田んぼから宅地にして家を建てるには?手続きの方法や費用、注意点を徹底解説

「相続した田んぼに家を建てたいけど、何から始めればいいかわからない」「田んぼを宅地にするのにいくらかかるの?」と悩んでいませんか。

農地には法的に定められた用途があり、届出や許可なしに宅地に転用することはできません。手続きを踏まずに建築を始めると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

この記事では、田んぼを宅地にして家を建てるまでの全体の流れ・費用・注意点を徹底解説します。メリット・デメリットから農地転用の手続き、造成費用の相場まで、はじめての方でもわかるようにステップごとに説明していますので、ぜひ参考にしてください。

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すぐわかる!この記事3つのポイント!
  • 田んぼを宅地に転用するには、農地法に基づく手続きが必要です。この手続きには、農地転用の許可を得るために必要な書類の提出と、市区町村の農業委員会への申請が含まれるでしょう。
  • 宅地への転用後、田んぼを宅地造成するためには地盤改良土地の形状の整備が必要です。これには切土、盛土、地盤固めなどの作業が必要で、適切な業者の選定が重要。
  • 土地の宅地転用が完了した後、正式に住宅建設を行う前に地目変更の手続きを行う必要があります。地目変更には法務局への申請現地調査が伴います。
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目次

田んぼに家を建てるメリット・デメリット

田んぼに家を建てることを検討する際は、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。

田んぼに家を建てるメリット

メリット詳細
土地代が安い農地の坪単価は宅地の数分の1〜10分の1程度。相続した田んぼなら土地代がかからない
広い敷地を確保しやすい農地は一区画が大きいため、100坪以上の広い敷地を確保しやすく、ゆとりある庭や駐車場も確保可能
自然豊かな環境周囲に緑が多く日当たり・風通しが良い。子育て環境としても魅力的

田んぼに家を建てるデメリット

デメリット詳細
地盤改良の費用が高い田んぼは軟弱地盤のためほぼ必ず地盤改良が必要。工法によって30万〜200万円かかる
造成費用がかかる盛土・整地が必要。坪あたり2万〜3万円が相場で、50坪で100万〜150万円程度
湿気・虫のリスク水分が多い土壌のため、湿気対策やシロアリ対策が必須
インフラ整備費用水道・ガス・電気・下水道の引き込みに合計50万〜200万円程度かかる
固定資産税が大幅に上がる農地から宅地に変わると固定資産税が数倍〜10倍以上に増加する
手続きに時間がかかる農地転用の許可申請〜建築完了まで最短でも半年〜1年程度かかる
住宅ローンが組みにくい農地のままでは抵当権が設定できず、融資が下りない場合がある

「田んぼは安い」とは限らない

田んぼの土地代自体は安くても、造成費用・地盤改良費用・インフラ整備費用を加えると、分譲地を購入する場合と同等、またはそれ以上の費用がかかるケースも少なくありません。土地代だけで判断せず、総費用でシミュレーションすることが重要です。

田んぼに家を建てるまでの全体スケジュールと総費用

全体スケジュールの目安

田んぼに家を建てるまでには、大きく分けて5つのステップがあります。全体で最短半年〜1年程度、農振除外が必要な場合は1年半〜2年かかることもあります。

ステップ内容期間の目安
①事前相談農業委員会への転用の可否確認、必要書類の確認1〜2週間
②農地転用市街化区域は届出(1〜2週間)、調整区域は許可(6週間〜2ヶ月)2週間〜2ヶ月
③宅地造成盛土・整地・地盤改良・排水工事1〜3ヶ月
④建物の建築設計・着工・竣工4〜8ヶ月
⑤地目変更登記建物完成後1ヶ月以内に申請1〜2週間

農用地区域内農地(青地)の場合、②の前に農振除外の手続き(半年〜1年)が必要です。農振除外の受付は年に2〜4回程度しかないため、早めに確認しておきましょう。

総費用の目安(建築費を除く)

土地の造成・整備にかかる費用の総額は、条件によって大きく変わります。以下は50坪(約165m²)の場合の目安です。

費用項目金額の目安
農地転用手続き(行政書士委託)3万〜20万円
確定測量・分筆(必要な場合)30万〜70万円
地盤調査5万〜10万円
造成工事(盛土・整地)100万〜150万円
地盤改良工事50万〜200万円
水道引き込み30万〜60万円
下水道引き込み or 浄化槽30万〜100万円
ガス・電気引き込み10万〜30万円
地目変更登記5万〜6万円
合計約300万〜650万円

条件が良い場合(平坦・地盤良好・インフラ近い)は300万〜400万円程度で収まりますが、高低差がある・軟弱地盤が深い・インフラが遠い場合は600万〜1,000万円以上になることもあります。

田んぼを宅地にするため農地転用の申請

この項目では田んぼを宅地にするにあたって必要な申請について解説します。定められた手順やルールに従わないことは法律違反になるため、一番最初に確認しておきましょう。

田んぼの農地転用とは

農地転用とは、文字通り「農業用の土地を他の目的に利用する」ことを指します。

農地の定義は、耕作の目的に供される土地であり、田んぼはもちろんのこと、野菜を作る畑や果樹園、いつでも耕作が可能な状態の耕作放棄地も含まれます。

土地が農地であるかどうかの判断は土地登記簿上よりも現況が優先するため、登録上は山林や原野であっても、実体として農地であると判断されれば農地転用の手順とルールが適用されます。

農地転用には農地法4条及び5条に基づいた手続きが必要であり、違反した場合は3年以下の懲役か300万円以下の罰金が課せられます。

農地転用の種類

農地転用の許可は大きく2種類に分かれて存在しており、1つは4条許可、もう1つは5条許可です。いずれの場合も土地のある市区町村の農業委員会が手続きの窓口となり、許可の可否の判断基準も共通しています。判断基準は以下の通りです。

  • 転用の目的や計画が妥当であるか
  • 目的に対する土地の面積は必要最低限足りているか
  • 目的を達成できる資金力があるかどうか
  • 周辺の農地に悪影響を与えない為の対策が行われるかどうか

4条と5条の違いは、農地転用が誰の為に行われるかによります。

所有者自らが行う4条許可

4条許可は「農地の所有者自身が自分で使う為に、農地を他の目的に利用する際に必要な許可」です。

所有者自身が自分が住む家を農地に建てる場合は、こちらの4条許可を受ける必要があります。

転用について問題がなく、許可が下れば転用可能になります。土地登記簿上の地目変更は、現況が農地でなくなったことを確認してから(この場合は居住用の土地として成立していることが必要)行われます。

所有者以外の為の5条許可

5条許可は「農地の所有者が自分以外の為に土地の所有権を移したり、土地の利用権を設定したりする際に必要な許可」です。

所有者から農地を買い取り、そこを家にしようとする際にはこちらの5条許可を受けなくてはなりません。転用について問題がなく、許可が下れば土地の名義変更が変更され、現況が農地から宅地に変われば土地登記簿上の地目も変更できます。

農地転用に必要な書類一覧

農地転用に必要な書類は以下の通りです。転用の目的によって必要な書類は異なりますが、この項目では宅地転用の場合に必要な書類をあげます。

  • 登記全部事項証明書
  • 位置図
  • 公図
  • 平面図(立面図)
  • 資金証明書

住宅を建てる場合の資金証明書としては、金融機関の残高証明書や住宅ローンの融資決定通知書が有効であるとされています。

農地転用の申請をする流れ

農地転用の申請の流れは、以下の表のようになっています。申請から許可まではだいたい6週間ほどとされていますが、受付や審議の時期はあらかじめ定められています。

いつでも受付があるわけではない為、時期を逃がしてしまうと2ヶ月ほど提出が行えません。

期間手続き
申請書を提出する月の10日まで申請書の提出
提出月の15日から20日ごろ現地調査
提出月の月末農業委員会の審議
提出月の翌月初旬県への進達
提出月の翌月中旬県の農業会議で審議(該当の場合のみ)
提出月の翌月下旬以降許可

上記の期間はあくまで一例であり、自治体によってはこれよりも早く、あるいは遅くなる可能性がある事に留意しておきましょう。

手続き開始から現地調査から許可までの間に建築などに着手した場合は、農地法違反による罰則を受けることがあるため特に注意しましょう。

県の農業会議は申請をした土地が30a(アール)を超える土地の場合に行われます。また、4ha(ヘクタール)を超える場合は更に農政局との協議が必要です。

田んぼの一部だけを宅地にするなら分筆

田んぼを残したまま、一部だけを宅地にしたい場合には分筆が必要です。分筆とは1つの土地を複数の部分に分けて登記を行うことを言います。分けた土地によって異なる権利関係や地目を登記できることが特徴です。分筆は以下の工程で行われます。

  • 土地家屋調査士へ依頼
  • 法務局や役所による現地調査
  • 隣地土地の所有者の立会い
  • 境界確定測量
  • 分筆案の作成
  • 境界標の設置
  • 分筆登記書類の作成、申請

分筆を行うときは確定測量図が求められるため、書類による手続き以外にも測量が必要です。

確定測量について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

市街化区域と市街化調整区域の手続きの違い

農地転用の手続きは、田んぼがある場所が市街化区域か市街化調整区域かによって大きく異なります。まずは自治体の都市計画課や農業委員会に確認しましょう。

区域別の手続き比較

スクロールできます
比較項目市街化区域市街化調整区域非線引き区域
手続きの種類届出許可申請許可申請
届出/申請先農業委員会都道府県知事(4ha以下)都道府県知事
期間約1〜2週間約6週間〜2ヶ月約6週間
行政書士費用3万〜5万円6万〜10万円6万〜10万円
難易度低い高いやや高い
成功率ほぼ100%農地区分による農地区分による

市街化区域の場合(届出制)

市街化区域内の農地は、農業委員会への届出のみで転用できます。書類に不備がなければ基本的に受理されるため、手続きは比較的スムーズです。届出から受理通知書の交付まで約1〜2週間と短期間で完了します。

市街化調整区域の場合(許可制)

市街化調整区域では、都道府県知事の許可が必要です。農業委員会の審議を経て県へ進達されるため、6週間〜2ヶ月程度の期間を要します。農地の区分によっては許可が下りない場合もあります。

農地区分許可の見通し
第3種農地原則許可
第2種農地周辺に代替地がない場合に許可
第1種農地原則不許可
甲種農地原則不許可
農用地区域内農地(青地)原則不許可(農振除外が必要)

農用地区域内農地(青地)の場合は、転用許可の前に農振除外の手続きが必要です。農振除外の受付は年に2〜4回程度しかなく、受付から決定通知まで半年〜1年かかるため、全体で1年半〜2年を要することもあります。

自分で手続きする場合と行政書士に依頼する場合

比較項目自分で手続き行政書士に依頼
費用書類実費のみ(数千円)3万〜20万円(手続きによる)
メリット費用を抑えられる書類不備による差し戻しリスクが低い
デメリット専門知識が必要、差し戻しで数ヶ月遅延のリスク費用がかかる
おすすめ市街化区域の届出市街化調整区域の許可申請

市街化区域の届出は比較的シンプルなため自分でも対応できますが、市街化調整区域の許可申請は書類が多く専門性が高いため、行政書士への依頼がおすすめです。

農地転用後は田んぼを宅地造成

農地転用の手続きが完了した後は、田んぼを宅地造成する必要があります。ここでは宅地造成について解説していきます。

田んぼの宅地造成とは

宅地造成とは、宅地以外の土地を住宅の建設に向いた土地にする為に、土地の形質を変更することを指します。田んぼの上に直接家を建てることは現実的ではないため、家を建てられるような土地に作り替える必要があります。

宅地造成にあたっては整地や伐採、抜根を行い、特に田んぼは地盤が弱っている可能性が高いため、セメントや鋼杭などで地盤改良工事を行うことが多いです。

また、道路との高低差を揃えるための切土、盛土も重要です。土地が道路より高い場合は土地を削る切土を行い、逆に低すぎる場合は土砂で高さを補う盛土を行います。

田んぼの宅地造成業者の選び方

宅地造成と一口に言っても、元が田んぼであるか山林などであるかでは工事の内容も大きく異なります。田んぼからの宅地造成に慣れた業者を選ぶことでより安心につながります。

また、コストを抑えてクオリティの高い成果をあげる為に、業者を比較して選ぶことも重要です。複数業者から見積もりを取り、最も信頼できる業者を選びましょう。

宅地造成の流れ

宅地造成の流れは以下の通りとなります。

  • 地鎮祭
  • 地盤調査
  • 切土・盛土
  • 地盤固め
  • コンクリート敷設や擁壁の設置
  • 宅地造成完了

工事の完了までは数ヶ月間かかることもある為、あらかじめ業者と相談しておきましょう。

家を建てるため追加で水道管の引き込み工事

ほとんどの場合で住宅には水道を通すため、宅地造成に加えて水道管の引き込み工事が必要になります。

水道管の工事は高額で長期間に渡ることが多く、加えて水道本管と土地の間に他人の敷地をまたぐなど場合は、工事がより大掛かりになりトラブルも発生する可能性があるため、一層の注意が必要です。

造成後の土地に家を建てたら宅地へ地目変更

宅地造成を終えてもやるべき事は残っています。実体としては宅地に生まれ変わった田んぼですが、地目の上では以前と変わりありません。ここで必要になるのが地目変更です。

土地の地目変更とは

地目変更とは、土地の種類を変更する登記を指します。田んぼを書類上でも宅地にするためには地目変更が必要で、実体が宅地に変わってからの1か月以内に変更手続きを行う必要があります。

田んぼであった土地に家を建てる場合は、宅地造成の工事が完了した時点から1か月以内での変更が必要です。

農地転用はあくまで転用の許可を得る為だけの手続きであるため、現況が宅地に変わった段階で改めて地目変更を行わなければなりません。

地目変更を行わなかった場合は10万円以下の過料支払いを求められる事があり、また住宅ローンも組めない場合もある為、忘れずに行うようにしましょう。

地目変更に必要な書類一覧

地目変更に必要な書類は以下の通りです。

  • 地目変更の登記申請書
  • 土地の案内図
  • 農地法の許可書・届出書

登記簿住所と現住所が異なっている場合は、加えて住民票の写しまたは戸籍の附票が必要になります。

宅地に地目変更をする流れ

地目変更の流れは以下のようになります。

  • 法務局に地目変更申請書を提出
  • 法務局による現地調査
  • 地目変更申請書の作成・提出
  • 登記完了証を受け取る

地目変更は約1週間ほどかかり、基本的に土地の所有者が行います。

しかし、分筆を加えて行っている場合には、地目変更以外の登記が必要になりますが、これには専門的な知識を求められます。司法書士や土地家屋調査士へ登記を依頼し、より確実な手続きを行うことをおすすめします。

家を建てる際に、他の物件も見てみたい人、詳しく比較したい人は以下の記事を参考にしてください。

田んぼを宅地にするまでにかかる費用

田んぼを宅地にするまでには多くの手続きと工事が必要であることをここまで紹介しましたが、それまでにかかる費用はどれほどのものになるのか、というのも気になるところではないでしょうか。

この章では田んぼを宅地にするまでにかかる費用を包括的に解説していきます。

農地転用の申請にかかる費用

農地転用の申請自体には費用はかかりませんが、提出に必要な書類を揃える過程で手数料がかかります。

また、農地転用の項で紹介した通り、必要な書類が非常に多岐に渡るため、行政書士へ依頼を行う人も少なくはありません。そうした場合には依頼費用として数万円の費用がかかります。

土地の分筆にかかる費用

分筆を経て農地転用を行った場合は分筆の費用もかかります。

農地転用の申請と同じく書類を揃える上で手数料が必要ですが、こちらはより専門的な知識が求められる申請になるため、司法書士や土地家屋調査士への依頼するのがおすすめです。依頼費用としておよそ6万円ほどが必要です。

また、分筆においてはほとんどの場合で確定測量が必要で、その費用は25万円ほどがかかります。土地の分筆にかかる費用は全部で30万円以上を見込んでおきましょう

田んぼの宅地造成にかかる費用

宅地造成の工事費用は、造成工事を受ける土地の性質によって異なります。切土が必要であれば切土の費用が、地盤改良が必要であれば地盤改良の費用が求められます。また、傾斜が3度を超える土地では工事の困難さから費用が増加します。

また、同じ土地に対する造成のやり方は業者によって変わるため、どの業者に発注するかで費用も変わります。場合によっては大きな金額差が生まれるため、なるべく複数の業者に見積もりを取るようにしましょう。

造成費用は田んぼの状態や面積によって大きく変わります。以下は主な工事の費用目安です。

工事内容単価の目安
整地600〜700円/m²
盛土6,500〜8,000円/m³
排水工事(暗渠排水)10,000〜25,000円/m
擁壁工事3万〜10万円/m²

坪数別の造成費用の目安は以下の通りです。

坪数造成費用の目安(盛土・整地・排水含む)
30坪(約100m²)60万〜90万円
50坪(約165m²)100万〜150万円
100坪(約330m²)200万〜300万円

※高低差がある場合や軟弱地盤の度合いによっては、さらに費用が増加します。

地盤改良にかかる費用

田んぼは軟弱地盤であることが多く、ほぼすべてのケースで地盤改良が必要です。主な3つの工法と費用は以下の通りです。

工法適用条件費用の目安(30坪)工期
表層改良軟弱層が地表から約2m以内30万〜90万円1〜2日
柱状改良軟弱層が地表から2〜8m100万〜150万円2〜3日
鋼管杭軟弱層が地表から5〜10m以上150万〜200万円1〜2日

どの工法が必要かは地盤調査(5万〜10万円)の結果で判断します。田んぼの場合は柱状改良が採用されるケースが多く、実例では建坪32坪の住宅で地盤改良に約156万円かかった報告もあります。

宅地への水道管引き込みにかかる費用

宅地への水道管引き込み費用は30~50万円ほどとされています。水道管の口径や水道本管からの距離によってより高額になる場合もある為、工事の前に確認をしておきましょう。

工事費用とは別に、給水申込納付金分割管理手数料設計手数料が必要とされます。

給水申込納付金は水道管の口径によって料金が変わり、13mmの場合では2万円で済んだものも、25mmでは最高で60万円以上もの金額になる場合があります。各種手数料はそれぞれ5,000円前後が相場とされています。

水道管以外にもインフラの引き込み費用がかかります。田んぼのエリアでは下水道が未整備の場合も多く、浄化槽の設置が必要になることもあります。

インフラ費用の目安
水道管引き込み30万〜60万円(1mあたり15,000〜20,000円)
ガス引き込み(都市ガスの場合)10万〜20万円
電気引き込み10万〜20万円
下水道引き込み30万〜80万円
浄化槽設置(下水道がない場合)80万〜150万円(補助金で実質30万〜80万円)

※道路を掘削する必要がある場合や距離が長い場合は、水道管引き込みだけで100万円超になることもあります。

地目変更にかかる費用

農地転用の場合と同じく、地目変更自体には費用はかからず、提出書類に手数料がかかります。

司法書士等に依頼を行った場合も同じく数万円を依頼費用として支払う必要があります。分筆を経た地目変更の場合は、司法書士や土地家屋調査士への依頼したほうが良いため、そのための費用が必要になります。

田んぼを宅地にするときの注意点

この項目では田んぼを宅地にするにあたっての注意事項を解説します。田んぼを宅地にする為に必要な事や、そもそも田んぼを宅地にできないケースなど、極めて重要な事項となるためチェックしておきましょう。

家を建てるため接道義務を守る

接道義務とは、建築基準法に定められた住居建築においてのルールです。

公道から建築物へ移動する際に、他者の私有地を通過しなければならないようではトラブルの発生のもとにもなってしまうため、接道義務を満たさない限りはいくら私有地であろうと住居の建築を行う許可を受けられません。

接道義務の要件は、建築基準法第43条の規定において「建築物の敷地が、道路に2m以上接しなければならない」と定められています。ここにおける「道路」とは、建築基準法第42条で定められる「幅員が4m以上の道路」です

したがって、家を建てる為には基本的に「幅4m以上の道路に家の敷地が2m以上接している」必要があります。道路の幅が4メートル以下の場合にはセットバックを行うことで建築が可能になります。

セットバックとは道路の幅が狭い分、境界線を敷地側に交代させ道路側4m幅に確保することです。

これによって幅4m以下の道路に接する土地でも家の建築が可能になりますが、使用できる敷地面積は減ってしまうことに注意してください。また、セットバックは新築の建築物だけに求められます。

接道義務を満たせない限り、家を建築する許可を行政から受けられない可能性が高いため、土地が接道義務を満たせるかどうかを事前に確認しておきましょう。

安全性を高めるため地盤改良をする

一般的に、水を多用する農地である田んぼは地盤が弱いとされています。乾燥した土よりも、水を加えた土(泥)の方が柔らかく脆いのと同じことです。

また、田んぼは水を引くために他の道路よりも位置が低く、宅地造成の一環では盛土で埋め立てる工事が必要になる場合がほとんどであると言えます。

しかし、埋め立て地に家を建てると地盤沈下が起こりやすいとされるため、田んぼは一見すると居住用の土地としては不向きに見えます。

しかしかつて田んぼであった土地に家を建てて住む例は古来より数多くあります。ここで重要なことは地盤改良をしっかりと行うことです。将来の安心の為にもセメントや鋼杭による地盤改良工事はしっかりと行うべきでしょう。

地盤改良の費用は、地下にある強い地盤(支持層)と地表との距離によって異なります。地盤調査と併せて、専門業者に相談・見積もりの依頼をしましょう。

固定資産税の変動に注意する

田んぼから宅地に地目変更すると、固定資産税が大幅に上がります。一般的な農地の固定資産税は年間数千円程度ですが、宅地に変わると数万〜十数万円になるケースがあります。

土地の状態固定資産税の目安(200m²の場合)
田んぼ(一般農地)年間 数千円〜1万円程度
宅地(更地のまま)年間 数万〜十数万円
宅地(住宅あり)年間 1万〜3万円程度

ただし、住宅を建てると「小規模住宅用地の特例」が適用され、200m²以下の部分は固定資産税の評価額が6分の1に軽減されます。更地のまま放置するよりも、住宅を建てたほうが固定資産税は安くなる点を覚えておきましょう。

住宅ローンの注意点を理解する

田んぼに家を建てる場合、住宅ローンにはいくつかの注意点があります。

農地のままでは住宅ローンが組めない

地目が「田」のままでは、金融機関が抵当権を設定できないため、原則として住宅ローンの融資は受けられません。特に市街化調整区域の農地は、融資を断られるケースもあります。

つなぎ融資が必要になる場合がある

住宅ローンは建物の完成時に実行されるため、それ以前に必要な土地代・造成費・着工金などの支払いにはつなぎ融資を利用します。つなぎ融資の金利は年2〜4%程度と住宅ローンより高く、事務手数料なども含めると30万〜50万円程度の追加費用がかかります。

農地転用の手続きと住宅ローンの進め方

  • 住宅ローンの事前審査(仮審査)を申し込む
  • 仮審査結果通知書を農地転用許可申請の資金証明書として添付する
  • 農地転用の許可を取得する
  • 農地転用許可証を添付して住宅ローンの本審査を申し込む
  • 造成・建築を開始(つなぎ融資を利用)
  • 建物完成後に住宅ローン実行 → つなぎ融資を一括返済

住宅ローンの事前審査と農地転用の申請は並行して進めるのがポイントです。

ハザードマップで浸水・液状化リスクを確認する

田んぼは元々水を溜める場所であるため、浸水リスクや液状化リスクが高い可能性があります。家を建てる前に必ず以下の方法で確認しましょう。

  • 国土交通省ハザードマップポータルサイトhttps://disaportal.gsi.go.jp/)で洪水・土砂災害・液状化のリスクを確認
  • 自治体の液状化危険度マップで詳細なエリア情報を確認
  • 地盤調査(SWS試験)で実際の地盤強度を確認(費用:5万〜10万円)

田んぼは地下水位が高い場合が多く、砂質地盤であれば液状化リスクが高いとされています。リスクが高い場合は地盤改良工法の選定に影響しますので、必ず建築前に確認してください。

宅地にできない田んぼがある

農地の中には宅地への転用が認められないもの、あるいは認められにくいものがあります。以下の農地に分類されるものが該当します。

  • 農用地区域内農地
  • 市街化調整区域
  • 甲種農地
  • 第1種農地

農用地区域内農地

農用地区域内農地は、農業振興地域整備計画に基づいて定められた土地です。農地としての生産性が高い農地として指定されているため、原則として農地転用が認められることはありません

農地転用を行う為には、農業振興地域からの除外申請が必要ですが、申請の条件を満たすことは難しいとされ、転用を断念する場合がほとんどであると言われています。

市街化調整区域

市街化調整区域都市計画法に基づいて定められた地域のことを指し、市街化を抑制する為に住宅や商業施設の建築が原則認められません。許可を得られた場合は建築が可能です。

甲種農地

甲種農地市街化調整区域内の土地改良事業が8年以内に実施された農地を指します。農用地区域内農地と同じく農地としての生産性が高いため農業公共投資の対象となっており、そのため原則として農地転用が認められません。

転用先が農業用施設であれば認められることもありますが、住宅にするのは難しいと言えます。

第1種農地

第1種農地10ha以上の集団農地で、土地改良事業などの対象となった農地を指します。農用地区域内農地や甲種農地と同じ理由で原則として農地転用が認められませんが、転用先が農業用施設の場合は認められる可能性があります。

宅地にできない農地は売却することも選択肢

宅地にするのが難しい農地は所有するだけで固定資産税がかかるため、売却することも検討しましょう。

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田んぼに家を建てることに関するよくある質問

「造成工事・地盤調査・地盤改良工事」をしっかりと行えば問題ありません。田んぼは軟弱地盤ですが、表層改良・柱状改良・鋼管杭などの工法で適切に地盤改良を行うことで、安全な住宅を建てることができます。

市街化区域であれば最短半年程度、市街化調整区域では1年以上かかることもあります。農振除外が必要な場合は1年半〜2年を見込んでおきましょう。早く家を建てたい方は早めに農業委員会に相談を始めることが重要です。

一般的な農地の固定資産税は年間数千円程度ですが、宅地にすると数万〜十数万円になることがあります。ただし、住宅を建てると「小規模住宅用地の特例」が適用され、200m²以下の部分は評価額が6分の1に軽減されます。更地のまま放置せず、住宅を建てることで税負担を抑えることが可能です。

市街化区域の届出であれば、書類がシンプルなため自分でも対応可能です。費用は書類の実費(数千円程度)で済みます。ただし、市街化調整区域の許可申請は書類が多く専門知識が必要なため、行政書士への依頼がおすすめです。行政書士への依頼費用は届出で3万〜5万円、許可申請で6万〜10万円が相場です。

農地のままでは住宅ローンは原則組めません。金融機関が農地に抵当権を設定できないためです。住宅ローンの事前審査(仮審査)を受け、仮審査通過後に農地転用の許可申請を進めるのが一般的な流れです。造成工事や建築着工前の費用にはつなぎ融資を利用します。

適切な対策を取れば問題ありません。湿気対策としてはべた基礎の採用(床下全面をコンクリートで覆う)、防湿シートの敷設床下換気が有効です。シロアリ対策としては新築時の防蟻処理と5年ごとの再処理、床下の定期点検が重要です。

親が所有する田んぼに子が家を建てる場合は、農地法第5条の許可(所有者以外の者が転用する場合)が必要です。親から子への贈与や使用貸借(無償で借りる)であっても、農地転用の許可申請は必要になります。将来の相続を見据えた名義変更のタイミングについても、行政書士や司法書士に相談しておくとよいでしょう。

まとめ

田んぼを宅地にして家を建てるには、農地転用の申請→宅地造成→建築→地目変更という大きな流れを踏む必要があります。

手続きの期間は市街化区域で最短半年程度、市街化調整区域では1年以上かかることもあり、早めの準備が重要です。費用面では、造成・地盤改良・インフラ整備を含めて300万〜650万円程度(建築費を除く)を見込んでおきましょう。

田んぼの土地代は安い一方で、地盤改良や造成にまとまった費用がかかるため、土地代だけでなく総費用でシミュレーションすることが大切です。

まずは以下の3つから始めてみてください。

  • 田んぼのある自治体の農業委員会に相談し、転用の可否を確認する
  • ハザードマップで浸水・液状化リスクを確認する
  • 複数のハウスメーカーに相談し、造成費用を含めた総費用の見積もりを取る

田んぼ(農地)から宅地への変更については、次の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

家を建てる際に、他の物件も見てみたい人、詳しく比較したい人は以下の記事を参考にしてください。

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