業務改善を検討し、実際に改善推進を行うことだ。

前者の業務では、統計解析者として計画解析を実施。加えて、データサイエンティストとして探索解析の業務を担当する。検証試験の立案に向けて、この探索解析では、社内外のデータを掛け合わせ、人工知能(AI)の一種である機械学習などのアプローチも駆使して新たな仮説を立案し、新薬開発の効率化に貢献している。後者の業務改善の検討・推進では、前出の臨床試験の計画解析にAIを導入し、準自動化するプロジェクトを進めている。いずれにおいても、データに対する適切なQuality Controlやデータガバナンスは重要な業務だ。

同センターのあるデータサイエンティストは、この仕事の魅力を「失敗で成功できる点」だと表現する。データサイエンティストの仕事は、新たな発見を求められることが多い。その発見という成功を導き出すには、裏で多くの失敗が必要となる。失敗から得た知識や経験の蓄積がなければ、新たな知見の掘り起こしにはつながらないからだ。言い換えれば、失敗に隠れているヒントこそが成功への鍵になる。よって、「この仕事は、多くの失敗から得たヒントをパズルのように組み合わせ、成功に導くことだ」と、データサイエンティストは語った。

●塩野義製薬のデータサイエンティスト像

位置付け 自社の業務改善
業務の内容 医薬品開発における仮説立案、臨床試験に関わる解析業務
仕事の魅力 失敗を糧に成功に導く
誇れる技能 情報収集力と見極め力


テプコシステムズ

-電力の安定供給をデータ解析で支える-

テプコシステムズ システム企画室 デジタライゼーション推進部 デジタライゼーション推進グループ マネージャー 大友翔一氏

東京電力グループのIT・エンジニアリング企業であるテプコシステムズ。電力エネルギーの安定供給は多岐にわたる業務が支えているが、同社のシステム企画室では、安定供給のバックボーンとして重要な業務効率の合理化や改善のためのシステム構築、および導入支援に関わる企画などを行っている。

同部署のデータサイエンティストは、システム構築のベースとなる各種データ解析作業だけでなく、作業に必要な各種ソフトウェア・ハードウェアの選定や調達から手がける。さらには開発するシステムとその運用に関するコンサルティング的な提案や、仮説に基づいて実装コードを書き、シミュレーションを行う作業も業務に含まれる。

同部署で働くデータサイエンティストの一人は、もともとJAXA(宇宙航空研究開発機構)で研究活動を行っており、現在は大学の教員も併任している。データサイエンティストの仕事は、データ解析用の環境を構築したり、取得したデータを解析用にクレンジングしたり、仮説やモデルを構築して解析・確認したりと、研究機関や大学で培った能力を活用できるシーンが多く、そうしたスキルと経験を存分に活かして日々の業務を行っている。一方で、研究活動は成果が出るまでに長い時間がかかるのに対し、企業で働くデータサイエンティストは成果が社会実装されやすい点に魅力を感じているという。

●テプコシステムズのデータサイエンティスト像

位置付け 他社の業務改善
業務の内容 電力エネルギーの安定供給のための業務合理化
仕事の魅力 研究よりも成果が社会実装されやすい点
誇れる技能 人工衛星や都市工学などの専門データが扱える


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SAS Institute Japan(SAS)は、社会で活躍できるデータサイエンティストを目指す学生や、データサイエンティストを育成する教員・教育機関向けに「SAS Academic Programs」を提供。同プログラムでは、様々な統計分析スキルが養える無償ソフトウェアのほか、無償のチュートリアル動画やe-Learningコース、双方向型オンラインコミュニティ、SASのグローバルイベントに参加するための奨学金やイベントにおける企業とのネットワーキング機会などが利用できる。

また、SASグローバル認定プログラムの資格試験の受験料やトレーニングコースの受講料が50%オフになる特典も用意する。教育機関向けには、大学との共同認定プログラムや教員向け無償教材を提供。SASを導入していない大学の学生も、無償ソフトウェアを利用しながら個人で学ぶことが可能だ。さらに、データサイエンティストを目指す学生向けにコミュニティを開設し、情報発信を行う。

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