2024年5月15日に発表されたソニーの最新スマートフォン「Xperia 1 VI」は日本のみならず海外からも注目を集める製品になっています。今回は香港で発表されたモデルをさっそく触ってみました。日本モデルとは一部異なる機能も搭載されています。
歴代モデルと比べるとXperia 1 VIはディスプレイのアスペクト比が21:9から19.5:9へと、一般的なスマートフォンと同型になりました。とはいえフロントカメラはパンチホールなどのディスプレイ内搭載ではなく、上部のフレーム部分に内蔵されています。やや縦に長い形状であることから持ってみるとXperiaっぽさを感じさせるデザインだと思います。
またディスプレイの解像度も前モデルまでの4KからフルHD+へとスペックが落とされました。これは4Kコンテンツがまだ普及していなことや、スマートフォンの小さい画面で見る上では大きな差が無いこと、さらに4Kはより消費電力を必要とすることなどの理由からのようです。一方ではディスプレイの明るさは50%向上しているため、屋外でも綺麗な表示ができます。
香港などで販売されるモデルはeSIMには対応せず、nano SIMカードがSIMトレイの表裏に入るデュアルSIMカード仕様となっています。SIMカードを複数枚使ったり、海外旅行で頻繁に差し替えるような人に向いた仕様といえます。ただし香港販売モデルには日本の技適の表示はありません。
Xperia 1 VIの最大の進化はカメラ、特にユーザーインターフェースが大きく改良されました。これまではプロ作業にも対応できるようにカメラ系のアプリが複数分かれていましたし、カメラのメニューもデジタルカメラに近いものであり、スマートフォンユーザーにはややとっつきにくいものだったとも言えます。Xperia 1 VIではアプリは一般的なスマートフォン同様に1つになり、さらにそこから細かい設定もできるようにと「ビギナーにもプロにも優しい」インターフェースになりました。
さて標準カメラは1インチセンサーを搭載して美しい絵が撮れますが、注目したいのは望遠カメラ。前モデルの3.5倍から5.1倍に対し、Xperia 1 VIは3.5倍から7.1倍へと倍率が上がりました。焦点距離では最大170mmとなり、かなり遠くまで撮ることができます。実際に撮ってみた絵がこちらです。
スマートフォンの画面で見たり、SNSでシェアする程度なら7.1倍も十分行けます。ちょっと遠くにある気になったものを拡大して撮ることが気軽にできるわけです。
またXperia 1 VIではこの望遠カメラを使ったポートレート撮影も背景を効果的にぼかしてくれます。3.5倍(85mm)という焦点距離は、人物を引き立てる撮影に最適です。人物の瞳にフォーカスをしっかりと合わせてくれるので、顔がぼけてしまうこともありません。さらにXperiaらしいというのか、後ろの風景の色合いも自然のままで美しさを際立ててくれます。
そして新しい機能が望遠で120mmを使ったテレマクロ撮影です。このモードはちょっとプロ寄りというか、他社のスマートフォンのマクロとは使い方が異なります。一般的なスマートフォンはテレマクロでもピントを合わせてくれますが、撮影してみるとピントを合わせたかったところ、すなわち最も鮮明に写したいところがずれてしまうことがあります。Xperia 1 VIのテレマクロはモードを切り替えた後に、スライダーを上下させてピントを手動で合わせるのです。一見すると面倒ですが、120mmという拡大するマクロを使う場合、手動でピントを合わせたほうが狙った部分にフォーカスを当てた写真が撮れるでしょう。
Xperia 1シリーズのカメラは高性能がゆえに、アプリが分かれていたりと今まではやや使いにくい部分もありました。しかしXperia 1 VIでは1つのカメラであらゆるユーザーをカバーできるようになった上に、強力なポートレートや高度なテレマクロなど、カメラの魅力がさらに高まっています。この夏の注目モデルとして、日本のみならず海外でも話題の製品となるでしょう。