画面を折りたたむことのできるスマートフォンが登場し、大きい画面を移動中はたたんで片手で持ち運ぶことができるようになりました。まだまだ製品の数は少ないものの、数年後には折りたたみスマートフォンも当たり前のものになっているでしょう。
そんな中、スマートフォンのディスプレイ製造メーカーは、さらなる新しいディスプレイを開発中です。スマートフォンメーカーでもあるサムスンは関連会社に「サムスンディスプレイ」を保有しており、様々な次世代ディスプレイを開発中です。5月にアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで開催されたディスプレイ関連イベント「Display Week 2022」の同社ブースに展示されていた、スマートフォンやタブレット向けの新しいディスプレイをいくつか紹介しましょう。
まずは3つに折りたためるディスプレイです。2つに折りためるだけでも便利そうですが、3つ折りにすることで大型のタブレットもコンパクトに持ち運ぶことができるのです。「Flex G」と呼ぶ3つ折りディスプレイは、開いた状態では12から14インチ程度と、大きめのディスプレイです。しかし2つのヒンジを持ち折りたたむことができます。
実際にどのように使うのでしょうか。3つに折りたためばスーツの内ポケットにギリギリ入りそうな、長方形のボディーとなります。かばんにも楽に入れることができるでしょう。カフェに入ってコーヒーを注文後、椅子に座ったらディスプレイを開いていきます。
完全に開けばタブレットとして使えます。この大きさの端末をコンパクトな大きさにできるのはすごいことですね。
この状態で使えるのはもちろんですが、片側のヒンジだけを折り曲げてL字状とすれば、上側が表示画面、下側がソフトキーボードや手書き用のタッチパッドとして使うことも可能。大画面で映画を楽しんでいる途中に仕事の連絡が入り、書類の修正が必要になればさっと片側をたためばいいわけです。
なおサムスンはすでにスマートフォンを3つ折りできる「Flex S」も発表しています。こちらはS字型にたたむもので、閉じるとスマートフォンとして使えます。スマートフォンスタイルの時に表示していたアプリはそのまま、開いたときにさらに2つのアプリを表示することも可能。また「SNSの縦画面+Netflixの大画面」のように2つのアプリを並べることもできるでしょう。
このようにスマートフォンやタブレットのディスプレイが自在に折り曲げ可能になると、今までにはなかった使い方もできるようになるわけです。実際に製品化されるまでにはまだ時間がかかるでしょうが、2つ折りスマートフォンがすでに市場に出ているわけですから、3つ折りの登場もそう遠いことではないでしょう。
さて「たためるスマホ」の次のディスプレイとして注目されるのが、巻き取りできるディスプレイ、ローラブルディスプレイです。スマートフォンの本体が収縮するのに合わせ、ディスプレイも大きくなったり小さくなったりと巻き取られて収縮するのです。スマートフォンとしてはOPPOが実際に動く試作モデルを発表していますし、LGも子会社のLGディスプレイがコンセプトを発表しています。そしてサムスンディスプレイもそれに負けじと3つのスタイルのローラブルディスプレイを開発中です。Display Weekでは3つの製品が展示されました。
1つ目は縦に伸びるディスプレイ。メインの表示にちょっとしたサブ表示が欲しい、というときに使う感じでしょう。本体を引き上げると動画をちょっと見たりSNSの表示を見るのに適したサイズとなります。スマートフォンのサイズはそのままに、必要な時だけ伸ばす、というイメージです。
2つ目は右側に伸びるディスプレイです。これはOPPOの試作モデルとよく似ていますし、現在販売されている横折り式のスマートフォン、Galaxy Z Fold3 5Gなどと方向性は同じです。普段使っているスマートフォンを、必要な時だけ小型タブレットとして使うことができるわけです。
最後に紹介するのはタブレットを左右に伸ばすと、ディスプレイも大型化してワイドサイズになるというもの。シネマサイズの映画を見るときや、複数のアプリを同時に表示するときなどに便利でしょう。
ローラブルディスプレイは表面を保護する方法が難しいため、3つ折りディスプレイよりも実用化はさらに先になりそうです。しかし複数のメーカーが開発を競い合っており、製品化されることは確実と思われます。いずれ最終的には「普段は棒状、必要な長さにだけ伸ばして使う」という、スティック状のスマートフォンやタブレットが生まれるかもしれませんね。