30歳過ぎてゼロから始めた後発カメラマンが、「どうしたら最短で上手くなるか」をご紹介。今回からは、4回に分けて、「用法用量を守ってお使いください。ポートレートが劇的に安定する劇薬テクニック」をテーマに、教科書では絶対に教えてくれない撮影テクニックをお伝えします。
教科書は絶対に教えてくれない写真を安定させるテクニックと、ハードルを上げましたが、どれもとっても単純で簡単なことばかり。端的に言って「塾が教える公式」のようなものです。
問題は解けるようになるかもしれませんが、後々応用していくためにも「なぜそうなるか」という理論の裏打ちが絶対に必要です。なので、あえて劇薬と書かせていただきました。
写真の本質と外れる部分もあるので、テーマとして選ぶべきか悩んだのですが、「写真が安定してくると、楽しくなって学習意欲も湧いた」という私の経験があったため、書いてみることにしました。
繰り返しになりますが、ほんとなんてことないことばかりです。「こんなの当たり前でしょ?」って思う人もいるかもしれませんが、ご容赦ください。
ポートレートはAF-Cで撮ろう
前にも少しお話ししましたが、フォーカスモードは、慣れるまで「オートフォーカス」がいいと思います。オートフォーカスには、シャッターボタンを半押ししたときにピントを固定する「シングルAF(AF-S)」と、シャッターボタンを半押ししているときはピントを合わせ続ける「コンティニュアスAF(AF-C)」がありますが、ポートレートの場合は、「AF-C」で撮るのがいいでしょう。
ポーズをビシッと決めるような撮影もありますが、基本的に人物は動きます。動いたときに「AF-C」ならピントが外れにくくなります。
写真の安定という観点で考えると、まずはブレずに撮ることが大事。そのため、「AF-C」を使って意図せずピントが外れてしまう写真を減らし、打率を上げることも重要でしょう。
これは、カメラを始めたばかりのころ、ピンボケが多くて悲しんでいたときに気がつきました。考えてみたら当たり前なのですが、誰も教えてくれませんでした(笑)。
もちろんマニュアルで撮ったり、ブレを使って世界観を作ったりするケースもあるので、一概には言えませんが、今回は「安定させる!」がテーマ。そのため「AF-C」を推奨しました。
とにかく瞳にフォーカスを合わせよう
フォーカスは、写真のなかで一番見せたい場所に合わせるのが基本。ちょっと暴力的ではありますが、特にポートレートの場合は、人物の瞳にピントを合わせておけば安定します(もちろんグラビア撮影など、スタイルを一番に見せたい場合や環境と調和して撮るケースは別)。
人は瞳に注目しようとする習性があると言われています。それは、写真においても同じ。なので、瞳にピントを合わせることで、写真を見る人に対してスムーズに視線誘導できるようになります。私の考える「写真の安定」とは、意図通り正しく見せたいポイントに視線を誘導できること。そのため、瞳にフォーカスを合わせることで、写真が安定するというわけです。
瞳にフォーカスする際には、カメラの顔認識や瞳オートフォーカス機能が便利です。一点だけ注意があるとすれば、できれば手前側の瞳にフォーカスを合わせるようにしてください。
始めたてのころは、なんとなく顔のどこかにフォーカスを当てていたのですが、この原理原則を知ってから少し写真がシャープになりました。
モデル:火将ロシエル
株式会社コプルト代表。プロコスプレイヤーとしての活動だけでなく、マンガ紙や週刊誌の表紙を飾るなど、勢力的に活動の幅を広げている。2nd写真集「moonstone/月長石」(ワニブックス)発売中。
【出演情報】
9月15日 渋谷クロスFM「アイカギ」出演
9月19日 「girls code」DJ出演
9月20日 テレビ朝日「あの人がいいねした一般人」出演