リコー「GXR」は、レンズだけでなく撮像素子と画像エンジンも一緒に、ユニット交換できるデジカメだ。単焦点レンズに大型センサーを組み合わせたユニットと、3倍ズームに小型センサーを組み合わせたユニットが、ボディと同時に新発売となる。ここでは単焦点レンズ付きユニットを試用し、そのレビューをお伝えしよう。発表時の推定市場価格は、ボディが5万円前後、単焦点レンズ付きユニットが3万5,000円前後、ズーム付きユニットが4万円前後。現在の市場価格はマイコミジャーナル価格情報をご覧いただきたい。なお、今回のレビューでは発売前のβ機を使用している。

GXRと「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」

ユニット交換の3つのメリット

コンパクトデジカメGXRは、ユニット側はレンズと撮像素子、画像処理エンジンで構成され、ボディ側には液晶モニターや操作ボタン、メモリーカードスロット、バッテリーなどが備わっている。ユニットはスライドイン・マウント機構で着脱ができ、1つのユニットを取り付けた状態で1台のカメラとして成立する。

なぜ、「レンズ交換」ではなく「ユニット交換」なのか。考えられるメリットは大きく分けて3つある。1つは、レンズと撮像素子、画像処理エンジンの3要素を一体化することで、それぞれのマッチングが取れた画質を生み出せることだ。

スライドイン・マウント構造によってユニットの着脱・交換ができる斬新な仕掛け

左は、50mm相当の単焦点レンズ付きカメラユニット「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」

たとえば従来の一眼レフ機のように、せっかく高精細なセンサーを採用しても、それに見合う高解像レンズを使用しなければ、センサーの性能を十分に発揮できない、といった問題はGXRにはない。画質を決定する3要素を常にベストな組み合わせで設計・搭載できるのだ。

2つ目は、撮影のシーンや目的に応じて、レンズだけでなく撮像素子を選べる自由度が広がること。たとえば、広範囲にピントを合わせたパンフォーカス的な撮り方をしたいなら小型センサー内蔵のユニットを、背景をぼかしたソフトなイメージを狙うなら大型センサー内蔵のユニットを、それぞれ使い分けることができる。

今回、第一弾として登場する2つのユニットは、その使い分けに当てはまる。つまり、1/1.7型CCDと3倍ズームを組み合わせたユニット「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」は被写界深度が深く、速写性を生かしたスナップ向き。いっぽうAPS-CサイズのCMOSと単焦点レンズを組み合わせたユニット「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」は被写体深度の浅さを利用したボケの表現向けといえる。もちろん、その使い方に限るわけではない。

さまざまなシステム展開を考慮し、ボディ側の結合部は3方向が開放されている

レンズ交換ができるデジカメとしては世界最小・最軽量のシステムを実現した

3つ目のメリットは、カメラに限定しないシステムとしての拡張性だ。今のところ前述の2つのユニットのほかに、高倍率ズームと高速CMOSを組み合わせたユニットの来年発売が予告されているが、さらに将来のアイデアとして、プリンタやプロジェクター、ストレージなどカメラ以外のユニットもありえる。同社の説明では、そうした将来的な展開を想定した上で、ユニット交換システムを設計したとのことだ。

以上のように、さまざまな活用法や可能性が広がるカメラであることは間違いないが、実際の使い勝手や画質はどうなのか。次ページ以降で見てみよう。…つづきを読む