アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は6月16日、オンラインで「社会的課題への糸口:医師起業とヘルステック~テクノロジーが加速させる医師の起業~」をテーマにしたメディアラウンドテーブルを開催し、国内のヘルステックスタートアップであるコネクテッド・インダストリーズとアンターの導入事例が紹介された。

ヘルスケア・ライフサイエンス業界でも活用が進むAWS

冒頭、アマゾン ウェブ サービス ジャパン インダストリー事業開発部部長の佐近康隆氏がヘルステックスタートアップのAWS活用の最新動向について説明した。同氏は「新型コロナウイルスの影響で国内スタートアップアップへの2020年の投資金額は前年比で30%以上減少したが、ヘルスケア・ライフサイエンス業界のスタートアップ向け投資金額は10%以上増加した」と話す。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン インダストリー事業開発部部長の佐近康隆氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパン インダストリー事業開発部部長の佐近康隆氏

こうした状況を背景に、直近1年間で国内のヘルステックスタートアップにおいてAWSの活用が「オンライン診療・オンライン服薬指導」「デジタル療法」「医療データ解析」の3分野で拡大しているという。また、今後は「ゲノム解析(創薬研究支援など)」「医用画像のデータ転送・保管・解析」をAWS活用の拡大が見込める分野として挙げている。

今後はゲノム解析、医用画像のデータ転送・保管・解析の分野で活用の拡大が見込めるという

今後はゲノム解析、医用画像のデータ転送・保管・解析の分野で活用の拡大が見込めるという

医用画像では、自治医科大学眼科学講座初のスタートアップであるDeepEyeVisionがAI(ディープラーニング)を用いた医療機関向け眼科画像診断サービスを展開し、推論時のフローに活用している。

自治医科大学の事例

自治医科大学の事例

機微なデータを扱うため、AWSにおいてセキュリティコンプライアンス対応は最優先事項であり、医療情報システムに関する「3省2ガイドライン」に対応し、「医療情報システム向けAWS利用リファレンス」をAWSパートナー各社で改定・公開済み。また、政府情報システムのセキュリティ評価制度(ISMAP)にも今年3月から「ISMAPクラウドサービスリスト」に登録済みだ。

セキュリティコンプライアンスにも対応している

セキュリティコンプライアンスにも対応している

佐近氏はAWS活用のメリットとして「初期投資不要で利用に応じた課金など低コストであり、インフラ調達の俊敏性、弾力性をはじめ、新しい取り組みを加速できる。また、最先端で幅広いAIとマシンラーニングのサービスを利用でき、高いセキュリティを確保している」と胸を張っていた。