従来の体質・慣習を打ち破り、決然たる姿勢で運賃値下げを実行したエムケイグループ。同グループをそこまで突き動かしたものとは一体何だったのか? そこには社員と顧客に対する並々ならぬ思いがあった。革新に次ぐ革新で、業界のオピニオンリーダーとして邁進すること50年。同グループに属する、東京エムケイ株式会社 代表取締役社長の竹内淳吉氏に、その企業精神について伺った。

--エムケイグループの事業フィールドと特長をお聞かせください。--

全国に8つの拠点を持ち、タクシーやハイヤー、観光バスといった陸上運送事業を主軸に、アミューズメント事業や石油製品小売業、警備業に至るまで多角的に事業を展開しています。

多彩な顔を持つエムケイグループですが、そのどれにも共通するマインドは、「おもてなしの心」。ブランドロゴにも大きなハートマークをあしらい、ホスピタリティの精神を表現しています。

この思いを示すためこだわっているのが、「サービスの質」です。当グループではドライバーを「社員」と呼んでいるのですが、この社員が提供するサービスの品質で他社との決定的な差別化を図っています。

同一地区同一運賃での事業展開がセオリーとされていたこの業界では、価格で競り勝つ事は難しい。唯一勝負出来るものがあるとすれば、安全と快適な運転を担う「社員自身」。そこで彼ら彼女らが提供するサービスの質向上に注力してきました。

とはいえ、その「質」とはごくごくシンプルなもの。例えばハキハキと気持ちよく挨拶出来ること。自分の名前を進んで名乗れること。そういった当たり前の事を徹底することにこだわっています。

その一方で制服・帽子など服装に対するこだわりも当グループならではでしょう。本来、タクシードライバーはパイロットなどと同じく人命を運ぶ責任ある職業。共に価値ある仕事であるはずです。

そんな思いからファッションデザイナーの森英恵氏にお願いし、パイロットをイメージしたデザインの制服を制作、数年前には再度リニューアルし現代のトレンドにマッチした仕様にさせて頂きました。「パイロットと同じ責任と誇りある仕事」――そんな風に社員自身がしっかり感じられるよう、就業意識の醸成にも繋がっています。

--これまでの歩みの中で一番のターニングポイントをお聞かせください。--

同一地区同一料金が当たり前だった時代、その仕組みに疑問を持ち運賃値下げの申請を起こしたのが1982年。そして裁判で全面勝訴を勝ち取ったのがその3年後。この一連の出来事が当グループ最大の転機であったと思います。これは京都で起こした裁判ですが、マスコミでも大々的に取り上げられ、全国でも大きな注目を集めました。当時は各方面から批判も浴びましたが、そんな中で料金自由化への思いを貫き、この判決に至ったことで周囲の反応が一変しました。「自分たちも手を打たなくては……!」そんな危機感からか同業他社のサービスの品質が飛躍的に向上、業界全体の底上げにもつながりました。運賃値下げ裁判に端を発した規制緩和を皮切りに、タクシーやバスの自由化が一気に拡大、当グループの全国展開にも大きな追い風となりました。

--エムケイグループが描く"次なる一手"をお聞かせください。--

やはりこれからは、「海外戦略」ですね。これまで培った日本式のサービス、おもてなしの心を世界にも届けたい――そんな前社長の青木の思いを受け継ぎ、昨年はロサンゼルスに、そして今年はソウルと上海に現地法人を設立し、事業をスタートさせています。

上海などは車両規制が厳しく現地での車輌調達が難航を極める中、それでも何とかドライバーと車両をセットにしたこのサービスを海外でも展開したい――その一心でアメリカの大手レンタカー会社・ハーツ社と提携、ハーツ社が所有する車輌を現地で調達する計画を進めています。現在はアジア圏を中心に日本人観光客や出張中のビジネスマンなどをメイン顧客としていますが、ゆくゆくは現地市民をターゲットに「地元の足」としてご利用頂けるようにしたいと思っており、その舞台の候補としてアメリカ東海岸、ニューヨーク周辺を検討しています。

また逆に海外から日本に訪れる外国人観光客を対象にしたインバウンド事業も、この海外戦略に含まれています。外国人とのコミュニケーションには語学力が不可欠。そこで社内で「ドライビングコンテスト」というイベントを開催し、英語や中国語を交えてのロールプレイで接客サービスを競い合っています。以前このコンテストにホテル業界の企業様をお招きしたことがあるのですが、皆さん一様に「この接客はすごい!」と驚かれていたのが大変印象的でした。

挨拶などの礼節だけでなく、語学を磨き言葉でのコミュニケーションにも徹底してこだわりぬく――そんな接客スタイルもエムケイグループならではですね。

--そんな未来のエムケイには、どんな仲間たちが必要でしょうか?--

当社のビジネスはどんなに車両を揃えても、人材がいないことには何も始まりません。

サービスを重視するエムケイだからこそ、求められるのは運転スキルや経験ではなく、素直さや積極性、おもてなしの心といった目には見えない部分。むしろドライバー未経験でこの業界に染まっていない、まっさらな人材を歓迎します。例えば当グループでは証券会社出身から俳優業出身まで異業種から転職してきた様々な社員が活躍中です。当グループは、未経験でもサービスマインドがあれば成功出来る企業。この事実を伝えるため、今後はこういった社員の転職成功例を大々的に告知し、多くの求職者に自信と安心を届けられたらと考えています。

お客様ときちんと向き合い、真心こめてハンドルを握れる――そんな方と、次のエムケイを創っていきたいと思います。

会社概要
社名:エムケイグループ(東京エムケイ株式会社)
グループ創業:1960年10月
資本金:2,000万円
代表者:代表取締役/竹内 淳吉
事業内容:乗用旅客運送事業(ハイヤー・タクシー・貸切バス・特定バス)、運行管理業、派遣業自動車整備業、石油製品小売業、旅行業、新聞発行業、警備業、アミューズメント事業、飲食業、小売業
事業所:本社/東京都港区新橋6丁目9-4 新橋6丁目ビル3階
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