フォトグラファー 魚住誠一 (うおずみせいいち)氏
1963年、愛知県生まれ。スタジオアシスタントを経て、94年に独立。一般誌、女性誌、音楽誌、カメラ専門誌など幅広く活躍中。そのほかにも数々の著書も手掛けており、「いちばんかんたんなポートレートの撮り方手帖」(マイナビBOOKS)は昨年刊行。また2007年より毎年夏に行われる自身主催の日本最大級ポートレート合同写真展「ポートレート専科」を開催している。詳しくは魚住誠一公式WEBサイト

フィルムに感光する銀塩カメラにとって代わり、デジタルカメラで写真撮影をするようになってから久しい。これはプロフェッショナルの現場でも同じことで、広告やカタログ、ポスター、雑誌など、商用写真の撮影もデジタル一色となった。以前は35mmや中判などのポジフィルムで撮影、それを専門ラボで現像してもらい、仕上がったフィルムの中から適正露出のフレームをカメラマンが切り出してクライアントに納品する、という流れが一般的だった。だがデジタルが主流になった現在、現像もカメラマンの作業領域となっている。つまりカメラやストロボといった撮影機材だけでなく、現像を行うパソコンもカメラマンにとって大切なツールといえるのだ。

こうした背景を確かめるべく、プロフォトグラファーの魚住誠一氏に現像ツールとしてのパソコンについてうかがった。魚住氏はポートレート撮影に力を入れており、写真をパソコンで現像するだけでなく、加工・修正などのレタッチも積極的に行うという。最近、OpenGL対応のNVIDIA Quadroを搭載した「eX.computer QM7J-B42/S」を導入したばかりだ。


「カメラの性能向上にともない、PCの処理能力アップは必須です」

eX.computer QM7J-B42/Sで写真のレタッチ作業を行う魚住氏

マイナビニュース(以下、MN):撮影の現場においてパソコンの役割は重要かと思いますか?

魚住誠一氏(以下、魚住氏):いうまでもなく重要なツールでしょう。プロユースの現場にデジタルが導入された頃からパソコンの重要性は感じていましたが、特に5年くらい前にその認識をかなり深めました。というのも、当時のアーティストやミュージシャンの写真撮影は、これでもかといわんばかりにレタッチしたからです。レタッチを始めてしまった以上、その後の撮影でも「やるしかない」という意識にかられています(笑)

MN:撮影の道具としてパソコンをみた場合、どのような性能を重視しますか?

魚住氏:私の場合、パソコンに求める性能は時代によって異なっています。それこそレタッチをしまくった5年前は、安定感が第一だと思っていました。そして色の管理という観点も大切なので、Mac Proという選択にしました。当時はそんなに写真の画素数は求められていなかったので、処理能力のことはあまり考えてなかったですね。ただ、デジカメの性能は1年間でどんどんアップする。それにともない、高い処理能力を持ったパソコンの必要性を感じ始めました。2年ほど前には仕事仲間の受け売りでSSD搭載パソコンを導入しています。そして今回は処理性能と精度の高さを求め、OpenGL対応のパソコンを手に入れました。


魚住氏のレタッチの一例。左が処理前、右が処理後で、作業したのは「白目をよりクリアに」「二の腕を若干細く」「鼻頭のテカリを抑える」の3点。eX.computer QM7J-B42/Sで約2分で終了したが、5年前のMac Proでは確実に3分以上はかかるのではないかという (モデル:VANESSA PAN)