現在「コミュ症(コミュ障)」という言葉はすっかり一般化され、自称する者も多く私もその一人だ。

だがそもそもコミュ症が言う「一般化」は「ネット上で一般化」なので、リアルワールドでは全く知られていないこともままある。

コミュ症とはコミュニケーション能力に難ありな人間のことだが、難とは一体どういう状態を指すのか。

まず人見知りで引っ込み思案、口下手でせっかく話題を投げられても上手く投げ返せず、暴投か球を持ってモジモジするだけでキャッチボールを即終了させてしまうタイプを連想するかもしれない。

確かにこれも結構な難だが、本物の難は投げられたボールを「相手に投げ返す」という発想がなく「このボールでいかに俺様が楽しい一人遊びをするか」を考えはじめ、相手が視界から消える人間のことだ。

つまり、他人への興味がなく、話す力より「人の話を聞く力」が圧倒的に低いのである。

私も当然他人への興味と人の話を聞く力がなく、投げられたボールを即尻の下に敷きケツマッサージを始めるタイプだ。

しかし、そんな私をも凌駕する話聞かない力を持つ生物がこの世には存在する。それが私の夫だ。

誤解のないように言うが、夫は私より遥かにコミュ力のある人間である。ただRPGに出てくる「いつも最弱だが特定の最強キャラにだけ刺さる武器」のように、夫は対私にだけ、最強の「話聞かない力」を発揮するのである。

特にその能力が顕現するのが「マイナンバーカード」の話である。私はマイナポイントが「5,000P」の時代にマイナンバーカードを作った人間であり、夫にも幾度となくその旨を説明し、良かったらあなたも作ったら良いと話してきた。

それがフルシカトされるのは良いのだが、マイナポイントの付与が「合計20,000P」になったころ、夫は突然マイナンバーカードを作成、今マイナンバーカードを作るとこれだけポイントを貰えると私に説明し「あなたも作ったら良い」と言い出したのである。

そして、私が「5,000Pの時から持ってるよ」と腕組マイナ古参アピをすると「晴天の霹靂」という顔をしていた。

さらに驚くべきことに「あなたもマイナンバーカード作ったら?」「ずっと前に作っている」「驚」のやりとりを3回は繰り返しており、今年の正月も親戚の前で披露してしまった。 このように基本的に夫は私の話を聞かないのだが、マイナンバーカードに関してはコミュではなく認知の症を疑いたくなるレベルで聞いていない。

しかしこれは夫ではなく「マイナンバーカード」のせいなのではないか、と思いはじめてきた。

マイナンバーカードにかかわる者すべてが「ぼんやり」するのは呪いか否か

  • 人心にモヤをかける呪文である可能性も…?

マイナンバーカードには人の脳機能を低下させる力があるのではないか。それも所持ではなく「マイナンバーカード」と聞いただけで、人の頭はぼんやりしてしまうのである。

マイナンバーカード発行によるポイント申請第2弾は本来なら2月末で終了だったのだが、締め切り間際になってからの「かけこみ」が大量に起こったため、期限を5月末までに延長していた。

かけこみ勢が想像以上に多く、サイトのダウンなどでカード発行が間に合わないケースがあるとして、再度延長の方針、ということである。

マイナポイント企画も初出からずいぶん長いことやっており、もうここまで来て作っていない人間は「マイナンバーカードは作らない」という2万円程度では動かない信念をもっているのだと思っていた。ちなみに「こちらが国にSuicaの残高をくれてやってもいいぐらい面倒だから作らない」というのも立派な信念だ。

しかし、このかけこみ申請を見ているとどうもそうではなかったようだ。

何故、期間がかなりあり、2万円相当がもらえるなら作りたいという気持ちがありながら、余裕を持って作らなかったのか。

可能性としては「まだ余裕があると思って油断していた」「終了と聞いて急に2万が惜しくなった」が一番有力だが「申請終了間近」という報を聞いて「はじめてマイナポイントの存在を知った」という人間も一定数いるような気がする。

マイナポイントに関しては広報不足が否めないところもある。しかし「知らなかった」と言っている人間の中には「教えてもらっていたのに聞いていなかった」勢もかなり含まれているはずだ。

現に私の夫は私が何度マイナンバーカードの話をしても「初耳」というリアクションなのだ。

やはりマイナンバーカードには「人の脳をモヤらせ記憶に残らないようにする力」が備わっているとしか思えない。

そもそも、国民全員に持たせたいと思っている物を、国民の任意申請にして「作ってくれたらポイントを差し上げます」というクレカ会社のようなことをしている時点でおかしい。

つまりマイナンバーカードは、国民だけでなく作っている側の脳もかなりボンヤリさせているということだ。

陰謀論は信じない方だが、自分の夫がここまで朦朧とさせられているところを目の当たりにすると、マイナンバーカードが持つ「力」を信じざるをえない。

このようにマイナンバーカードには個人情報漏洩以上の問題と陰謀が潜んでいる可能性があるので、これから作る人は慎重に行ってほしい。

ただし、この論を主張しているのは5,000ポイント時代からマイナンバーカードを所持し、相当ボンヤリしているであろう人間だということも考慮した上で判断してほしい。