アーティストコースの中で、生徒にアニメーターを選ばせた理由とは

松山氏:ツクモさんからご提供いただいたPCは、現在開校しているアーティストコースで使用しています。そしてアーティストコースを志望した方には、まず「キャラクターアニメーター」のカリキュラムを受けていただいています。これには訳があります。アーティストコースには7つの募集職種がありますが、その理由を知るために下から順にカリキュラムを見ていってみましょう。

スーパーゲームスクールでは、まずアーティストコースが募集された。さらに詳しいカリキュラムがこちらの7つとなる

まず多くの方が志望する「コンセプトアーティスト」、キャラクターデザイナーなども含まれることもあります。しかしこれだけを目指しても、まずゲーム会社に入社はできません。よほど大きな会社であっても、コンセプトアーティストを雇っているケースは極めて稀なんですよ。作るゲームは毎回変わりますから、同じ絵しか描けない人は使い難いんです。ゲームのコンセプトに応じて、都度フリーのイラストレーターなどに発注したほうが良いわけですね。ですからここを沢山の人たちが目指してもまずゲーム業界に入れません。ゲーム業界でコンセプトアーティストを目指すのであれば、世界で1番になるつもりでやらないと無理です。

次に「BG(Background)モデラー」と「キャラクターモデラー」ですが、はっきり言ってまず弊社ではよほど高いクオリティの作品を作れないと雇わないです。みなさんCGツールを覚えるとまずモデリングをするんですが、これはいろはの"い"であって、モデリングはできて当たり前なんです。ツールを与え、ノウハウを教えれば誰でもできることなんですね。そうなると労働力がものをいいますから、近年では大半が中国などに発注されます。人数を必要とする作業において、中国に敵うところはありませんからね。モデラーは、アニメーションが作れる、エフェクトが作れるといった付加価値も付いた人でしか雇いません。ただのモデラーはいらないんです。ただし、アニメーションはレクチャーしても、すぐに作れるものではありません。CGモデルは、写真などを設計図として見せて「これを作ってください」といえば作れる人は沢山います。しかし「カッコイイ動き」には設計図なんてありませんから、アニメーションは中国などでは簡単に制作できないんです。ですからセクシーなポーズは中国で作れても、セクシーな動きは日本国内のクリエイターでないと作れないのです。エフェクトやインタフェースデザインも同様で、代わりが効かない技術なんですね。

ゲームクリエイターの中でも、とくに高い技術を持つキャラクターアニメータースタッフの作業工程を動画で確認。そのアニメーションは、プロフェッショナルでなくては作り出せないものだ

そしてアニメーションはもっともつぶしがきくスキルです。他の職種につくときにも高い付加価値となります。こういった理由から「キャラクターアニメーター」や「シネマティックアニメーター」、「ビジュアルエフェクツアーティスト」をオススメとしているのです。他のコースは、アニメーションが合格点に達した上で、さらに多くのスキルを学びたい方向けのカリキュラムといえます。ゲームクリエイターを目指す方には、このような「現場で求められている技術」を知ってもらい、まっすぐ業界を目指してほしいと思います。

ゲーム開発に必要なスペックを備えたeX.computerのノートPC

── eX.computerのノートPCシリーズはゲーム開発に十分なスペックを備えていますか

松山氏:ツクモさんからPCをご提供いただくにあたり、弊社で実際に使用している開発アプリケーションについてあらかじめご連絡しました。そうしたら、開発ソフトの推奨環境スペックを超えるノートPCをすぐにご提供いただきました。ハイエンドゲーミングPCほどのスペックはありませんが、"CGを動かす"、"アニメーションを作成する"という観点からは何の問題も無いスペックです。学生さんの中にはPCに詳しい方もいらっしゃいますが、不満の声はまったくありません。ツクモさんからご提供いただきましたノートPCはとりわけ性能が高く、開発アプリケーションもスムーズに動作しますので、有望な学生さんに優先的に割り当てています。このようにスペックの高いPCをお借りできるのは、大変ありがたいことですね。

ツクモから提供されている「eX.computer note N1590J-710/E」とマウス。開発用アプリケーションも、余裕をもって動作させることができるため、有望な学生に優先的に貸与しているという

── 開発環境としてノートPCをオーダーした理由はなんでしょうか

松山氏:スーパーゲームスクールは、弊社のオープンスペースを利用したプロジェクトです。生徒さんそれぞれに専用のPCを貸与し、開放時間が始まったらノートPCを取り出し、終わったら片づけるという体制で行っています。ですから、ケーブルの抜き差しを行わなくても良いノートPCが環境に合っているのです。将来的に専用のスペースが確保できれば、よりスペックの高いデスクトップPCも視野に入れたいところですが、しばらくはノートPCで対応していきたいと思います。ただし、今後開校予定となる他のコースでは、アニメーションコースとは異なったスペックが求められます。その際には、別のPCが必要になることもあるでしょう。アニメーションコースを始めるにあたり、適したPCをすぐにご用意いただいたツクモさんには、ぜひ次回も相談したいと思います。

ツクモのBTO PCブランド「eX. Computer」では、多数のクリエイターモデルが販売されている。いずれもゲーム開発をはじめとした多くのクリエイターの需要に応えられるスペックを備えたものだ