暑いので冷やすはなしをします。人類の歴史はたき火からはじまる暖める歴史ですが、最近の人類は冷やす方に一生懸命ですな。ここでは冷やす方法を7つご紹介いたします。

いま、ニュースで「体温なみの気温」という声に、外に出るのをちゅうちょしています。こんにちは、暑いですね。東明六郎です。

暑いとき、みなさんは何をしますか? ええそうですね。冷やしますよね。最近はDCモーター+リチウムイオン電池のハンディファンが人気でございます。冷感スカーフなんてのもございますな。日傘もいいですね。ワタクシはドラキュラのように太陽を避けて行動しております。え? クーラーきいた場所に行く? それがいいよね。博物館が結構穴場ですよ。思わぬ発見もあるしオススメ。

  • 首かけ扇風機

    首かけ扇風機は2020年の夏のトレンドと言っても良いくらいに多くの人が使ってました

また、暑くなくとも、冷やすといいことが色々ありますな。たとえば、雑菌の活動が抑えられ、腐敗がすすみにくいですし(冷蔵庫の効用ですな)、熱々のうどんを冷やすと、しまって食感が変わり、別のおいしさがあります。やけどは冷やすことで、皮膚の破壊進行を止めます。ちな、なんでやけどはすぐ冷やすとよいかというと、やけどの原因をとりさっても、熱が皮膚にあるうちはそれでやけどが進むので、それを止めるためだそうです。なお、氷だと逆に皮膚がやられるので流水がよいそうですよ。(参考:彦根市立病院)

さてここで、冷やす、をもうチョイ深掘りしてみましょう。

冷やすというのは、温度を下げるということですな。温度が下がるというのは、物質の持つ熱をとることです。熱をとるというのは、A地点からB地点に「熱を移動」させるということでございます。また、熱を別のエネルギーに変えてしまうのでもいいでしょう。

で、熱を移動する方法ってぇと、覚えていますか? なんと小学校でやっているんですよ。まずは接触して熱を伝える「伝導」ですな。それから、熱い空気(水でもよい)が上にあがり、冷たい空気が下にさがる「対流」でございます。これに、小学3年で、おひさまあったかいという感じでぼんやり習う光(赤外線)に変換されて熱が伝わる「放射」の3つが熱が移動する方法として教わるのでございますな。

これに基づく冷やしかたは、割と直感的でございますが。

冷やし方その1:冷たいものにくっつける(伝導の利用)

氷をくっつけるのが一番ですな。なお、くっつけるとその部分のが暖かくなって、冷やす能力が落ちるので、くっつけている場所を変化させると、さらに効果的に冷やせます。流水の利用がそうですな。

ビール缶を急速の冷やすのに、氷水をいれた容器で缶をくるくる回す機械が売ってますが、これもくっついた部分が暖かくなって、冷やす効果が落ちるのをふせぐ工夫です。アイスクリームを作る機械もそうですな。お風呂にじっとはいっていると熱いのを我慢できるけど、動くとあかん、とかいうのも熱の伝わり方に関係していますよ。

冷やし方その2:日陰で断熱シートをしいてほっておく(放射の利用)

太陽の光など、外からの放射を受け取らず、暖かい地面からの熱をふさぐことで、次第に冷えます。日陰でシートをしいて休むのがそうですね。まあ、風をあてて伝導も組み合わせるのが普通です。

また、スカーっと晴れた日に夜間冷え込むのは、これでございます。空気や水蒸気、雲などは毛布のような役割を果たすのですが、スカーっと晴れていると、放射での冷却が効いてぐんぐん温度が下がります。

また、真空に近い宇宙空間では効きますな。月などは太陽から受け取る熱は地球と変わらないのですが、日陰はマイナス100度と猛烈に冷えます。また、太陽から遠く離れた宇宙探査機は、ほっておけばどんどん冷えていきます。これでアウトになりかけたのが、初代の「はやぶさ」でした。すばりな解説はちょっと見当たらないけどとりあえずこちらをご参考ください

冷やし方その3:熱をもった部分をのける(まあ、対流の変形)

これは、犬がやってますな。熱いとハアハア息をはく。身体の中の熱を息にこめて冷ますわけでございます。人間の血液の循環も、熱をもった部分をのけるのに近いですし、水冷式エンジンとか、火力発電所とか、大規模なものでも利用されております。それがポンプなしでやれるのが対流です。地球の内部でも惑星規模の対流が起こっていて、中心部の熱を外に運んでいますし、太陽のような恒星でも対流が起こっています。

  • 犬

    犬は舌をつかった気化熱で体温を下げています。実は犬も熱中症にかかる場合があります

ただ、対流がどのように起こるかは計算で簡単にだせないのですな。実験かコンピュータシミュレーションでやるって感じになります。で、対流は非常に効率よく熱を運ぶので、予想できない事態が起こりうる。まあ、ラーメンゆでててあふれるような、コントロールが難しいのでございます。

さて、ここまでは小学4年生でも教わっちゃう方法ですが、冷やす方法は他にもあるのです。その一つが、気体がふくらむことでございます。

冷やし方その4:圧力を下げて冷やす

下げて冷やすというよりは、結果として冷えるというケースが多いですなー。

注射器などに入れた気体を、注射器を引くなどして強引に膨らませると(圧力を下げると)、冷えるのですな。力を入れると冷えるので、なんか直感に反するのですが、そうなります。こちらの動画では急に膨らませることで冷えてペットボトルが結露しています。

逆に圧縮すると(圧力を上げると)熱くなります。これを利用したのがディーゼルエンジンでございます。圧力を利用して温度をコントロールするんですな。圧力と温度の関係をうまいこと利用するのが熱力学という世界でございます。産業革命はこれを利用したものでございました。とはいうものの、蒸気機関はとんと見なくなりましたねー、身近には…圧力鍋が残ってます。

冷やし方その5:圧力を下げ、気化させて冷やす

圧力と、もう一つ気化熱を利用して温度を下げるのが、冷蔵庫や冷凍庫でございます。気化熱は、液体が気化するときに熱を奪うもので、まあ、アルコールが蒸発するときにショワーっとか、打ち水とかのアレでございます。

クーラーや冷蔵庫の背後ではモーターが回っているのですが、あれは、冷媒という液体&気体(イソブタンがよく使われます。かつてはフロンでした)を循環させています。

循環させるだけでは、もちろんそんなに冷えるわけもなく、その途中で圧力をかけて液体にしたり、膨張させて気体にしたりするのですな。いろいろなところに解説がのっています。ちょっと難しいけど。特に冷蔵庫の庫内に面するところで、膨張させ、液体を気体になる気化熱を利用して庫内を冷やし、冷媒が庫内を抜け、外に面するところにきたら、圧力をかけて液体に戻して熱を放出させるのです。

なんでモーターがブーンと回るだけなのに冷えるのか? というとこういうからくりなのですな。

クーラーは、熱を放出させるところを屋外にしています。屋外の空気をとりいれているのではなく、冷媒を室内>屋外(気体>室内>屋外とぐるぐるまわし、適宜気化・液化をかましているのです。屋外で伝導+扇風機で熱を出すことで室内の温度上昇をしないようにしています。冷蔵庫とちがって部屋のなかにちょっと熱をだしゃいいってわけにはいきませんからねー。ちなみに、ぴちょんくんなダイキンさんと霧ヶ峰な三菱電機さんで説明の仕方が対照的でおもしろいです。個人的には、コロナさんの説明がシンプルで好みです。

冷やし方その6:ゴムバンドを利用して冷やす

いままでとは全く、たとえば、ゴムをグイッと伸ばしたあと、縮めると冷えます。

なんのコッチャ? という方は、実際にやってみてください。輪ゴムでやれます。グイッと伸ばすのがコツですよ。伸ばして、唇などにあてると…熱くなります。一方、それから縮めると…冷たくなるんですな。唇は温度の変化に敏感なのでこういうのを調べる時は便利です。

これは、「グー・ジュール効果」という名前がついています。

冷やし方その7:ペルチェ素子を使って冷やす

以前、熱を測るはなしのなかで、温度は電気の流れに作用するってな話をチラと紹介しました。これの逆で、電気の流れで温度をコントロールするのが、ペルチェ素子でございます。

具体的には二種類の金属の間で電流を流し、片側を冷やし、片側を熱くするものでございますな。液体や気体を介さなくてよいので、電機部品の中の局所冷却などに使われていますな。実際にサンプルで遊ぶと、冷やっとしてオモシロイです。小規模に温度を保つのにも使いやすいですしね。

というわけで、7つの冷やす方法をご紹介いたしました。引き続き暑い日がしばらくありそうです。熱射病に注意してお過ごしくださいねー。では。