NECは、2018年5月23日から25日かけて東京ビッグサイトにて開催された無線通信技術の研究開発に焦点を当てた国内最大級の専門イベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2018(WTP2018)」において、NTTドコモと共同で開発した4.5GHz帯(帯域幅100MHz)を用いた同一エリア内の2台の基地局間での協調ビームフォーミングによる5G無線通信デモを行なっていた。

基地局間協調をしないと、各サイトからのビームのサイドロープが、ほかのサイトのユーザへの干渉となり、特性の劣化を引き起こすという課題があった。今回のデモでは、デジタル処理により、そうした互いの干渉を打ち消しあうビーム制御を実装することで、柔軟に複数のアンテナを設置することを可能としたという。

  • 基地局間での協調ビームフォーミングデモの概要
  • 基地局間での協調ビームフォーミングデモの概要
  • WTP2018にてNECが行なっていた基地局間での協調ビームフォーミング技術を活用したデモの概要

同デモに先駆けて、両社がおこなった実験では、合計128素子のアンテナと信号処理装置を光ファイバで接続した光張り出し構成の小型基地局によるビームフォーミングを活用し、8台の移動局合計で5.568Gbpsのスループットを達成できたとする。

なお、NECでは同技術を活用することで、柔軟に複数のアンテナを設置することができるようになるため、人口が密集した環境などにおいても、さらなる大容量通信の実現ができるようになると説明している。

  • 基地局間協調ビームフォーミングデモに用いられた移動局
  • 基地局間協調ビームフォーミングデモに用いられたアンテナ
  • 基地局間協調ビームフォーミングデモに用いられた移動局。4段構成で、最上段がRFの切り替え部、上から2段目がNational Instruments(NI)のSDR(ソフトウェア無線)製品である「USRP RIO」、上から3段目がUSRPの処理PC、下段がベースバンドの処理コンピュータとのこと