ロンドン発のコンシューマー・テクノロジー・ブランドのNothingが、ワイヤレスイヤホンのフラグシップをアップデートし、新製品としてEar(3)を発表した。すでに予約が開始され、9月25日から販売を開始する。同社は2020年にロンドンで創業されたスタートアップ企業だ。
メタル仕上げのNothing新イヤホン「Ear(3)」
ユニークなデザインで知られる同社ガジェットだが、今回は金属をフィーチャーしたシースルーデザインを採用、メタル仕上げでひんやりしたイメージがテーマとなっている。
同社のフラグシップイヤホンは、Ear(1)、Ear(2)と続き、その次にナンバリングのない無印のEarが登場した。したがって、今回のEar(3)は、時系列としては4代目Ear(4)に相当する後継製品だ。
先代のEarから4代目となるEar(3)で、サウンドは少し固めになった印象だ。別の言い方をすれば透明感が高まったといったところか。12ミリのダイナミックドライバーによる豊かなサウンドだ。
「スーパーマイク」をケース搭載、雑音を最大96dB軽減
Ear(3)で興味深いのは充電ケースに新開発のスーパーマイクが内蔵されていることだ。
このマイクは、周囲の音を遮断して自分の声だけにフォーカスするデュアルマイクシステムで構成されている。環境雑音を最大96dB軽減、通話や音声の集音がクリアになるという。
ケースにはTALKボタンが装備され、押すだけでスーパーマイクが起動する。通話では押しながら話し、話し終わったら離す。ダブルタップでは押しっぱなしの状態をキープする。これによってまるでトランシーバーのように、自分が話すときだけボタンを押して話し、ボタンを押していないときはミュートされるような使い方ができる。
喧噪がはげしいような場所での通話では重宝する。もっとも相手にどんな声が届いているのかは、なかなか想像できないし、実際に聴くのも難しいのだが、びっくりするほどノイズがカットされて聴きやすい音声が届いているはずだ。
スーパーマイクはビームフォーミング技術を使った2基の超小型MEMSマイクによるもので、Bluetoothを使ってケースからイヤホンへ、イヤホンからスマホへと音声が送信される。
一方イヤホン本体には3つの全指向性マイクと骨の振動を感知するボイスピックアップユニットが搭載されている。骨の振動を拾って正確な音声を集めるためだ。
口から離れたところにあるマイクでは、正確に音声を拾いにくいような場合に、専用のスーパーマイクを使えれば効果てきめんだ。インタビューなどで、話す相手にマイクを向けるような使い方もできそうだ。今後は、AIの音声利用などの場面でも役立つだろう。
会話や会議をイヤホンで録音、AI時代の新用途に注目
この秋は、各社ともにイヤホンにフォーカスしているようで、多くの新製品が発売されている。また、オーバーヘッドホンも豊作だ。
イヤホンの用途としては音楽を聴くばかりではなく、オンラインコミュニケーションで使ったり、AIにあとで要約させて活用するために、会話や会議を録音したり、あるいは、AIそのものとの対話に使うなど、聴くだけでなく話すために使うことが目指されている。
イヤホンのマイクに注力し、クリアな音声を集音することが重要になってきていることがわかる。この秋、各社のイヤホン製品が豊富に出てきているのも、こうした用途によるイヤホンのユースケースにパラダイムシフトが起こる予兆なのかもしれない。


