Hyper-Vの拡張セッションモードが使えなくなった？

以前から気になっていながらも、日々の雑務に流されて放置していたことがある。それがHyper-Vのセッションモードが使えなくなった件だ。

現在のメインPCはWindows 10 バージョン2004リリース後に初期化しているが、そのあたりから拡張セッションが使えなくなってしまった。問題解決より目の前の原稿、ということもあって、2020年の1年間は基本セッションで過ごしてきたものの、今年最後の大掃除代わりに、この問題に着手したい。なお、Hyper-Vの各セッションモードは公式ドキュメントで確認してほしい。

• 基本セッションモードの仮想マシン。ホストPCのデバイスを共有できないため、サウンドデバイスが無効になる

結論から述べれば、Windows 10 バージョン2004の仕様変更が原因だった。同バージョンは設定に「MicrosoftアカウントにWindows Helloサインインを要求する」が加わり、自動ログオンが無効になるなどの報告が、ネット上に散在している。

• Windows Helloサインインが有効な環境の「ユーザーアカウント」。「ユーザーがこのコンピューターを使うには、ユーザー名とパスワードの入力が必要」の項目が現れない

一方でHyper-Vのゲストマシンを拡張セッションに切り替えると、ローカルアカウントのサインインのみうながされ、Microsoftアカウントにひも付けしたアカウントは現れない。

• 仮想マシンのローカルアカウント。サインインには、Remote Desktop Usersグループへの割り当てが必要となる

これで拡張セッションモードの仮想マシンに、Microsoftアカウントでサインインできない理由が浮かび上がってきた。つまるところ、Windows Helloサインイン要求機能を無効にすればよい、という話である。

• 検索ボックスに「サインイン」と入力し、「サインインオプション」をクリック/タップする

• 「セキュリティ向上のため～」をクリック/タップして、スイッチをオフに切り替える

• 仮想マシンと再接続し、「表示」→「拡張セッション」を順にクリック/タップして拡張セッションモードを有効にすると、サインイン画面にMicrosoftアカウントが現れる

ただし、本設定を行うと生体認証やPINなどのWindows Helloサインインが使えなくなり、パスワードによるサインインに戻ってしまう。また、拡張セッションモードはRDP（リモートデスクトッププロトコル）経由で仮想マシンに接続することで、高DPIのサポートやクリップボードが共有されるものの、ディスプレイ設定などは不可能だ。このように拡張セッションモードはメリット＆デメリットが混在することに注意したい。

• 拡張セッションモードの「設定」に並ぶ「システム/ディスプレイ」。表示スケールの変更などが行えない