新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、多くの人が衛生の観点から生活スタイルを変える取り組みを始めていることでしょう。筆者も感染予防対策としてスマート家電を上手く活用する方法を日々思案中です。

スイッチに手で触れずに照明器具を操作したい

たまに食料を調達するため外にも出かけますが、混雑を避けて陽が落ちてから移動するようにしています。すると帰宅後の室内は真っ暗。まず明かりをつけて手洗い・うがいをしに洗面所へ向かい、それから手を触れたスイッチや壁を拭いて回るのがけっこう大変です。照明のスイッチを音声でコントロールすれば、この手間がなくなります。

  • 音声操作が可能なスマート照明「Hue」(写真左)と、LTE-Mによる通信機能をビルトインした「HelloLight」(写真右)を導入してみました

我が家ではアマゾンのAIアシスタント「Alexa」に対応したスマートスピーカーがいくつか稼働していますが、その中からディスプレイ付きのEcho Spotをリビングに置いています。Echoシリーズにスキルを入れると、Alexaに話しかけてWi-Fi経由で動かせるスマートホーム家電が増えていきます。

フィリップスのスマート照明「Hue」シリーズもそのひとつ。玄関の電灯ソケットがHueと同じE26だったので、まず玄関の照明をEchoに呼びかけて声で点灯できるようにしました。

  • 玄関の照明としてHueを設置。スマホアプリや音声による操作ができるように環境整備

  • Amazon Alexaに対応するEcho Spotは、照明の操作結果を画面表示で確認することも可能です

  • Amazon Alexaアプリからも、宅内に設置した複数のスマート家電(照明器具を含む)を連動させる「アクション」を組めます

Hueは防水・防滴仕様ではないため、安全を考えると洗面所には置けません。洗面所に一番近いリビングのシーリングライトはスマート家電ではなく、赤外線リモコンでしか操作できなかったので、国内スマートデバイスのベンチャー、Natureが販売するスマートリモコン「Nature Remo」を使うことに。

赤外線リモコンしかない家電もNature Remoでスマート化

Nature Remoは、赤外線リモコンで操作する家電を「スマート化」できるデバイス。いわゆる「学習リモコン」の一種です。Echoシリーズにスキルを入れれば、Nature Remoをスマートスピーカーから声で操作できるようになります。引いては我が家のシーリングライトを、スマートスピーカーで動かせる環境が作れるわけです。

  • 家電リモコンの赤外線信号を読み取らせて、アプリやスマートスピーカーによる操作を実現するIoTデバイス「Nature Remo」

セットアップはとても簡単。Nature RemoをホームネットワークにWi-Fi接続してから、シーリングライトの赤外線リモコンをNature Remoに向けてボタンを押し、リモコンの信号を読み取らせます。

あとはEcho Spotに「アレクサ、リビングの照明をオフにして」と話しかければ、シーリングライトの点灯・消灯をすばやく切り換えられました。スマートスピーカー(Alexa)から直接コントロールできるHueシリーズと、変わらないスピード感です。

  • リモコンの信号を読み取らせると、Nature Remoのスマホアプリ側に、該当する家電の赤外線リモコンと同じ機能を持つソフトウェアリモコンが追加されます

音声による照明操作に慣れてくると、次は声をかけずにスマート家電をコントロールしたくなってきました。Nature Remoのオートメーション機能を使うと、Nature Remoが内蔵している温度・湿度・照度・人感センサーと連動した、さまざまな自動消灯・点灯プログラムを作れます。

そこで、スマホの位置情報をNature Remoに送って、ユーザーが自宅に近づくと自動で照明をオンにするオートメーションを作ってみました。結果は良好。出かけるときに消していたシーリングライトが、帰宅すると自動的に点灯していました。オートメーションが実行されると、iPhoneやApple WatchにRature Remoアプリから通知が届くので、照明が長い時間「つけっぱなし」でなかったことも教えてくれます。

  • Nature Remoアプリを入れたスマホを持って、指定の場所(今回は自宅)から一定の距離に離れると自動で照明オフ、一定の距離に近づくと自動で照明オンを実行する「オートメーション」を作成できます

  • オートメーションが実行されると、iPhoneやApple Watchに通知が届きます

ちなみに、フィリップスのHueは、外出先からでもスマホアプリを使ってオン・オフを操作可能。帰宅するとき、玄関の照明をつけておきたい場合に使っています。

照明器具のスマート化に成功したところで、次は洗面所の蛇口もスマート化に挑戦したくなりました。だんだん趣味的な要素が入ってきます。スマートスピーカーに話しかけて、水やお湯、液体石けんなどが出せれば、衛生面でもう一歩前進です。

ただ残念ながら、筆者宅ではすぐにこの課題を解決することは難しそうですが、米ラスベガスで開催されたCES 2020で面白そうな製品を見つけて、本誌にてレポートしています。アメリカのモーエンが開発した、GoogleアシスタントやAmazon Alexaに対応するスマート蛇口「U by Moen Smart Faucet」です。デザインやサイズが日本の洗面所には合いそうもないとも思いましたが、水温や水量を調節しながら蛇口をコントロールできます。キッチンやバスルームで水を多く使う日本人の生活スタイルに、よくなじむ製品としてローカライズできそうです。

  • モーエンがCES 2020に出展したスマート蛇口。スマートスピーカーによる音声操作に加えて、近接センサーによって蛇口に手をかざして操作できます(蛇口に手を触れずに操作)

省電力LTE通信機能を搭載したスマート照明も登場

最後に話題をスマート照明に戻して、最近国内で発売された面白い新製品を紹介したいと思います。日本のメーカー、ハローライトが開発したスマート照明「HelloLight」です。HelloLightは、IoT家電向けの通信規格「LTE-M(LPWA)」に準拠した通信機能を内蔵しています。

HelloLightの特徴は、Wi-FiやBluetoothの設定がいらないこと。Webサイトからユーザー登録を済ませて、月額450円のサブスクリプションで利用します。照明が点灯されたときや、しばらく点灯されてないことを認識して自動点灯、そしてユーザーが登録したメールアドレス、またはLINEのトークに、消灯・点灯のメッセージを届けます。離れて生活する高齢の家族を見守る、IoTソリューションとしても期待できそうです。

  • HelloLightが点灯されると、メールかLINEに通知が届きます。HelloLight側の設定が不要な点も大きな特徴です

今回、LTE-Mを搭載するスマート家電を初めて手に取りましたが、ネットワーク接続の設定がほぼいらず、買ってすぐに使える手軽さには少なからぬインパクトを受けました。LTE-Mの通信機能をビルトインした「置くだけで使えるスマート家電」が増えてくれば、日本のスマート家電もより活況を呈してくるのではないでしょうか。引き続き注目したいと思います。

著者 : 山本敦(やまもとあつし)

ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。