米Adobeの同社Webアプリケーション開発者向けカンファレンス「Adobe MAX 2008」が米カリフォルニア州サンフランシスコ市内で11月17日(現地時間)より開催されている。Macromediaが開催していた開発者カンファレンス「MAX」を同社買収後のAdobeが引き継いだものだが、Flashプラットフォームの広がりとともに年々注目度が上がり、今年は参加者が5,000人を超える比較的大規模なものとなっている。デスクトップとWebの橋渡しとなるAdobe AIR、新バージョンのFlash 10、携帯電話などのPC以外のデバイスでの利用の拡大など、さまざまなアナウンスが行われた。
当初はクリエイティブ的要素の強かったFlash技術だが、Flexが登場したことでビジネス的活用やRIA的側面が特にフィーチャーされるようになり、昨年にはついにAIRが登場してデスクトップアプリケーションやオフラインでの活用など、一大プラットフォームとも呼べるエコシステムを築きつつある。今年のAdobe MAXのテーマを挙げるとすれば、このエコシステムの広がりという点に尽きるだろう。また広がりという意味でいえば、「Flash Lite」の登場でPC以外の携帯電話といった分野にもエコシステムが拡大しつつあり、以前のJavaで成し得なかった「Write Once, Run Anywhere」が本当の意味で実現されつつあるともいえる。
MAXのキーノート冒頭に登場した米Adobe社長兼CEOのShantanu Narayen氏はこうしたFlashエコシステム拡大の様子をスライドで示し、「金融危機をはじめ、技術革新が節目を迎えるなか、Flashはその役割を拡大し続けている」とコメントした。Flash PlayerやFlex、AIRだけでなく、"Thermo"の開発コード名で呼ばれていたFlash Catalyst、Flex Builderの次期バージョン"Gumbo"など、こうした周辺ツール群もまたFlashエコシステムを支える一員だ。こうしたエコシステム拡大を示す好例が、Flash技術を活用した事例の数々だろう。
Flashで広がるAdobeのWebエコシステム。"Thermo(開発コード名)"こと「Adobe Flash Catalyst」ほか、Flex Builderの次期バージョン「Gumbo(開発コード名)」など、FlashやFlex、AIR以外の周辺ツールも充実しつつある |
U2のアーティストであるBonoが推進する途上国支援プロジェクト「RED」がある。赤色iPodなどでメジャーな存在だが、企業にとってはCSR(Corporate Social Responsiblity)という意味で絶好のアピールポイントともいえる。REDでは、数々の著名アーティストが参加して優良音楽配信を行っている「(RED)WIRE」というサイトがあり、ここでAdobe AIRが活躍している。同サイトでの売上はREDを通じて途上国支援に活用され、Flash技術がそれをバックアップするという形態だ。