年初のCESで発表されたLGの薄軽ノートパソコン「LG gram」、その日本での発売が決定した。2021年モデルとしてラインナップを刷新し、すべてのモデルにインテルの第11世代Coreを搭載、14型、16型、17型モデルを用意する。

  • 「LG gram」の2021年モデル。アスペクト比16:10の14型、16型、17型ノートPCをラインナップした(画像:LGエレクトロニクスの発表動画より。以下同)

グローバル発表ではタッチ対応ディスプレイ搭載機もラインナップされていたが、日本では当面、タッチ非対応のクラムシェルノートだけが提供される。今後、タッチ対応機については日本市場の状況を見ながら導入を検討していくという。

すべてのモデルが16:10になったLG gram

注目すべきはそのアスペクト比だ。従来の16:9から16:10へと変更されている。

2019年に17型モデルが登場したときに16:10が採用されていたが、今年は14型が1,920×1,200ドット、16型、17型は2,560×1,600ドットの解像度で、すべてのモデルが16:10になった。しかもタッチパッドまで16:10という凝りようだ。アスペクト比についてはフルHDからの脱却が各社のノートパソコンで進行中だが、LGは3:2ではなく16:10に舵を切るようだ。

また、すべてのモデルがインテルのモダンパソコンプラットフォームであるEvoに準拠し、その必須要件としてThunderbolt 4やWi-Fi 6などの最新規格に対応する。もちろんUSB Power Deliveryでの充電だ。

それぞれの重量は14型が999グラム、16型が1,190グラム、17型が1,350グラムとなっている。80Wh(14型は72Wh)ものバッテリーを搭載したパソコンとしてはきわめて軽量だ。

  • ディスプレイのアスペクト比は16:10に

  • インタフェースも充実。Thunderbolt 4ポートを2基搭載した

パソコンがなければ語れないニューノーマル時代

このパソコンが発揮する価値について、LGエレクトロニクス・ジャパンの易臣氏(イ・シン氏、Marketing Team Digital Marketing Part)は、「ニューノーマル時代のPC」を強調する。

この時代は、「消費に対する価値感の変化、戻れない日常への思い、オンライン頼りの生活」に急進し、パソコンがなければ語れない時代だとイ・シン氏はいう。そんななかで、これまでパソコンを使うときにユーザーが感じていた制限や限界を突破し、やりたいことがもっとかなえられる一台となるのがLG gramだという。つまり、目指す方向は、それ一台ですべてを満足させる究極のオールインワンパソコンだ。

2016年に980グラムの軽量パソコンとしてデビューしたLG gramだが、毎年リニューアルされ、バッテリーの強化、17型大画面の追加などを実現してきた。そして、今年は、その究極版として仕上がった製品だといえそうだ。

LG製の超薄軽モバイルモニターに期待

モビリティというのはさまざまな面で便宜を提供する。いつでもどこでも持ち運べるパソコンは、働き方や遊び方が多種多様になるなかで、大きな恩恵をもたらした。

だが、その代償として、エンドユーザーはいろいろな点でのガマンを強いられてもきた。軽くて持ち運びがラクにできるコンパクトなパソコンは、どうしても小さくなる。小さいパソコンは画面も狭いし、キーボードも小さく、打鍵効率を落としがちだ。狭額縁などでフットプリントを抑えるようにはなったが、それでも限界はある。

本当は、携行用に1台、落ち着いて作業するために1台、自宅などに据置利用するために1台と、使う場所や使うスタイルに応じて複数台のパソコンを利用できるのが理想だが、コストの点を含めてなかなかそうはいかない。各種クラウドサービスのおかげで複数デバイスの併行利用はかつてに比べれば飛躍的に便利になったが、そのことに気がついていないユーザーは少なくない。せいぜい、コンパクトなパソコンを据置で使うときには外部モニタを接続するくらいが関の山だ。

その結果、唯一のパソコンにオールマイティを求め、あらゆる用途にその一台を使うというのが現実的なソリューションになってしまっている。そこにもまた代償があって、重くてかさばるパソコンを携行しなくてはならなかったり、カバンからサッと出して、サッと使える機動性が犠牲になったりしているわけだ。

LG gramシリーズは、きっとこうしたガマンを解消する。個人的には、LGにはgramを作る技術を活かし、17~24型の超薄軽モバイルモニターを用意してほしいと過剰な期待をしたりもする。在宅勤務でもサッと出して、サッと片付けられるシステムコンポーネントタイプのパソコン環境が得られれば、LG gramの機動性はさらに高まるのではないだろうか。