発色がよいとして、次はそれを支える性能面、スペックを読み解いていこう。DAIV 5N-OLEDはCPUがIntel Core i7-10875H、GPUがNVIDIA GeForce RTX 2060を採用している。どちらも最上位ではないが、ハイエンド~アッパーミドルグレードといえる高性能な製品だ。

Core i7-10875Hは8コア16スレッド対応の最新第10世代CPUだ。豊富なコア/スレッド数は、クリエイティブ分野でスタンダードなマルチスレッド対応アプリケーションにおいて高い性能を発揮する。

  • CPUはIntel Core i7-10875H。ノートPC向けでは現在最大コア数である8コア16スレッド対応モデルで、優れた演算性能を発揮する

GPUのGeForce RTX 2060はアッパーミドルグレードの製品で、リアルタイムレイトレーシングなどを始めとする次世代機能に対応するRTXシリーズのエントリーに位置する。写真分野ではGPUによるアプリケーションのアクセラレーション機能が有効に働く。そして映像分野ではGPUに内蔵するハードウェアエンコーダ/デコーダ機能が大きな武器になる。

  • GPUはNVIDIA GeForce RTX 2060。1920基のCUDAコアによる高い3D性能、そして内蔵ハードウェアエンコーダ、RTX 20シリーズのリアルタイムレイトレーシングといった機能がクリエイター向けアプリケーションでも利用できる。また、CPUに統合されているIntel UHD グラフィックスも利用可能

GPUのハードウェアエンコーダ機能ではひとつ重要なポイントがある。それは対応プロファイルだ。ソフトウェアエンコードでは柔軟にプロファイルを選ぶことができるが、ハードウェアの場合はそのGPUがサポートしているプロファイルに縛られる。本製品が搭載するGeForce RTX 2060は最新世代のハードウェアエンコーダを内蔵しているため、より多くのプロファイルに対応している。例えば、現行世代であってもミドル~エントリークラスのGeForce GTX 1650では非対応のプロファイルが目立つこともある。上位グレードに属するGeForce RTX 2060では、こうした点でもアドバンテージがある。

CPU、GPU以外のスペックとしては、メモリが16GB、ストレージがNVMe対応SSDで512GBといった内容。DAIVはBTOパソコンなので、注文時に業務に求められる容量のメモリ、ストレージにカスタマイズが可能だ。ここでDAIV 5N-OLEDが15.6型のゆとりある筐体サイズであることがポイントになる。

  • メモリは標準構成で16GB。クリエイター向けとしては最小限だが、32GB、64GBにも拡張できる

  • 標準構成という点で最小容量、最廉価のものを搭載しているが、それでも512GB、そして高速なシーケンシャルリード3GB/s級のNVMe SSDを採用

メモリは最大64GB。ノートPCでスタンダードなSo-DIMMを採用しているため、BTOではこうしたアップグレードも簡単だ。スリムタイプのノートPCではオンボードメモリを採用するためが多く、メモリの増設に対応していないメーカーもあるので、業務用途ではこうしたところに着目したい。

ストレージも同様だ。本製品ではM.2 NVMe SSDを最大2基、さらに2.5インチSerial ATAストレージ1基(SSD/HDD)を搭載できる拡張性が魅力だ。筐体サイズの都合で、M.2 SSDが1基、2.5インチストレージは非対応という製品は多い。映像など大容量になりがちなデータを取り扱う場合、書き出し先として十分なストレージ容量を確保できるのはメリットとなる。必要そうだとあらかじめわかっているなら、BTOでカスタマイズしておくほうが良さそうだ。

クリエイティブ分野では、インタフェースの種類や数も製品選びにおいて重要といえるだろう。例えばThunderbolt 3。データ転送速度がUSB 3.2 Gen2x2よりもさらに速いこのインタフェースは、クリエイティブ分野で利用頻度が高い。そしてもちろん本製品はこれを搭載している。(※Thunderbolt 3は右側面に配置)

また、グループ共同で作品制作を行なう場合はネットワークを介することになるだろう。本製品には有線LANとして1000BASE-T(1Gbps)対応のRJ-45端子を備え、無線LANは最新規格のWi-Fi 6(最大2.4Gbps、IEEE802.11ax)対応モジュールを内蔵している。

  • 無線LANは2.4Gbps対応のWi-Fi 6。チップはIntel Wi-Fi 6 AX201だ

そしてディスプレイ出力端子もうれしい。通常のビジネスであればプレゼンテーションなどでHDMIが1つあれば大丈夫ということもあるが、クリエイティブ用途ではマルチディスプレイ用という側面がある。

映像編集におけるタイムラインやプレビュー画面を大画面・高解像度のモニタに出力したり、色味の確認のためのマスターモニタ出力など(本製品では本体の有機ELパネルで十分と思われるが)、パネル枚数を増やすことで作業効率アップが可能だ。

本製品ではHDMI、Mini DisplayPortに加え、Thunderbolt 3および背面USB 3.1 Type-Cという4系統の映像出力端子を備えている。

  • 背面には左右に排気口があり、その間の部分にインタフェースがある。左から1000BASE-T LAN、HDMI、Mini DisplayPort、USB 3.1 Type-C(映像出力対応)、USB 3.0 Type-A、電源端子

  • 左側面にはUSB 3.0 Type-A、マイク端子、ヘッドホン出力端子

  • 右側面にはThunderbolt 3(USB 3.1 Type-C、映像出力対応)、USB 3.0 Type-A

そして前面。ここにはSDXCカードリーダーが搭載されている。UHS-II対応の高速読み出しをサポートしており、カメラやビデオ映像の取り込みも快適だ。

  • 前面、タッチパッド前方下部にUHS-II対応カードリーダーを搭載