パーソル総合研究所は3月29日、全国の男女・正規雇用就業者を対象に実施した「職場での対話に関する定量調査」の結果を公表した。過半数の従業員は職場で本音をほとんど話していないことが明らかになった。

  • 職場で本音を話せる相手と会話内容(%)

    職場で本音を話せる相手と会話内容(%)

このレポートは、職場内での種々の対話的なコミュニケーションの実態とその影響、および本音・本心で話せない要因・話せる要因を個人レベル・組織レベルで明らかにすることを目的に、全国の男女・正規雇用就業者(年齢20-64歳)を対象に、1月17日〜22日の期間、インターネット定量調査において実施した「職場での対話に関する定量調査」の結果に基づく。

50.8%が「職場で本音で話せる相手が1人もいない」 と回答

「職場内コミュニケーションの実態」として、職場での会話機会のうち本音で話せている割合を算出すると、上司との面談で41.6%、チーム内の会議で43.0%が「全く本音で話していない」と回答。本音で話せる割合が「2割未満」を合わせると、過半数の従業員が、上司面談・会議において本音・本心をほとんど話していないことが明らかになった。

また、職場で本音を話せる相手を聞くと、職場内に本音で話せる相手が「1人もいない」が50.8%と飛び抜けて高く、次いで「同年代の同僚」が25.6%であった。本音を話せたと感じる会話内容は「職場や会社に対する疑問、不満」が25.2%で最も多かったという。

職場の対話状況(メンバーが本音や自分の意見を話せていると思う)や、社内での本音コミュニケーションの割合(自分がどのくらい本音で話せているか)を職位別に尋ねると、一般社員・従業員は本音を出せていないと感じているが、事業部長や役員は職場メンバーも自分も本音で話せていると感じている傾向が強く、職位によって、認識のギャップが大きいことが明らかになった。

本音で話す度合いの高低別に特徴をみると、本音で話せている人ほど、ジョブ・クラフティング、ワーク・エンゲイジメント、個人パフォーマンス、はたらく幸せ実感が高く、はたらく不幸せ実感は低い傾向が見られたという。

  • 職場での対話の本音度合いの高低別特徴(平均値・pt)

    職場での対話の本音度合いの高低別特徴(平均値・pt)

職場で本音を話せない理由とは?

本音でコミュニケーションすることへの関心度合いと、実際に本音でコミュニケーションする割合の関係をみると、「自分の気持ちを素直に表現することは大切だ」などの「自己の本音への関心」が高い層と、「相手の話をきちんと聞くことは大事だ」などの「他者の本音への関心」が高い層は、ともに本音でコミュニケーションをする割合が高い。

本音で話せるコミュニケーションは、メンバーが何に詳しく・関心が高いかを知っている「メンバーの知識・関心に対する知識」を蓄積し、組織の中で変化を起こすことは大変であり、今のままでいいとする意識「変化抑制意識」を低下させる。これらによってそれまでの知識を捨て、仕事のやり方・手続き・考え方などを変える「アンラーニング(学習棄却)」が起こりやすくなっている傾向が見られたということだ。

次に「職場で本音を話せない/話せる要因」をみると、従業員は、職場で本音を話すことについて、「裏切り者リスク:組織に愛着が無いと思われそう」「拡散リスク:意図しない範囲に広まりそう」「低評価リスク:自分の評判が下がりそう」「身分不相応リスク:自分の立場では言えない」「無関心リスク:真剣に受け取ってもらえなそう」「関係悪化リスク:相手との関係が悪くなりそう」という、6つのリスクを感じているという。

  • 職職場で本音を話せない要因(性年代別)

    職職場で本音を話せない要因(性年代別)

性年代別のリスク意識に関して、女性の30〜40代は全体的にリスクを感じる傾向が強い。特に、自分の立場では言えないと意識する「身分不相応リスク」が女性は強く、男性の30〜40代は組織に愛着が無いと思われそうであることを意識する「裏切り者リスク」を強く感じている傾向が見られた。

6つのリスク意識を高め、本音を話しにくくする職場の特徴をみると、会社都合の異動の多さ や、社内キャリアパス・ポストがわからないなどの「キャリアの主体性の欠如」、長時間労働が是正されないなどの「時間の裁量権の欠如」、仕事のやり方を決められない、顧客の意向が絶対視されるなどの「業務の自律性の欠如」が強い職場は、本音を言うことへのリスク意識を上げていることが示された。

  • 本音で話しにくい相手の特徴(カテゴリ別平均値、pt、5点満点)

    本音で話しにくい相手の特徴(カテゴリ別平均値、pt、5点満点)

本音で話せる相手の特徴とは?

本音で話しにくい相手の特徴を聞くと、最も本音を話しにくいのが「自分への無関心」が最多で。次に、意図しない相手に話が伝わってしまいそうだといった「漏洩不安」が高い。属性別ではすべての特徴で「上司」が最も高い。意図しない相手に話が伝わってしまいそうだといった「漏洩不安」は「同僚」「仕事関係の知人」でも高く、自分の話をわかっているフリをしそうだといった「詐欺的態度」は「カウンセラー」でもやや高い。

  • 本音で話しにくい相手の特徴(属性別)

    本音で話しにくい相手の特徴(属性別)

逆に、本音で話せる相手の特徴を聞くと、話を親身に聞いてくれるなどの「傾聴的態度」が高く、話す頻度が多いといった「環境的要因」は低い傾向にあったということだ。

  • 本音で話しにくい相手の特徴(カテゴリ別平均値、pt、5点満点)

    本音で話しにくい相手の特徴(カテゴリ別平均値、pt、5点満点)