パナソニックから初の「マイクロフォーサーズシステム」対応のレンズ交換式デジタル一眼カメラ「LUMIX DMC-G1」を発売した。非常にコンパクトでユニークなカメラだ。DMC-G1はオープン価格だが、実売価格はボディのみが約7万7,000円、「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」が付属したレンズキットが約82,000円、さらに望遠ズーム「LUMIX G VARIO 45-200mm/F4.0-F5.6/MEGA O.I.S.」を加えたダブルズームレンズキットが約11万3,000円で販売されている(価格はマイコミジャーナル「価格情報の12月10日現在の平均価格)」。
DMC-G1はレフレックス(反射)機構を持たないため、正しくは一眼"レフ"カメラではありませんが、話が複雑になるため、ここではレンズ交換式の一眼カメラを「一眼レフカメラ」と総称しています。
デジタルの時代が求める必然的なカメラ
「DMC-G1」は一見ユニークに見えるが、非常に意欲的であり、よく考えると必然的なカメラである。マイクロフォーサーズの発表会で繰り返し説明されたのは、現在のデジタル一眼レフはコンパクトカメラユーザーにとってまだまだ重く、難しいという点だった。そのためにコンパクトと一眼レフの掛け橋になるようなカメラが必要であるとも。
持ち運んで使用するカメラにとって、「小型・軽量」は最重要ともいえるテーマである。その場所にカメラを持っていかなければ撮影できないのだから当然だ。過去、フィルムの一眼レフでも、オリンパスの「OM」シリーズなども小型・軽量という特長で人気を博した。
もうひとつ、デジタル一眼レフにとって「ミラー」の存在はやっかいなものだった。ファインダー像を得ることや、位相差式のオートフォーカスなどのために必須となるミラー機構だが、これがあるためにシャッター音やショックが出るというだけでなく、ライブビューの邪魔になるし、連続撮影などの足かせにもなっている。
DMC-G1はコンパクトというだけでなく、ミラーを持たない初のデジタル一眼カメラとなった。ミラーやペンタ機構を無くすことで極端な小型化を可能にし、ライブビュー+EVF(電子ビューファインダー)を搭載した。これはデジタルカメラの進化の方向として、極めてまっとうだといえる。
フォーサーズとマイクロフォーサーズの関係。フォーサーズの特長のうち、小型・薄型化を追求したのがマイクロフォーサーズ |
ミラーユニットを無くすことで、大幅なボディの薄型化を可能にした |
レンズマウントは6mm小径化。さらに電気接点を9点から11点に増加。増えた分は主にオートフォーカスの制御に使われている |
DMC-G1に課せられた責任と選択
ミラーやペンタ部を持たないのだから、スタイルはどのようにでもできたはず。中央を山型に持ち上げる必要はないし、ファインダーをカメラの端に持っていくことも可能だろう。スマートなレンジファインダーのようなスタイルも可能だったはずだ。しかしDMC-G1は一眼レフをそのまま凝縮したような、オーソドックスなスタイルとした。
これはコンサバティブなユーザーが多い一眼レフ市場に合わせたという面もあるだろうが、もうひとつ、DMC-G1がある意味でフラッグシップであるとことも見逃せない。パナソニックは「DMC-L10」もあるが、市場全体の中で絶対的な地位を得ているとはいいがたい。DMC-G1は"パナソニックの一眼レフ"を市場に認めさせなければならないのだ。
さらに、マイクロフォーサーズを一眼レフの一員として認知させる意味もはるはずだ。これがコンパクトに近いスタイルだったら、マイクロフォーサーズはコンパクトカメラのひとつにイメージされてしまう可能性もある。DMC-G1が背負い込んでいる役割は大きいのだ。だからDMC-G1のスタイルはこれでいいと思う。もっと斬新なスタイルが欲しければ、この次のモデルか、オリンパスから登場するマイクロフォーサーズを待てばいい。
せめてもの抵抗がカラーバリエーションだろう。いままで一眼レフといえば黒ばかりで、まれにシルバーが用意される程度だった。DMC-G1は黒のほか、赤と青を用意した。どれもマット調の仕上げで、高級感もある。悪くないと思う。