ドキュメントスキャン機能と白色LEDで大きく性能アップ
【2008年11月号掲載】



スペック

[発売元] エプソン販売 [価格] 1万円台後半 [OS] Mac OS X 10.3.9以降 [解像度] 主走査:4800dpi、副走査:9600dpi [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] W280×D430×H67mm/約2.8kg [備考] センサ:α-Hyper CCD II、読み取り階調:RGB各色16ビット、最大有効領域:216×297mm [掲載号] 「Mac Fan」2008年11月号

OVERVIEW

情報漏洩やセキュリティへの感心が高まる中、書類や紙文書などのデータ化のニーズが増しつつある。カラリオスキャナの最新モデルとなる「GT-F720」は、そうした現状を踏まえて開発されたA4サイズの薄型フラットベッドスキャナだ。

(1) 67mmの薄型ボディ
シックなブラックの外観。高さは67mmと大変薄い。原稿カバーは180度オープンできるので、新聞などの大きなサイズの原稿の読み取りも楽に行える。4つのワンプッシュボタンで手軽にPDFなどを作れる

インクジェット複合機の普及などもあり、今やスキャナを所持しているユーザは多くいるはずだ。単に書類をデータ化するだけならば、それらのスキャナでも同様に行える。

(2) 原稿種に合わせて最適スキャン
原稿種を選択するだけで最適なスキャンを手軽に行える

そう考えたうえで、本製品の最大の魅力を挙げるならば、それは読み取り用の光源に白色LEDを採用している点だ。従来の冷陰極管を使った光源と比べて、電源投入後すぐにスキャナを利用できる。また、最新のソフトウェア「Epson Scan(エプソンスキャン)」のバージョン3.5を付属することで、従来モデルよりもドキュメントスキャンに便利な機能を多数盛り込んでいる。

例えば、薄い用紙をスキャンした時に起こる「裏写り」を消してスキャンする「文字くっきり」機能。原稿に薄い地紋や色ベタなどがある場合は裏面の写りと同様に消えてしまうが、文字部分をしっかり残したいという場合に役立つ。

(3) 文字を見やすくすっきりと
「文字くっきり」機能をオンにすると、文字がハッキリして読みやすくなる(右)。通常のA4カラーの読み取り時(24ビット/300dpiで19秒)と比べて約60秒と時間を要する

また、赤・青・緑の3色の中から指定した色を除去する「ドロップアウト」機能は、赤字で書き込んでしまった部分や、伝票などの色つき罫線などを消してスキャンしたい時に便利だ。

(4) 赤・青・緑の3色を消去
ドロップアウト機能で赤ペンによるメモを消してスキャン。モノクロで読み取った場合はスライダーで濃度を調整できるのでキレイに消すことができた。8ビットグレーモードで、デフォルトで取込むと赤ペンの文字が薄く残った。これはある程度ドライバで明るさ、コントラストを調整する必要がある

FOCUS ON

本体前面にあるワンプッシュボタンでの書類のPDF化や、CCDならではの深い被写界深度を活かした厚みのある書籍のスキャン、さらには書類の天地自動判別機能、付属OCRソフトによる検索可能PDFの作成などは前モデルでも行えた。そのため、本製品を最大限に活用できるのは、これらの機能を搭載していない古い機種からの買い替えユーザだろう。

とはいえ、一日に数十枚ものドキュメントをスキャンするにはADF(自動原稿送り装置)付きの専用スキャナを購入するほうが便利。大量のドキュメントのスキャンは行わないが高度な機能は使いたい。また、写真やフィルムのスキャンも行いたいというユーザにとっては、エプソンの独自のCCD技術を利用したフィルムや紙焼き写真などの高画質スキャン機能も合わせて、1万円台後半で得られるのはメリットだ。

(5) フィルムスキャンにも対応
35mmストリップ6コマ、マウント4コマを連続してスキャンできる。4800dpiという光学解像度はフィルムスキャンでもっとも活きてくる

AFTER REVIEW

フィルムのスキャンを行わないならば、同等のドキュメントスキャン機能を搭載した下位モデル「GT-S620」(実売1万円前後)がおすすめ。白色LED光源も採用していて、ウォームアップレススキャンが可能だ。また、大量のドキュメントをスキャンしたい用途には、「GT-D1000」がいい。実売価格は3万5,000円前後となるが、カラー毎分12枚、モノクロ毎分18枚の高速スキャンが可能だ。また、ADFが付いているため、ドキュメントをセットして一気にスキャンできる。