インターステラテクノロジズ(IST)の観測ロケット「MOMO2号機」が、6月30日にも打ち上げられる予定だ。同機は、全長約10mの小型液体ロケット。当初、4月末の打ち上げを目指していたが、機体の不具合により延期されており、今回はその再挑戦となる。マイナビニュースでは今回も現地取材を行うので、随時レポートを掲載していく予定だ。
MOMOの打ち上げは、昨年7月30日の初号機以来、11カ月ぶり。2号機は、初号機の失敗を受け、大幅に改良されたロケットになっている。改良点について、詳しくは過去記事を参照して欲しいが、注目して欲しいのは、機体への空力負荷が最も大きくなる「Max Q」(動圧最大点)を越えることができるかどうかだ。
MOMOが挑んでいるのは宇宙空間(高度100km以上)への到達だ。しかし初号機は、打ち上げの66秒後に通信が途絶。Max Q付近の高度10kmあたりで機体が破損したとみられている。今回の2号機で、Max Qの"壁"を越え、宇宙に到達できるか。もし成功すれば、日本の民間開発ロケットとして、初の快挙となる。
4月末の挑戦では、空圧バルブの制御に利用していた窒素ガスのリークが発生、この対策に時間を要するため、仕切り直しとなっていた。その後、記者会見で説明があったように、該当部分にレギュレータ(調圧弁)を追加、構成を実績のある初号機と同様に戻したとのことで、同じ問題は起きないはずだ。
今回の打ち上げウィンドウは、以下の9つの時間帯が用意されている。(1)から打ち上げを試みるが、天候などの条件が整わなかったときは、以下、(2)(3)…の順番で再度試みることになる。
6月30日(土)
(1)5:00~8:00(2)11:00~12:30(3)16:00~17:30
7月1日(日)
(4)5:00~8:00(5)11:10~12:30(6)16:00~17:30
7月4日(水)
(7)5:00~8:00(8)11:10~12:30(9)16:00~17:30
なお、前回は1週間ほど打ち上げ予備日が確保されていたが、今回は上記の3日だけになるので注意して欲しい。土日の次が水曜になっているのは、おそらくスタッフの疲労なども考慮してのことだろう。
筆者も現地で取材してきたので分かるが、夕方まで引っ張ってから延期になったりすると、翌日も早朝からになるので、ほとんど睡眠時間を取ることができない。取材する側でもこうなのだから、現場のスタッフはさらに大変なはずだ。土日で無理なら、一旦対策の時間を取って、仕切り直してから挑戦しようという、堅実な判断ではないだろうか。
MOMO2号機の打ち上げ制約条件は以下の通り。これは、初号機から変わっていない。
- 風速:平均地上風速5m/s以下であること
- 視程:視程600m以上であること
- 降雨量:降雨量8mm/h以下であること
- 落雷:半径10km以内に落雷がないこと
- 高層風:天気図などから設計荷重を超えないこと
特に気になるのは雨と風だ。今週末の北海道は、あまり天気がすっきりせず、曇りがちの予報。雨がパラつく可能性もあるので、空模様を気にしながらの取材になりそうだ。
当日の打ち上げのGO/NOGO判断は、9時間前(作業開始時判断)、4.5時間前(エタノール充填前)、2時間前(液体酸素充填前)、打ち上げ直前(シーケンス開始前)にそれぞれ実施される。その結果については、公式Twitterアカウントの情報が一番早いと思われるので、チェックすると良いだろう。
ちなみにあらかじめお知らせしておきたいのだが、筆者は今回、7月2日(月)に帰る必要があるため、上記(6)のウィンドウまでしか取材することができない。これまで北海道には何度も取材に来ているものの、いまだに一度も打ち上げを見たことが無いので(初号機は音しか聞こえなかったので「見た」とは言いがたい)、もう"雲ズボ"でも何でもいいから、とにかく土日のうちに上がって欲しいと祈るばかりだ。