LESSON1■「AC」と「C」の違い、わかりますか?

上嶋先生:「それではさっそく始めていきましょう。みなさん、普段電卓を使っていて、数字の打ち間違い、たとえば12345と打つべきところを12344なんて打ってしまうことがありますよね。そんなとき、どうしていますか?」

隊員4号:「[AC]を押して再入力……ですよね。あれ、桁が多い数字だとイヤになるんですよね。なのに、桁が多いほど間違えやすい」

上嶋先生:「そういう人は多いと思います。そんなとき使って欲しいのが[▶]キー(桁下げキー)。PCの[BS]キーみたいなのが電卓にもあって、これを押すと1桁戻るんです。そこまでの計算も生きていますから、数字を打ち間違えたとき、最初から入力し直さなくて良いんですよ」

  • 400と入力して[▶]キーを押すと

  • 1桁戻ります

隊員一同:「えーっ! そんな便利なキーがあったなんて!!」

上嶋先生:「すべての電卓に付いているわけではありませんが、『本格実務電卓®』にはもちろんついていますね。では、[AC]と[C]の違いってご存じですか?」

  • [AC]キーと[C]キーの違い、ご存知ですか?

隊員1号:「あまり意識して使い分けてません」

隊員2号:「私は全部ACです」

上嶋先生:「ですよね。でも当然、本来はそれぞれの意味があるんです。[AC]はオールクリア。独立メモリー以外のすべてを消してリセットする機能です。一方、[C]はさっきの[▶]キーの強力版で、入力した最新の数字(桁を含む)だけを消します。

たとえば、1,000+2,000+3,000と打ったとします。でも、あ、3,000じゃなくて4,000だった、というとき、[C]を押すと3,000の入力だけがクリアされる。

続けて4,000と入力しなおし+を押せば、合計が7,000と表示されます。全てを消すのが[AC]で、表示されている数字だけを消すのが[C]なんです」

隊員一同:「そんなふうに使い分けるんですね。知りませんでした……」

LESSON2■「M+」と「M-」の役割、知ってますか?

上嶋先生:「では、いよいよ本丸の[M+][M-]です。これ、多くの電卓に付いている割に、みなさん使わないんですよね。電卓で使われないキーナンバーワンじゃないかっていうくらい(笑)」

隊員3号:「正直、キー自体をガン無視してました」

隊員4号:「意図せず液晶にMの表示が出てしまって、パニックになったことがあり……。[MC]キーで消えることは知っていました」

その気持ち、わかる! わかるぞ! 私もまったく同じです。

  • さぁ、電卓攻略の本丸[M+][M-]に切り込みますよ!

上嶋先生:「[M+][M-]のMはメモリーのMなんです。つまり、電卓の中にメモリーの箱があって、そこに数字を入れるという発想です。Mの表示は[MC]キーで消えるというお話がありましたが、[MC]はメモリーをクリアするという意味なんですね。

では、その[MC]キーで、液晶窓にMが付いていない状態にしてください。そして、123[M+]と押してください。液晶窓にMが表示されましたね。
これで、123という数字がメモリーの箱に入りました。では、もう1回123[M+]と押してください。 これでメモリーの箱の中に、123が2回入りましたね。

では、現在のメモリーの箱には合計いくつの数字が入っているのか確かめましょう。メモリーの箱の中を見るには[MR]を押します。はい、246と表示されましたね。

  • 123[M+]123[M+]と入力して[MR]キーを押すと

  • メモリの箱の中に246があることがわかる

じゃあ、今度はこのメモリーの箱の中から、数字を引いてみましょう。6[M-]と押します。そして、先ほどと同じように[MR]を押すと……。はい、240と表示されました。メモリーの箱の中を数字を足したり引いたりする、これが「[M+][M-]キーの仕組みなんです」

  • 6[M-]と入力して[MR]キーを押すと

  • メモリーの箱から6が引かれる

隊員1号:「思ったより単純な機能なんですね。でも、これをどうやって使うんですか?」

上嶋先生:「では、説明しましょう。[MC]キーで、一度メモリーの箱を空にしてください。

たとえば居酒屋さんで、ビール480円×5杯、枝豆280円×3個、炒飯820円×2の合計金額を求めるとします。このとき、普通に電卓を使うと、ビール代を計算してそのへんにメモして、枝豆代を計算してメモして、炒飯代を計算して、その金額にメモを見て、もう一度ビール代と枝豆代を足して合計金額を出す、ってやるじゃないですか」

隊員1号2号:「なりますね(即答)」

上嶋先生:「そこでどうしても紙が必要になってくる。でも[M+]を使えると、ビール代480×5[M+]枝豆代280×3[M+]炒飯代820×2[M+]で、[MR]と押せば、はい、4,880円、と」

  • 480×5[M+]280×3[M+]820×2[M+]と入力して

  • [MR]を押した結果

隊員一同:「おおぉっ!」(思わず拍手)

隊員3号:「そうか!」

隊員4号:「これ滅茶苦茶便利じゃないですか!」

上嶋先生:「説明書では“()付きの計算ができます”なんて書いてありますが、こんな風に実例で説明した方が身近に感じてもらえるんじゃないでしょうか。理解すれば凄く簡単な話で、メモリの中を消す、足す、引く、見る、だけなんです。

これ、使いこなせるとちょっと友達に自慢できますよ。私もカシオに入社してから覚えて、自慢しました(笑)」

LESSON3■「GT」って、なんの略?

上嶋先生:「電卓によって[GT]というキーもありますが、これは『グランドトータル』と読みます。電卓の中には、実は先ほどのメモリーの箱とは別にトータルの箱というのがありまして、こちらは[=]が押されるたびに、どんどん数字が足されて行くんです。なお、メモリーの箱とは違って、引くことはできません。

  • [GT](グランドトータル)とは、つまりこういうこと

実際に使ってみましょう。先ほどの例だと、ビール代480×5[=]枝豆代280×3[=]炒飯代820×2[=]で、この[GT]キーを押します。すると、[M+]のときと同じく4,880円と出る」

  • [GT]キー

  • 足し算であれば、[GT]を使っても同じ計算ができる

隊員一同:「おぉ! 」

上嶋先生:「こんな風に引く必要がない計算では、[GT]の方がラクかも。なお、この[M+][M-][GT]を使いこなせるようになると、複数のお会計とその合計額を一気に計算する、なんてこともできるようになります。

たとえばテーブルAのお会計を[M+]で計算して[=]、テーブルBのお会計を[M+]で計算して[=]、テーブルCのお会計を[M+]で計算して[=]と押して、[GT]キーを押せば、3つのテーブルの合計額を出せるわけです。ここまではあまり使わないかもしれませんが」

隊員1号:「いやぁ、便利ですね。こんなに便利だなんてまったく知りませんでした。実は私もカシオ電卓のユーザーなのに……」

  • 先生が説明をするたびに、隊員たちの目から鱗が落ちまくる