Narayen氏に続いて登場したのは同社CTOのKevin Lynch氏だ。同氏がまず紹介したのはリリースされたばかりの"Astro"ことFlash Player 10で、その新機能の数々をアピールした。3D APIの刷新や新エフェクトの追加、音楽機能の強化、テキスト表示に対する各種エフェクトなど、主にオーディオ/ビジュアル面での大幅機能強化が図られているのがFlash 10の特徴だ。また64ビット対応を謳っているのも同バージョンの特徴で、まず他のプラットフォームに先行する形でLinux版ベータの提供開始がアナウンスされている。Flashの64ビット未対応はWindowsの64ビット環境への移行を阻害する要因の1つと言われており、これは大きな進歩だ。Lynch氏によれば、ユーザーがオンラインで動画を閲覧する際のFlash利用率が9割を超えており、それだけFlashの重要性が高まっていることを意味している。
comScoreの集計によれば、インターネット上で動画を見るユーザーの9割近くがFlash経由でこれら動画の再生を楽しんでいるという |
Flashの活用例。Walt Disneyのサイトでは、動画再生からキャラクターのアニメーションまで、さまざまなインタラクティブコンテンツがFlashベースで実現されている |
このFlash Player 10を包含したのが、AIR最新バージョンのAdobe AIR 1.5だ。前述の特徴に加え、Linux / OS X / Windows対応、JavaScript動作やレンダリングエンジンの高速化、セキュリティ強化などが図られている。
新バージョンのAIR 1.5が登場。新バージョンでの特徴はFlash Player 10を内蔵したほか、Webkit+SquirrelfishによるJavaScript動作の高速化、Linux / OS X / Windowsら3 OSの同時サポート、ローカルDBのデータ保護機能など、パフォーマンスと安全性の両面での機能強化が図られていること |
AIRの最新事例として紹介されたのは、New York Times系列のInternational Herald Tribuneの記事を読む専用Readerだ。Webから記事データを読み込み、新聞と同様のカラム式のスタイルでレイアウト表示する。オフラインでの閲覧はもちろんのこと、オンラインになった段階で定期的にサイトを巡回して常にReaderの情報が最新状態になるように同期する。だが特筆すべきはレイアウトの柔軟性で、画面をリサイズすると、そのウィンドウに最適化する形でレイアウトが変更される。カラムだけでなく、ハイフネーションも含めて自動調整される点が特徴だ。またAIRベースという点を活かし、MIDのようなPC以外の端末でも利用できる点がアピールされた。
AIRで構築されたアプリケーションの「International Herald Tribune Reader」。New York Times系列のWeb記事を読むための専用リーダーだが、画面のリサイズでレイアウトやハイフン付けなどを自動的に最適化する機能がある。前記事をレイアウトごとサムネイル化したり、インタラクティブ形式でクロスワードパズルを楽しめるなど、ビジュアルやお遊び要素も満載だ |
International Herald Tribune Readerを小型インターネット端末(MID)上で稼働させたところ。タッチパネルでPCと同様に操作できる。動作環境を選ばないAIRならではの特徴だ |
またFlashやAIR活用事例の1つとして、California Museumのオンライン博物館サイト「California Legacy Trails」が紹介された。「壁のない博物館」を表題に掲げて24時間365日の運用を行っている同サイトでは、先生から生徒まで、さまざまな来場者がそれぞれに適した形のコンテンツを楽しめる点が特徴となっている。リッチなビジュアルやサイトのカスタマイズなどの機能は、Flash技術で実現されるものだ。壇上にはCalifornia Legacy Trailsの発案者で、現カリフォルニア州知事夫人のMaria Shriver氏が招かれ、教育におけるサイトの意義について説明を行った。
Flash技術活用例の1つ「California Museum」のサイト。中でも「California Legacy Trails」はFlash技術を駆使した24時間365日の利用が可能な"壁のない"博物館を売り物にしており、インタラクティブコンテンツで学生や来場者がカリフォルニアの歴史を勉強することができる |