常識を覆すデジタルカメラがカシオから登場した。驚異的な秒60コマの連写と、毎秒最大1200fpsの動画撮影が可能なカシオのコンパクトデジタルカメラ「EXILIM PRO EX-F1」だ。2007年8月の開発発表以来注目を集め続け、初のお披露目となったフォトイメージングエキスポではブースには行列ができていたほど。小誌でもすでに開発者インタビューをお届けしている。EX-F1は3月28日から発売が開始されており、マイコミジャーナルの価格情報での平均価格は約11万5,000円(4月10日現在)となっている。

CASIO EX-F1

デジタルカメラの新しい可能性

現在のデジタルカメラは、デジタル一眼レフ(レンズ交換式)と、コンパクト(レンズ一体型)デジタルカメラに大別される。一眼レフが旧来から変わらず写真表現と撮影能力を重視するのに対し、顔認識などのデジタルを活かした新しい技術は、常にコンパクトからスタートしている。今回取り上げるカシオの「EX-F1」もそういったモデルのひとつだ。超高速連写機能と、これまでは業務機でしかできなかった高速ビデオの撮影を可能にした。

EX-F1の高速連写機能を可能にしたのは、ソニー製の1/1.8型600万画素の超高速CMOSセンサーだ。フルサイズの画像を静止画で秒60コマ出力できることに加え、CMOSセンサーの特徴である部分出力機能を活かし、最大1200コマ/秒の動画出力までを可能にした。また、フルハイビジョンムービーの撮影機能とミニHDMI端子も備えている。

EX-F1は最大秒60コマで2816×2112ドットの静止画が撮影できるほか、512×384ドット(300fpsおよび30~300fps)、432×192ドット(600fps)、336×96ドット(1200fps)の高速動画に加え、1920×1080ドット(60field:1080i)と1280×720ドット(30fps:720P)のハイビジョン動画が撮影できる。動画の記録時間制限はデータ容量で決まり、1回の撮影で最大4GBまで。フルハイビジョンの場合、1GBで9分強ほど記録できるということなので、4GBのメディアなら約35分以上は記録できることになる。記録メディアは、現在市場で最も安いSDメモリーカード。EX-F1で動画をたくさん撮影したなら8GBや16GBなどの大容量メディアを買っておくべきだろう。

ボディは左肩を切り落としたタイプ。フィルタ径は62mmだ

上面にはふたつのダイヤルと電源ボタン、シャッターボタンとズームレバーを備える

右側面はカードスロットを備えるほかはすっきりしている。メディアはSDメモリーカード

鏡胴左側面には、フォーカスモード切替と、逆光補正、AE/AFロックボタンを備える

光学12倍の高倍率ズーム搭載

レンズは35mm判換算で約36~432mm相当の光学12倍ズーム。昨今のコンパクトモデルは広角寄りの焦点距離が増えているが、EX-F1はカメラのキャラクターに合わせ、望遠寄りの設定となっている。鏡胴には複数の機能を割り当てられるファンクションリングを備えている。フォーカスやズームはもちろん、ユニークなのは連写速度のコントロールもこのリングでできるところだ。リングはさまざまな機能が割り当てられることもあり、電子的に回転を検知するタイプが採用されている。

バッテリーは専用のリチウムイオンで、コンパクトカメラとしてはかなり大型なものが採用されている。今回何日か試用を行なったが、バッテリーは驚くほどもつ印象だ。実際に作例のために丸1日撮影を行なった翌日に、さらに静止画や動画を撮影した後でさえ、画面内に表示されるバッテリーの残量目盛りは1つも減ることがなかった。撮影する枚数にもよるが、数日の旅行はもちろん、メディアさえ十分な容量を持っていけば撮影旅行などでも数日の旅行程度ならバッテリーを追加充電する必要はなさそうだ。

入出力端子ではミニHDMI端子のほかに、ミニUSB、外部電源端子と外部マイク端子も備えている。このミニUSB端子には同梱のリモートケーブルが接続できる。コンパクトカメラではリモートケーブル自体が用意されていない場合も多く、同梱までされているのはうれしい配慮だ。

液晶モニターは2.8型横長ワイド。操作系には十字キーとダイヤルを備える

バッテリーはコンパクトカメラにしてはかなり大型で、すばらしく持ちがいい

インターフェイスにはミニHDMI、ミニUSB端子などを備える

レリーズケーブルが標準で付属するところを見てもEX-F1の特殊性が伺える