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ヘルステックスタートアップが実践するAWS活用術とは

[2021/06/17 14:30]岩井 健太 ブックマーク ブックマーク

コネクテッド・インダストリーズのAWS導入事例

続いて、コネクテッド・インダストリーズ CEOの園田正樹氏と、アンター 代表取締役 医師の中山俊氏がAWSの導入事例についてプレゼンテーションを行った。同氏は産婦人科医、東京大学大学院 公衆衛生学などを学んできたバックグラウンドを持ち、現在のコネクテッド・インダストリーズは病児保育ネット予約サービス「あずかるこちゃん」を提供している。

同サービスを構築する契機について、園田氏は「大学院時代にお母さん方にヒアリングしたところ、突然のこどもの軽い病気で仕事を休み、結果的に退職したという話を聞いた。職場では、離職のリスクや生産性の低下、キャリア支援の失敗など、さまざまな課題があると感じた。こうした状況を変えられないかと思い、会社を立ち上げた」と経緯を振り返った。

コネクテッド・インダストリーズ CEOの園田正樹氏

コネクテッド・インダストリーズ CEOの園田正樹氏

働きつつ子育てする女性の困りごととしては、こどもの急病時における仕事の調整であり、1歳児の場合では年間平均12日も保育園を休むということが調査により判明したという。現状として病児(軽症のこども)を保育園では預かることはなく、全国2000か所の病児保育施設(病児の一時預かり施設でケアと保育を行う)で対応し、半数は医療機関、4割は保育園併設、残り1割が単独・そのほかとなっているが、利用率は30%と低い状況となっている。その理由としては使いづらいことだという。

1歳児の場合、年間平均で12日も保育園を休むという

1歳児の場合、年間平均で12日も保育園を休むという

現状の病児保育のフローは、事前登録し、こどもが発症した際に予約→診察→入室→保育→決済というスキームとなっており、登録や問診票は紙に記入することに加え、空き状況が分からない状態で施設を探し、電話で予約するため、入室までに煩雑な手続きが必要となっている。

一方で、あずかるこちゃんは書類手続きをオンライン化し、施設をマップ検索できるため空き状況を見える化。さらに、LINEやスマホで予約&キャンセルを可能とし、問診票をデジタル化するなど、病児保育の利用をスマホでシンプル化している。

従来の病児保育のフローと、あずかるこちゃんによるフローの比較

従来の病児保育のフローと、あずかるこちゃんによるフローの比較

園田氏は「保護者、施設、市区町村ごとに連携し、AWSで運用している。自治体の子育て支援事業でセキュリティが重要であることから、アレルギーや既往歴など機微なデータを扱うため信頼性のあるシステムとしてAWSを利用している」と説明した。

システム構成図

システム構成図

2020年4月のリリース以降、契約が56施設、登録児童数は1万800人、ユーザー数は8200人、ファミリー数は6800組となり、現状の予約数は1万4000件に達している。今年2月には横須賀市、4月には大分県と寒河江市、5月に山形市と連携。今後、10月には契約施設の詳細ページのローンチを予定している。

あずかるこちゃんのビジネスモデル

あずかるこちゃんのビジネスモデル

アンターのAWS活用術

次に、アンターの中山氏が同社の事例に関して説明した。同氏は2011年に鹿児島大学医学部を卒業し、2016年にアンターを創業しており、医療現場の課題解決として実名制の医師同士のQ&Aサービス「Antaa QA」を提供。

「Antaa QA」の概要

「Antaa QA」の概要

中山氏は「コロナ禍による環境変化により、学会や勉強会などが医療業界では中止になり、医師は自分自身の医学情報がアップデートされないと、良い医療が提供できないという課題があった。そこに対して、これまで対面で得ていた情報をいかにオンラインで提供できるか、ということに取り組んできた」と述べた。

アンター 代表取締役 医師の中山俊氏

アンター 代表取締役 医師の中山俊氏

そうした状況をふまえ、これまでのAntaa QAに加え、動画配信の「Antaa Channel」、資料を共有する「Antaa Slide」をはじめとしたサービスを提供しつつ、医師の診療を支援するプラットフォームとして利用されており、コロナ前と比較してユーザー数は3倍に拡大しているという。

アンターのポートフォリオ

アンターのポートフォリオ

これらのサービスでは、コンテナ向けのサーバレスコンピューティングエンジン「AWS Fargate」とマネージドリレーショナルデータベースの「AWS Aurora」を活用している。

「AWS Fargate」と「AWS Aurora」を活用している

「AWS Fargate」と「AWS Aurora」を活用している

また、1回目の緊急事態宣言の最終日(昨年5月末)に現役医師が介するオンラインカンファレンスとして「つながるちからフェス」を開催し、この際には「Amazon Elemental MediaLive」を導入しており、1000人以上が参加した。その後、アーカイブでも視聴を可能にするため「Amazon Elemental MediaConvert」を利用した。

「つながるちからフェス」では「Amazon Elemental MediaLive」を活用した

「つながるちからフェス」では「Amazon Elemental MediaLive」を活用した

中山氏は今後目指す未来として「現状ではコロナ禍により、医師と患者間、医師と医師間で断絶があるが、当社のプラットフォームにより、オンラインで医師達を支えることで1人の患者さんを治療するときに多様な知見・情報が共有され、日本全体として1人1人の患者さんを治療していく世界を実現していきたいと考えている」と展望を語っていた。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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