瞬殺システム「マーク&アクション」が攻撃型ステルスアクションの次世代を担う

今作には、サムの怒り具合と、攻撃型ステルスアクションを象徴するシステムが搭載されている。それが「マーク&アクション」(以下、M&A)だ。

「マーク」とは、オブジェクトに対して照準を当てた状態で右サイドボタンを押して対象に「印アイコン」を付ける行為をいう。そして「アクション」とは、このマーク状態中に[Y]ボタン(アクションボタン)を押すことで、事前にマークしたオブジェクトをサムが確実に撃ち抜いてくれる行為のことだ。

これまでの「スプリンターセル」シリーズでもサムは銃を撃つことは出来たが、あくまで隠れることがメインであり、射撃はサブ要素にすぎなかった。今作では、あまりものの怒りのせいか、彼は、その超人的な射撃技能を初めて我々の前に披露したようだ。

「マーク」は初期状態のサムでは2個まで。ただし、武器をアップグレードするなどすれば、最大で4人までの「マーク」が可能となる。

「マーク」はトグル操作で任意にオン/オフが可能。そして射程距離内であれば、サムが敵の方向に向いていなくても、アクション発動で自動的に狙いを定め直して確実に対象を撃ち抜いてくれる。なので、「マーク」した敵はほぼ確実に死に追いやれると思っていてよい。シューティングゲームで言うところの「ボム」的要素といった感じだろうか。

一度「マーク」した敵は射程距離内にいる限りは「アクション」発動で瞬殺!! これが今作新要素の「マーク&アクション」

ただし、武器によっては射程距離制限があったり、射程距離内でも、サムと「マーク」対象者の間に遮蔽物があると射撃が命中しない場合がある。ここは注意なければならないポイントだ。

「マーク」を付けた敵は、たとえその敵の姿が壁越しとなって見えなくなっても、「マーク」だけは敵の位置を追従し続ける。射程距離内の「マーク」は赤、射程距離外になると灰色に変化する。壁越しに消えた敵は、たとえ直線距離が近距離でも「マーク」は灰色になる。灰色マークになってしまっても、敵との相対位置関係は分かるので、撃つ気がない相手でも、とりあえず「マーク」しておいて、その「マーク」の動きで敵の行動パターンを知る……といった戦略をとることはできる。

ちなみに「この『マーク&アクション』は強力すぎない?」という心配は無用だ。今作のゲームバランスは崩れていない。というのも、「M&A」は一度利用すると、次に格闘戦で敵を倒すまで、再利用できないのだ。

格闘戦は敵の近くで[B]ボタンを押すことで発動できる。敵との相対位置で格闘戦のアクションが異なるが、敵の反撃を受けずにローリスクで敵を格闘戦で倒すには、従来の「スプリンターセル」シリーズのように背後から忍び寄って静かに屠ることが奨励される。「M&A」が、格闘戦を行うことでしか復活しないという制限は、プレイヤーに敵との直接コンタクトを強いるゲームらしいルールであり、ゲーム展開が単調にならないようにするための絶妙な工夫であるともいえる。

攻撃的にステルスする。これが今作のコンセプトだ。最新ガジェットを駆使して敵の位置を先に知ることが先決

さて、「M&A」で瞬殺できるのは、前述したように武器アップグレード時にでも最大4人程度まで。実際のゲームでは4体以上のもっと多くの敵が出てくる。では、どのようにこの「M&A」を活用すればいいのか?

実は、ここに今作ならではの独自のゲーム性が隠れている。まず、敵がマークした総数よりも1人2人多い場合。この時、先制攻撃として「M&A」で敵を倒してしまうと、倒しきれなかった残りの敵達がサムの襲撃に驚いて隠れ出したり、激しい反撃をしてきたりする。

そこで、有効なのは、手動で狙いやすい近距離の敵を先に撃ち殺して、すぐさまその直後に「M&A」を発動する戦略。不安要素の高い手動射撃で、仕留めやすい敵を先に撃退し、その後に安定感のある「M&A」で残る敵を撃退するようにするのだ。手動攻撃によって、敵はにわかにざわめき出すが、その直後に「M&A」の瞬殺が発生するので、反撃体制を整えられる前に敵の数をグッと減らすことができる。ちなみにファーストアタックを仕掛ける前に事前に「マーク」しておくべきなのは、直接プレイヤー操作で狙いを定めて撃つのが難しい位置の敵達だ。

手動攻撃と「M&A」の連携を使いこなせば、より多くの敵をローリスクに倒すことができる

この「M&A」とその周辺のゲームシステムにより、今作は非常に、タクティカルなゲーム性を身に付けることとなった。例えば、新しいシーンにやってきたときに、まずは敵の位置と行動パターンを観察し、誰を「M&A」で倒して、誰を手動で倒すべきかを考えることになる。

「M&A」は、人間だけでなく、非生物も「マーク」可能なので、可燃性オブジェクトを撃って周辺の敵を誘爆死させたり、あるいはシャンデリアを吊っている鎖を撃って、その下の敵をまとめて一気に押しつぶして倒す……といったことを連携に組み込むこともできる。全てが"読み"通りに行ったときの爽快感は格別だ。

大勢の敵との乱戦状態下での銃撃戦はさすがのサムにとっても不利なので、いかに最初の「手動攻撃」+「マーク&アクション」のコンボで敵を減らせるか、ここが今作の攻略のポイントになる。

(次ページへ続く)