リミックス曲を作るだけでなく、Web上で公開して共有まで楽しめるサービス「Music Mashroom」。今回は実際のリミックス操作の方法や、Music Mashroom独自のポイントについてチェックしてみよう。
ドラッグ&ドロップだけの簡単操作でリミックス
「Music Mashroom」で公開されているツール「Hash'n Mash」では、前回紹介したようにアップロードされた「レシピ」を読み込んで、自分でリミックス曲を作ることが可能だ。今回はその手順を見ていこう。
Hash'n Mashを起動すると、リミックスを行うための「Mashupタイムライン」は空の状態で、ウィンドウ下側にはメタデータを付加した曲がブロックとして読み込まれている。まずは使いたい曲のブロックをひとつ、Mashupタイムラインへドラッグ&ドロップして読み込んでみよう。Mashupタイムラインは上下2本に分かれているが、まずは上のタイムラインにさまざまなブロックを並べていく。ブロックを元曲の構成通りにイントロ、Aメロ、Bメロ……と並べてもよいし、好きなように並べ替えてしまってもOKだ。
メタデータを付加した曲データがブロック状に表示されている。その中から使いたいものをMashupタイムラインへドラッグ&ドロップする |
ツールバーの「Play」でMashupタイムラインを再生する。なおブロックを試聴するときは、各ブロックをダブルクリックすることでそのブロックが単体で再生される |
この状態でツールバーの「Play」ボタンをクリックすれば現在のMashupタイムラインを試聴できる。原曲の構成通りに並べた場合はもちろんだが、構成を大きく変えてしまってもまったく違和感なく曲が繋がる。
これは同じ曲に限らない。別々の曲からバラバラに各ブロックを並べても問題なく繋がり、テンポやキーが異なるブロックを並べても大丈夫だ。貼り付け場所を移動したいときは左右にドラッグ、各ブロック中の一部分だけを使いたいといったときは、Mashupタイムラインに並べたブロックの端をドラッグして長さを変えてやればよい。
Mashupタイムライン全体のテンポやキーはツールバーで変更できる、デフォルトでは上段トラックの最初に読み込まれたブロックのオリジナルテンポおよびキーが設定される |
各ブロックは左右端をドラッグして長さを縮めることで、一部のフレーズのみを再生させることも可能。DAWのループシーケンス機能と似たような感覚で操作できる |
これがHash'n Mashの基本的な操作方法。ここまではMashupタイムラインの上側だけを使っていたが、上下両方にブロックを並べていけば、より高度なリミックスができるというわけだ。
意外な組み合わせを楽しめる、おすすめブロックの推薦
Hash'n Mashは原曲のテンポやキーがバラバラであっても自動調整してリミックスされるので、適当な組み合わせでも自然にリミックス曲が作成される。だが当然限界はある。たとえばBPM150と80の曲で双方ボーカル入り、かつコード進行も異なるブロックを組み合わせてしまったりすると、違和感のあるリミックスになってしまう。
ところがここからがHash'n Mashの特筆すべき機能。Hash'n Mashには既に読み込ませたブロックとリミックスするのに最適の楽曲を教えてくれる機能が用意されている。推薦される楽曲のブロックを読み込ませて再生すると、これが驚くほどぴったりと合うことが多い。たとえばテクノポップに対して演歌が推薦されるなど、意外な組み合わせが提示されるケースがある。新鮮な驚きを味わいつつ、リミックスを楽しめるのだ。
各ブロックの上下に表示される「Click to Recommend」をクリックすると、コード進行が合う曲を検索し、おすすめのブロックがハイライト表示される |
各ブロックに対するおすすめブロックを検索してリミックスしていく。いかにも合わなさそうな曲の組み合わせであっても、意外なまでにしっくりとリミックスされる場合が多い |
完成したリミックスは専用のレシピファイルとして保存できるほか、ミックスダウンしたWAVファイルとして書き出すことも可能。前回触れたようにWAVファイルとして不特定多数に公開するのは著作権的に問題があるが、レシピファイルなら「Recipe Room」にアップロードし、他のユーザーに聴いてもらうことが可能だ。
完成したリミックス曲は専用のレシピファイルや、ミックスダウンしたWAVファイルとして保存することができる |
レシピをアップロードするにはOpen IDでログインする必要がある。「Yahoo! Japan」などのユーザーであれば簡単にログイン可能だ |
なおHash'n Mashでのリミックスは、原曲のメロディ構成やコード、ビートといった情報をメタデータとしてあらかじめ付加しておかないと行うことができない。このメタデータはダウンロードできるものの、公開時点では3000~4000曲程度で、リミックスに使いたい曲のメタデータが必ずしも用意されているわけではない。
そこで用意されている別のツールが「MetaPong!」だ。WAVおよびMP3ファイルを読み込み、ビート(テンポ)情報の検出やイントロやAメロなどメロディ構成、そしてコードをメタデータとして付加するものだ。これでメタデータを付加してやれば、サーバ上にメタデータが存在しない曲であってもHash'n Mashでリミックスに使うことが可能となり、また「Timeline Metadata Room」へアップロードして他のユーザーもその曲をリミックスに使えるようになる。地道な作業でちょっと敷居が高いものの、がんばってメタデータをアップロードするユーザーが増えれば、Music Mashroom全体が盛り上がるだろう。
Music Mashroomはメタデータが公開されていることが前提とはいえ、誰もが簡単にリミックスを楽しめるという点で、かなり興味深いサービスだ。音楽の知識がない人でもゲーム感覚で楽しむことができるので、ぜひとも一度試していただきたい。