3月20日に、渋谷パルコの「GG Shibuya Mobile esports cafe&bar」で「Shadowverse University League 20-21 2nd Season GRAND FINALS」が開催されました。

「University League」は、大学生を対象にした対戦型オンライントレーディングカードゲーム『Shadowverse(シャドウバース)』のリーグ戦。同じ大学のメンバーによるチーム対抗戦です。

  • Shadowverse University League

    Shadowverse University League 20-21 2nd Season GRAND FINALS

大会は、予選リーグ、プレーオフ、シーズンファイナルの3部構成で、1st / 2ndの2シーズン実施。今回の「GRAND FINALS」は、1stシーズンと2ndシーズンの優勝チームと、それぞれのシーズンで2位・3位となったチームによるプレーオフを勝ち抜いた2チームを加えた4チームで行います。

「GRAND FINALS」に出場したのは、1stシーズン優勝の北海道大学、2ndシーズン優勝の国士舘大学、1stシーズン3位でプレーオフから進出した宇都宮大学、2ndシーズン3位でプレーオフから進出した芝浦工業大学の4校です。

  • Shadowverse University League

    会場は、渋谷パルコにある「GG Shibuya Mobile esports cafe&bar」です

賞金総額は500万円。優勝チームには150万円が贈呈されます。試合形式は1チーム5人で行うBO9(5勝勝ち抜け)。いわゆる団体戦の勝ち抜き戦ではなく、すべてのメンバーが先に1勝ずつしなくては勝利にならないルールです。

負け残りになるうえ、デッキは事前に申請した5つのものを使用しなければならないため、負ければ負けるほど厳しくなります。勝ち抜き戦の場合、1人の強者がいれば、5人抜きなどで勝ち抜けるでしょうが、今回のルールだと、1人の弱者がいると4勝0敗から5タテを喰らう可能性もあります。なので、デッキのバランス、選手の強さのバランスが取れているチームが強いチームと言えます。

  • Shadowverse University League

    ベスト4に残った4チームが会場に集まり、試合の様子を見守っています

  • Shadowverse University League

    無観客試合で行われたので、試合の様子はオンラインで配信されました

準決勝初戦は芝浦工業大学対北海道大学です。対戦成績5対3で芝浦工業大学が決勝に進出しました。準決勝2戦目は宇都宮大学対国士舘大学。対戦成績5対1の圧勝で、国士舘大学が決勝へのコマを進めます。

決勝戦は芝浦工業大学対国士舘大学。初戦を取った国士舘大学は、2試合目、3試合目にGeneral選手が敗北するも、そこから3連勝で優勝に王手。未勝利なのはGeneral選手のみとなりました。

しかし、そこから芝浦工業大学の猛攻が始まり、General選手に連勝して逆王手に。芝浦工業大学の4勝はすべてGeneral選手から奪ったことになります。芝浦工業大学の最後の選手はベータ選手。最終戦は、終盤に逆転に次ぐ逆転でGeneral選手が勝利となり、国士舘大学が優勝しました。下手をしたらすべての敗北をGeneral選手が負う結果となりかねないプレッシャーのなか、最後の最後で勝利をつかんだ劇的な展開だったと言えます。

  • Shadowverse University League

    試合をしている選手を控え室で見守る芝浦工業大学のメンバー

また、今回の「University League」の注目ポイントとして、試合と同じくらい重要だったのが、学生による広報部の立ち上げでした。「University League」は現状、Cygamesが中心となって大会を運営しています。しかし、Cygamesとしては、将来的にすべて大学生によって運営してもらえるようにしたいという思惑があり、今回の大会から、その第一歩として、広報活動の一部を学生が担うこととなりました。

学生広報部では、Cygamesから広報のノウハウを教わりながら、学生主体で「University League」の広報活動を展開。そこで、学生の活動を支援し、一緒に広報活動を行ってきたCygames マーケティング本部 メディア室 マネージャーの川上尚樹氏に、学生広報部の目的や活動成果、今後の展開について聞きました。

――今回の大会から学生による広報部が立ち上がりましたが、その意図と目的はなんでしょうか。

川上尚樹氏(以下、川上):『シャドウバース』の大学リーグは2019年から開始しています。現状、運営はCygamesが行っていますが、ゆくゆくは大学生に任せたいと思っています。ただ、一気に切り替えるのは難しいので、徐々に切り替えていこうと考えています。そのための準備段階として広報部門を学生に任せようと考えました。

大学リーグの魅力を学生に知ってもらうには、学生の知見が必要です。データ解析やSNSなどから、我々もある程度の予測はできますが、実際に学生が今現在、何を求め、何を考えているかまではどうしても追い切れません。そういった意味では、大学生が広報を担当することで、学生により効果的に響くPRができるのではないかと思っています。

  • Shadowverse University League

    Cygames マーケティング本部 メディア室 マネージャーの川上尚樹氏

――広報部にはどんな人材を募集し、選定したのでしょうか。

川上:募集自体は幅広く行いました。『シャドウバース』の学生リーグなので、『シャドウバース』やゲームに興味がある人が多かったのですが、ゲームにはそこまで詳しくはないものの、宣伝や広報の仕事に興味があるという人もいました。広報の業務においては客観的な視野が必要なので、必ずしもゲームに精通していなくてもいいと考えています。そのため、広報部に対する熱量や想いの強さを軸に選定させていただきました。

募集に関しては、コロナ禍で学生が大学に行く機会が少なくなっていたので、学内での募集ではなく、プレスリリースやSNS、WEB番組などを活用して行いました。

――実際、広報活動を学生に任せてみて、いかがでしたか。

川上:全部が全部、任せっきりなわけではなく、学生が中心となって活動してもらい、フォローできるところは我々もフォローしました。

とはいえ、コロナ禍において、できることが限られてしまったことが残念でしたね。学生が一所懸命考えてくれたアイデアも、コロナ禍やタイミング的な理由で断念せざるを得ない場面もありました。せっかくのアイデアを形にしてあげられなかったのは、申し訳ない気持ちです。

そういう意味では、満足のいく結果にはならなかったかもしれませんが、学生が中心になって運営していく目標に向かって第一歩を踏み出せたと思っています。学生ならではの視点で提案や議論してもらえた点には満足しています。

――次回以降の学生リーグの運営はどうなるのでしょうか。

川上:運営はCygamesが中心となって行う予定ですが、広報部については、引き続き学生主体で活動してくつもりです。運営も少しずつ、学生の比率が上がるようにしていきたいですね。最終的には学生主体で大会を運営していってもらいたいと思っています。

運営のすべてを学生に任せられるようになったとしても、Cygamesはバックアップしていくつもりです。大会のスポンサー探しといった営業も学生に行ってほしいと思っていますが、いきなりスポンサーを見つけるのは難しいと思いますので、営業先となる企業の紹介まではこちらが行い、協賛してもらえるかの交渉は学生に担当してもらうという役割分担ができるといいですね。

配信に関しても、今はeスポーツイベント運営会社にお願いしていますが、それも学生に担ってもらいたいと考えています。実況、解説を学生が担当してもいいですし、プロの実況者、解説者をアサインするのであれば、キャスティングから学生に行ってほしいですね。

将来的には、学生リーグに携わった人が、eスポーツ業界に入って、eスポーツを盛り上げてくれればと思っています。『シャドウバース』の学生リーグで培ったノウハウで、ほかの学生リーグを立ち上げてもいいですし、就職先もCygames以外のゲームメーカーだったり、eスポーツイベント運営会社だったり、はたまたスポンサー企業だったり、eスポーツを盛り立ててもらえるのであれば、それはなんでもいいと考えています。もちろん、そのうえで、Cygamesを選んでもらえれば最高なんですけどね(笑)。

――ありがとうございました。

大学の文化祭のように、学生が主体でeスポーツイベントを開催できるようになれば、eスポーツ業界としても大きな追い風となるかもしません。さらに、Cygamesのように企業のバックアップがあれば、プロの現場を肌で感じ、プロの機材で大会運営をすることもできます。大会自体が増えれば、ゲームをプレイしている学生にとって、輝ける場、楽しめる場が広がっていくでしょう。学生リーグがeスポーツ発展の新たな種火となることを期待しています。