DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会は多いだろう。しかし、その意味や導入についてを問われても、正確に答えることができるという自信のある方はそれほど多くないであろう。本連載では、DXについて、その基礎から、再確認をしてみたい。最初に、なぜ「DT」ではなく、「DX」なのか? 英語圏では、「Trans」を「X」と表記することが多いことに由来する。

IPA(情報処理推進機構)では、情報セキュリティ対策、IT人材の育成など、IT社会のさらなる発展、そして、さまざまな問題解決などを目指す政策実施機関である。その事業の1つとして、DXの普及を扱う。IPAの社会基盤センターでは、新たな潮流としてDXの普及に関する多様な取り組みを行っている。その概要を示したものが、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」である。

  • 図1 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

    図1 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

ここでは、IPAの社会基盤センターのDX推進事業が紹介されている。そこからいくつかの興味深いコンテンツを紹介したい。

動画:DXってなんだ

最初に紹介したいのは、IPAが作成した解説映像である。

3分ほどの動画であるが、DXについて非常にやさしく解説されている。注目したいのは、面接官(社長と思われる)が、DXとデジタル化を混同している点である。動画にもあるが「これまで紙ベースであった書類をスキャンしてデジタル化している」、これをもってDXと勘違いしているのだ。

こういった勘違いは、決して少なくない。さらには、業務システムをクラウドに移行したことをもってDXと勘違いするような例も見受けられる。動画にもあるが、新たなビジネスモデル、働き方改革の達成といったレベルに至り、DXといえるであろう。

DXへの3つのステップ

DXに至るまでには、3つのステップが存在する。本連載を含め、今後もよく登場することなので、ぜひ覚えておいてほしい。

  • Step 1:デジタル化(デジタイゼーション)
  • Step 2:デジタライゼーション
  • Step 3:DX(デジタルトランスフォーメーション)

具体的にはどんなことか。Step 1でもっともメインとなるのは、紙ベースのデータのデジタル化である。そして、Step 2ではデジタルデータの利活用である。ここではAIやデータ分析手法などが使われることもあるだろう。そして、Step 3では最後のDXとなり、新しいビジネスモデルの構築などが行われる。

IPAの動画にあったように、Step 1のデジタル化だけではDXとはいえないことがわかっていただけたであろうか。最終的には、Step 3に至ることが求められる。しかし、世にあるDX推進コンサルティングでは、Step 1や2を行わず、いきなりStep 3を目指そうとするような事例も見られる(クラウドを利用した業務システムの導入がDXと誤解される一因だろう)。当然であるが、デジタルデータがあって、はじめてDXへと至るのに、肝心のデジタルデータが存在しないのでは、ほとんど意味をなさない。

DXを進めるにあたっては、まず自分の会社・組織がどのレベルにあるのかを把握することから始めるといってもいいだろう。自分の立ち位置をしっかりと確認すること、そして、何をすることが必要なのか、そこを見極めたい。多くの場合、まずは紙ベースのデータのデジタル化からスタートすることになるだろう。

デジタル化を進めるには

Step 1のデジタル化であるが、実際にどうすればいいのか、わからないといった声も少なくない。また、各業態においても必要となるデータやその在り方が大きく異なる。また、非IT企業や公官庁などでは、デジタル化へのアレルギーも少なくない。こういったことも、デジタル化の大きな壁になっている。結果、このことが原因でDXへと進んでいないという分析もある(Step 1をクリアできないで、DXに至ることはない)。

その解決策として、AOSデータでは、産業DXソリューションとして、8つの産業向けにDXソリューション(AOS IDX)を展開している。本連載では、その具体的な事例なども紹介していく予定である。