30歳過ぎてゼロから始めた後発カメラマンが、「どうしたら最短で上手くなるか」をテーマに撮影術をご紹介。今回から、カメラの設定や写真を撮るときの準備について解説します。

撮影前に調整すべきポイントは、ざっくりいうと「露出(明るさ)」と「色(ホワイトバランス)」の2つ。これらを認識しながら、自分の意図した1枚を切り取れるよう、オートではなくマニュアルでの撮影にチャレンジしてみましょう。

ボケ感を優先させるなら、シャッターとISOで明るさ調整

露出は、簡単にいうと写真の明るさです。基本的には「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つの要素で決まります。今回はこれらの仕組みについて、覚えておくといいポイントを解説。頭で仕組みを理解していても、実践すると難しく感じるかもしれません(実際に私は勉強して理解しても、実践で困ることがありました)。

絞りを調整すればシャッタースピードを自動で設定する「絞り優先モード」や、シャッタースピードを決めると絞りを自動で設定する「シャッタースピード優先モード」などもありますが、ここでは、すべての要素を手動で設定する「マニュアルモード」での解説を進めます。

  • いわゆるハイキーな(明るい)写真。逆光ですが、被写体の頭で光源の太陽を隠して光の加減を調整しています

    いわゆるハイキーな(明るい)写真。逆光ですが、被写体の頭で光源の太陽を隠して光の加減を調整しています

まず「絞り」とは、F値のことです。F値が小さいほど明るく(ピントが合っている部分以外がボケる)、F値が大きいほど暗くなります(そんなにボケない)。

ケースバイケースではありますが、私は明るさよりも、撮りたい“ボケ感”を優先して絞りを設定しています。理由はボケ感で撮りたい絵が大きく変わるから。なので、私は残りの「シャッタースピード」と「ISO感度」で明るさを調整することが多いです。

  • F2.2で撮影した1枚。だいぶ開放して撮ったので、背景はかなりボケています

「シャッタースピード」は、シャッターが開いてから閉じるまでの時間のこと。「1」や「1/1000」などで表記されます。シャッタースピードは、時間が長いほど(シャッタースピードが遅いほど)明るくなりますが、シャッタースピードが遅いと手ブレしやすくなるので注意しましょう。

私が手でカメラを持って撮影する場合は、シャッタースピードを最長でも1/50までにしています。それは、私にとってブレないで撮れる限界だからです。「筋肉は最大の手ブレ補正」なんて言葉があるので、人によってはもっと遅くできるかもしれませんが、ポートレート撮影の場合は被写体も動くので、やはり1/50程度がいいのではないでしょうか。

  • 明るかったので、シャッタースピードを1/1000にして撮影しました

最後に「ISO感度」。光に関する敏感さを数値化したもので、数値が大きいほど光への感度が高く、明るく写ります。ただ、大きいほどノイズが入って写真がザラつくので注意。フィルムっぽい表現ではわざとザラつかせることがありますが、できる限りノイズはないほうがいいので、ISO感度は低めがいいと思います。

カメラにもよりますが、100~200くらいを基準に考えるといいでしょう。ただし、撮影環境が暗いときは、思い切って上げることも大事です。

  • 雰囲気のある店内で撮影。少し暗かったので、ISOを400まで上げました

「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3つのポイントを紹介しましたが、個人的には、「シャッタースピード>絞り>ISO感度」の順番で決めることが多いですね。人によって考えかたは異なりますので、自分のやりやすい方法を探してみてはいかがでしょう。

文章・写真:関根康人(ねっしー)
モデル:くりえみ