僕の仕事場の周辺には結構たくさんののら猫がいるんです。塀の上や、屋根の上、木枝にもいる。家と家の狭い隙間を自由に、人の入っていけない場所を悠々と闊歩してる。仕事場は一階にあって、玄関ドアを開けっ放しにしていると入ってくることもあって、でも近寄ると警戒心が強いのか逃げてしまうんですね。窓から部屋の中を、僕が仕事をしてる姿をじ~っとみてるときもある。猫のいる町の風情っていうのはとてもいいなあと思います。

いつか猫を飼ってみたいなあと思っていたけど、これだけたくさんの猫に囲まれながら生活してると、その必要はなさそうですね。飼うとまた違うんだろうけど、この町は人と猫がとてもいい関係で共存している。と、ついこの間まで思っていました。

ある日、家の前に大きなウンコがあったんですね。そして、ものすごい臭い! はじめは大型の犬の大型ウンコだと思ったんだけど、あとでハッキリわかるんですが、猫のウンコだったんですね。すぐに処理をしたんだけど、処理後も周辺は猫のウンコ臭でハエがブンブン飛んでる。家の前には小さなスペースなんですが一昨年の3月に芝の種を蒔きまして、1カ月後には綺麗な緑の絨毯ができあがったんです。芝は成長が早く、放っておくとすぐに茫々になってみっともないので小型の芝刈り機を購入してマメに手入れしてたんです。ちなみに芝はほったらかしにしていると、地表付近の芝の色が光が届かないせいで茶色く変色してくるんですよね、変色したあと芝刈りしたらもう見事に茶色く色の落ちた芝の絨毯。ガッカリです。なのでマメな手入れが必要なんですよ。

まあ、マメっていっても芝が成長する1年のある時期だけですけどね。それでも愛情を持って育て上げた緑の絨毯です。その上にウンコ! それも軟便ぎみで取り除くにも芝とべったりからみ合って取りにくいにも程がある(すいません! 汚い話で)! あれだけかわいい猫なんだから、飼っていなくともウンコの世話くらいしてやりたい。でもせめて固いウンコにしてくれないかなあ。

次の日、また猫のウンコがあった。それも同じ場所に。何か、方法はないものか。

これは長い戦いになりそうだと、僕は腕まくりをした。次回に続きます!

タナカカツキ


1966年、大阪府出身。弱冠18歳でマンガ家デビュー。以後、映像作家、アーティストとしても活躍。マンガ家として『オッス! トン子ちゃん』、『バカドリル』(天久聖一との共著)など作品多数。1995年に、フルCGアニメ『カエルマン』発売。CM、PV、テレビ番組のオープニングなど、様々な映像制作を手がける。映像作品『ALTOVISION』では「After Effects」や「3ds Max」を駆使して、斬新な映像表現に挑んだ。キリンジのアルバム『BUOYANCY』など、CDのアートディレクションも手掛ける。