一般財団法人家電製品協会(AEHA、家製協)は、2026年9月から、新たに「ZEHコーディネーター」制度を開始すると発表した。
家電製品協会 専務理事の川上景一氏は、「ZEHコーディネーターは、政府の政策進展と、住宅業界における営業現場でのニーズを踏まえ、AEHAが家電業界を対象に実施してきたスマートマスター資格制度で培ってきた知見を活かしながら、主に新築の省エネ住宅を販売している人、省エネ住宅へのリフォームを販売している人を対象に資格取得をしてもらう制度となる」と位置づけ、「ZEHの提案に必要な知識が身につき、ZEHの普及や省エネルギー住宅の推進に役立ててもらうことができる。住宅業界、リフォーム業界にも展開できる資格制度になる」と、新資格制度の狙いを示した。
ZEHとはエネルギー収支ゼロ住宅、販売現場で有効な実践能力の資格へ
ZEH((ネットゼロエネルギーハウス)は、建物の断熱性を高めて省エネを実現するとともに、再生可能エネルギー(創エネ)によってエネルギー収支ゼロを目指した住宅を指す。矢野経済研究所によると、ZEHの国内市場規模は、2030年度までの年平均成長率は11.4%となり、2023年度の6兆5712億円の市場規模は、2030年度には14兆円にまで拡大すると予測している。
今回の新たな資格制度により、住宅業界におけるZEHの提案力強化、営業現場の信頼性および受注力の向上、ZEHおよびスマートハウスの正しい知識の習得、スマートな暮らしの提供によるカーボンニュートラル社会の実現などに貢献できるとしている。
「新ZEHなどの省エネ住宅の営業に必要な知識を効率的に学ぶことができるほか、各種補助金の有効活用をはじめとした顧客に対する有益な提案ができること、営業現場で役立ち、顧客からの信頼を得ることができるといったメリットがある」(川上専務理事)としている。
また、ZEH推進協議会 代表理事の坂本雄三氏(東京大学名誉教授)は、「ZEHは、よい暮らしの実現と、脱炭素化への取り組みを両立するものになる。新たな資格制度は、ZEHの発展に貢献するものになる」と述べた。
同資格制度は、ZEH推進協議会の推奨資格に位置づけている。
ZEHコーディネーターの資格認定要件としては、「省エネ住宅に関する国の住宅制度や定義を理解し、実践的な知識を身につけ、お客さま個々のニーズに合った省エネ住宅の提案ができる能力を有すること」としており、具体的には、「国の省エネ住宅制度を説明できる」、「GX ZEHなど、新ZEHの定義を説明できる」、「省エネ住宅制度に関する補助金を理解して、整理し説明できる」、「高性能断熱窓など、省エネ住宅に欠かせない断熱の知識を習得している」、「創エネの大きな構成要素である太陽光発電システムおよびその導入効果を説明できる」、「住宅用蓄電システムおよびその導入効果(DR、V2H対応含む)を説明できる」といった点をあげている。
ZEHコーディネーターの受験資格に制限はないが、新築の省エネ住宅の販売担当者、省エネ住宅のリフォームの販売担当者、地域密着型のビルダーや工務店、家電販売およびサービスに関わるビジネスを行っている法人の住宅リフォーム担当者のほか、国の省エネ住宅制度を理解したいと考えている人、建築士や電気工事士、工事担当者などの国家資格者、リフォームや太陽光発電関係の資格を持つ人なども対象にしている。
実践的内容が特徴であり、住宅やリフォーム業界に必須の「新ZEH」に対応していること、時代に即した省エネ住宅制度および補助金を整理して学習できること、現場で顧客に有効な提案ができる販売ノウハウを身につけられる資格であるとする。
資格の有効期間は5年間。5年後の資格更新制度も用意する。2026年9月に第1回試験を実施する予定であり、会場受験によるCBT方式を採用。試験科目は1科目のみ。AEHAが実施する他の試験と一緒に、全都道府県の300カ所以上で行うという。試験などの詳細は2026年1月下旬に公表する。
家電製品協会 認定センター長の西崎義信氏は、「主に、営業担当者が対象になる。住宅販売担当者が約2万人、リフォームの販売担当者が約2万人、家電業界で約1万人の合計5万人を対象に想定している。2026年9月の第1回試験では、500人の受験者を想定し、年2回の試験実施により、年間で1000人以上を目指す。スマートマスターは、9年間で1万人の資格取得者の実績があるが、なるべく早く、この実績を超えたい」とした。
学習方法については、電子版テキストと動画による仕組みを導入。テキストはダウンロードでき、動画による教材はスマホやタブレットで視聴することができる。「通勤途中でも学習ができる」(西崎氏)という。また、受験手数料の1万4000円のなかに、電子版テキストや動画教材の費用が含まれている。
2026年9月の試験合格者は、2026年11月1日に資格が交付され、データ形式の認定証をダウンロードおよび印刷できる。
なお、AEHAでは、ZEHコーディネーター資格に関するプレサイトを用意している。
政府では、2050年までのカーボンニュートラルを目指しており、住宅部門においても、省エネ住宅の普及を推し進めている。それにあわせて、2024年には、国土交通省や経済産業省、環境省による「GX志向型住宅」の導入や、2025年には、資源エネルギー庁の省エネ性能をより向上させたZEHの定義見直し案、2030年には国土交通省が住宅性能表示制度を見直す予定であるなど、複雑な制度を理解が必要であり、その上で、現場レベルでの有効な販売提案などが実践できるプロフェッショナル人材が求められているという。
AEHAが、2025年8月に、ZEHビルダーの経営者や営業責任者などを対象に、新資格制度創設に関する事前調査を実施したところ、高性能住宅や創エネの知識に接客力を兼ね備えた営業スタッフを育成する制度を活用したいという回答は80%に達しており、そのうちの約7割が、顧客への信頼づくり、新人や中堅営業の教育に新資格制度を活用したいと回答している。
また、2025年6月~8月にかけて、ハウスメーカーの受験見込者などを対象に、すでに持っている資格の知識以外で専門的に必要なものを聞いたところ、補助金やZEH、HEMS、IoTなどがあがったという。
「AHEAは、約2年前から新資格制度の検討を開始し、住宅業界団体とも連携しながら、創設に取り組んできた」とている。家電業界の団体が、ZEHによってより緊密な関係を持つ住宅業界に向けてアプローチする新たな取り組みとしても注目される。
家電製品協会は、1984年から、家庭用電子機器修理技術者試験を開始。2001年以降は、家電製品の販売、修理形態の変化により、資格を細分化し、現在、「家電製品アドバイザー」、「家電製品エンジニア」、「スマートマスター」の資格制度を実施しており、「ZEHコーディネーター」は4つめの資格となる。
2016年に開始したスマートマスター資格は、スマートハウスのスペシャリストを認定するもので、住宅、エネルギー、家電製品、通信・IoTなどの幅広い知識を持ち、快適な住まいと暮らしの実現をサポートするための営業系の資格として、家電量販店などの家電業界を中心に普及。資格の累計取得者は、2024年までに1万人を突破している。









