今回は、イヤホン専門店のe☆イヤホン秋葉原店に、イヤホンの総合的な売れ筋を取材しました。
最近の変化について、スタッフの川上健佑氏は「昨年末からの完全ワイヤレス人気に乗って、お客さんの層が明らかに広がったと実感しています。それだけ完全ワイヤレスの勢いがすごいのですが、店舗全体で売れるイヤホンの半分は有線タイプです。残り半分がワイヤレスで、完全ワイヤレスはその過半を超えるくらいに成長していますね」といいます。
イヤホン購入の3つのポイントは以下のとおりです。それを踏まえて、現在の売れ筋トップ5をみていきましょう。
- 予算の目安は、有線イヤホンと普通のワイヤレスイヤホンの入門機が3,000~5,000円、完全ワイヤレスは1万円~が安心。
- 耳の形は人それぞれで違うし、左右でも違う。両耳で装着し、装着感をしっかり確かめたい。
- じっくり聞き比べるなら、平日の朝から夕方までが比較的空いているのでお勧め。
※原稿と写真で掲載している価格は、2019年7月11日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:軽くて高解像度な音が楽しめる入門機「碧ライト」
1位となったのは、アンティームの有線モデル「碧-SORA Light- 2019Edition」です。入門機の定番人気モデル「碧(SORA)」を軽量化したシリーズ最新モデルで、税込み価格は3,999円。勢いのある完全ワイヤレスを押しのけて、盤石の一番人気に君臨しています。
人気の背景は価格や軽さだけでなく、ベースモデルからの音質の変化もあるといいます。「碧(SORA)は金属筐体を採用していて、堅い音を鳴らします。それはそれで人気がありますが、Lightは全体的に柔らかい音作りで、透き通る感じが強く出ています。この個性を気に入って、サブ機として買われていく方も少なくありません」
第2位:堅い音とコスパで人気の完全ワイヤレス「True Wireless Zero」
2位には、完全ワイヤレスがランクインしています。ZERO AUDIOの「True Wireless Zero TWZ-1000」で、税込み価格は1万3730円。完全ワイヤレスとしては比較的安価なクラスになりますが、ライバル機と音質や機能を見比べたうえで選ぶ人が多いそうです。
「この価格ながら、Qualcomm TrueWireless Stereo PlusやaptXをサポートしている点に注目する人は多いですね。また、非常に硬いグラフェンコート振動板を採用しているので、音が硬くて歯切れがよく、低音もぼやけずドシドシ響くんです。この音が気に入って選ばれるというパターンもあります」
第3位:スポーツイヤホンとして勢いよく売れる「TT-BH026」
3位に入ったのは、タオトロニクスのワイヤレスモデル「TT-BH026」です。6月末に登場したばかりのモデルで、従来モデルよりも低音が強めの音に仕上げているのが特徴です。税込み価格は3,480円。
「タオトロニクス定番のワイヤレスモデルに『TT-BH07』がありますが、そちらがフラットな音づくりなのに対して、こちらは低音がしっかりしていてリズムがとりやすいということで、スポーツ向きとして注目している人が多いです。IPx5の防滴仕様で8時間駆動するのも強いですよね」
第4位:2018年から衰え知らずで売れ続ける「TT-BH07」
4位に入ったのは、その“タオトロニクスの定番”たる「TT-BH07」です。2018年に国内で販売が始まって以来、ワイヤレスイヤホンの入門機として不動の地位を築いているモデルで、新製品のTT-BH026に匹敵するような売れ方を続けているとのこと。税込み価格は2,999円です。
「3位のTT-BH026はスポーツ向けという色合いが強いですが、こちらはスポーツから通勤用まで広い用途で売れています。バランス重視の音づくりなんですよね」
第5位:9時間連続で使えて1万円台前半の完全ワイヤレス「Sound Air」
5位には、GLIDiCの完全ワイヤレス「Sound Air TW-7000」がランクインしました。カスタムイヤホンに似たシェルを採用したフィット感の高い製品で、連続再生9時間というスタミナも評価されているそうです。税込み価格は1万3490円。
「True Wireless Zeroと比べると柔らかい音で、バランス重視の印象です。音にクセがなく、装着性もよくて、バッテリーも長持ち。10分充電で2時間使えるファストチャージ機能を備えています。ワイヤレスらしい利点を追求する人により高く評価されている印象です」
はみ出し情報…寝転がっても安心な「Sleeper」も6位に入る勢い
トップ5外の注目モデルとして川上氏が挙げたのは、ADVANCEDの有線イヤホン「Sleeper」です。総合ランキングで6位に食い込む売れ方ということ以上に、その個性でピックアップしたといいます。税込み価格は1,210円。
「シェルがシリコンでできていて柔らかいので、装着したまま横になっても痛くなりにくいんですよ。ケーブルの色も左右で変えているので、暗がりでも迷わず装着できます。ベッドで寝ながら動画を見たりゲームをする使い方に最適で、音質も悪くない。価格も安いので、お試しで買う方も多いモデルです」
著者プロフィール
古田雄介
フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『死とインターネット』(Kindle版)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。